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お母さんはきっともう長生きできないだろうからこれから好きなことだけするんだよ。

先日思いがけず病を得た。
いまだに病名がハッキリしないが、自己免疫疾患のひとつではあるらしく、可能性のある病名はどれも国の難病指定に含まれている。

毎日のように学校帰りに病室に寄っては
私とおしゃべりして笑い合っていた20歳の娘は
私の病気の名前をネットで調べながら
「難病?お母さんかっこいいー!」と言った。

そして
「お母さんはきっともう長生き出来ないだろうからこれから好きなことだけするんだよ」と真顔で私の目をジッとみながら言った。

私は笑い出してしまった。
長生きできないだろう、かあ。


でも「好きなことだけするんだよ」という言葉を聞いて、娘が前からずっと言っていてモットーにしている「好きなことしないで生きているなんて生きている意味なんかない」という言葉を思い出した。


「なんで子供を産んだの?」と
娘はある日真剣な顔で詰め寄ってきたことがあった。
彼女は「死にたいほど辛いこと」があり
こんなことを乗り越えなくてはいけないとわかっているなら自分は絶対にこどもは産まない!と私に抗議するように宣言する。
子供を産むことは親のエゴでしかないと言った。

そしてそこから自分の人生は自分でしか決められないと悟り、
それが彼女をふるいたたせ、
そのことに大きな希望を感じて、
彼女は、
彼女の可能性の扉をどんどん開いていった。

そして以前から思っていた
「好きなことをしないで生きているなんて生きている意味がない」ということを実現すべく道を
自ら選んでいくのだ。


だから、
「好きなことだけするんだよ」という私への言葉は
彼女流の最大のエールなのだ。
彼女の優しさなのだ。


私は好きなことだけしてもいいんだなという嬉しさに包まれた。
それはなんだか贅沢な気分であった。

そして、
いままで夢中でなにかに取り組んでこなかったことを心から恥じた。

そう、恥じたのだ。

たくさんの言い訳をして
あきらめたり、取り組んでこなかったことを次々と思い出し、なにもかも中途半端だったことを恥じた。

そうだな、もう死ぬだけだと思ったら
好きなことにとことん向き合ってみよう。
もうこの病気は治らない。
ひどくなっていく可能性の方が高いのだ。

手が動かなくなる前に
目が見えなくなる前に
好きなことたくさんやろう!


娘よ、ありがとう!
ワクワクしてくるよ!

でも
もしかして長生きしちゃったらごめん!(笑)


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