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世界の埋蔵量5割を占める中国がアンチモンを輸出規制 2024年9月15日

米中規制合戦の一幕です。
中国がアンチモン規制攻撃を仕掛けました。

輸出規制の報道発表

中国がアンチモンという金属を規制したらしい。
アンチモンってそもそもどういうものなのか。
全く分かっていなかったので、調べる事にしました。

日本の輸出規制

まず、日本の規制がどうなっているか見てみます。

輸出令第7項(20):アルミニウム、ガリウム若しくはインジウムの有機金属化合物又は燐、砒素若しくはアンチモンの有機化合物
輸出令第7項(21):燐、砒素又はアンチモンの水素化物

https://www.meti.go.jp/policy/anpo/matrix_intro.html

輸出令別表1の7項、エレクトロニクスで規制がありました。
7項は集積回路やその材料系が含まれる項番です。

中国の輸出規制(2024/9/15施行)

一、以下の特性を満たす品目は、許可なく輸出してはならない。
(一)アンチモン関連品目。
1.アンチモン鉱石と原料、塊・粒子・粉末・結晶等の形状を含むが、それらに限定されない。(参考海関商品番号(HS コード):2617101000、2617109001、2617109090、2830902000)
2.金属アンチモンと製品、インゴット・塊・ビーズ・粉末等の形状を含むが、それらに限定されない。(参考海関商品番号(HS コード):8110101000、8110102000、8110200000、8110900000)
3.アンチモンの酸化物、純度 99.99%以上のもの、粉末の形状を含むが、それらに限定されない。(参考海関商品番号(HS コード):2825800010)
4.トリメチルアンチモン、トリエチルアンチモンとその他の有機アンチモン化合物、純度(無機元素基準)が 99.999%を超えるもの。(参考海関商品番号(HS コード):2931900032)
5.アンチモンの水素化物、純度が 99.999%を超えるもの(不活性ガスまたは水素で希 釈 し た ア ン チ モ ン を 含 む 水 素 化 物 )。( 参 考 海 関 商 品 番 号 ( HS コ ー ド ):2850009020)
6.アンチモン化インジウム、以下のすべての特性を持つもの:転位密度が 1 平方センチメートル当たり 50 個未満の単結晶、および純度が 99.99999%を超える多結晶、インゴット(棒)・塊・シート・ターゲット材・粒子・粉末・破片等の形状を含むが、それらに限定されない。(参考海関商品番号(HS コード):2853909031)
7.金・アンチモンの製錬・分離技術。

https://www.cistec.or.jp/service/uschina/20240819.pdf

かなり多いです。
日本は有機化合物と水素化合物のみの規制に対し、中国は金属アンチモン、アンチモンの酸化物といった広範囲を規制しています。
日本とは規制レベルが全然違います。

中国は米国との半導体輸出規制の対抗として、これまでガリウムやゲルマニウムの規制も進めてきました。
アンチモンも半導体材料として使われる物質であり、対抗措置として規制を強化した流れです。

規制して効果あるの?

http://www.msoc.eng.yamaguchi-u.ac.jp/collection/element_17.php

これを見た時に衝撃を受けました。
少し古いデータですが、世界の5割の埋蔵量が中国にあります。

アンチモンを中国から調達している企業にとっては大打撃の規制です。
そして第二位のロシアも戦時中でアテにならないと思われます。

中国政府の許可方針が読めない

アメリカを意識した対抗措置なので、アメリカ向けでなければ輸出許可をしてくれるのか、もしくはアメリカの友好国も含め輸出規制をかけるのか。
国際情勢によってどうなるか読めないです。

ガリウムの例からみると、一度ガッツリ規制されてから暫く経過してから復調してきているようです。

中国政府の許可方針は今後も注目していこうと思います。


※Amazonアソシエイト参加中

今後貴重となるアンチモンですが、Amazonで元素標本が購入できるみたいです。
レア物質と分かると所有してみたくなり、買おうか迷いました。
渋いインテリアに良いかもしれません。

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HANA
最後まで読んで頂きありがとうございます。