見出し画像

肩の解剖:Rotator Cable

肩関節は大きく動くことが可能な可動性のある関節ではありますが、その分不安定性も大きくなりやすい関節です。その安定性を補強しているのが関節包や靭帯、筋肉などです

特にこの肩関節の安定性にかかわる筋肉が棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉で、これらをあわせて回旋腱板、英語ではRotator Cuffと言われています

スポーツ選手や高齢者ではこの回旋腱板の断裂などの怪我が起きます。ただ、断裂(部分断裂も含む)しても痛みがない場合や、断裂していても肩を動かすのに不自由しない場合があります

題名のRotator CableはこのRotator Cuffの中にある一部分の構造のことを言いますが、実はこのRotator Cableが上記の様な断裂していても動かすことができる一つの答えとして言われています

Rotator Cableは上腕骨の骨頭を囲むように前方ー上方ー後方に走っており、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋とも繋がっています

特にRotator Cableは棘上筋と棘下筋を上腕骨の骨頭により強固に繋げています。回旋腱板の断裂では多くはこの棘上筋が断裂する場合が多いですが、もしこのRotator Cableが正常に働いていれば棘下筋の力を上腕骨に伝えることができ、棘上筋の断裂部位を補うことが出来る場合があります

逆にこのRotator Cable自体の損傷や損傷部位がRotator Cableより外側にある場合は(この部位はRotator Crescentと呼ばれます)、上記の様な棘下筋による代償が行えにくくなります

ですので、腱板断裂と言っても肩関節の機能低下の具合には人それぞれで違いがあり、その理由の一つがRotator Cableの存在が関わっている可能性があります

このRotator Cableは以前はMRIなどで見えにくく最初に報告されたのも1990年だったそうですが、現在で超音波エコーなどでも目視でき、ほとんどの方の肩で確認できます

それゆえに腱板の怪我といっても、Rotator Cableも損傷しているのかどうかを画像検査などで診断することは予後を判断する上で非常に重要になってきます

より詳細にRotator Cableを知りたい方はこちら

https://www.sportsinjurybulletin.com/cables-crescents-and-suspension-bridges-the-unique-anatomy-of-the-rotator-cuff-cable/

Calant Sports Rehab & Performance
爪川 慶彦
www.calant.org

よろしければサポートいただければ嬉しいです😀 記事執筆の励みになります🤗 よろしくお願いします🙇‍♂️