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kisekiが終わったあとの自分の軌跡

 自分の人生の中で過去最高に忙しく、それでいて充実した日々を過ごしていた、と走っている時も振り返っている今もそう思う。

 タップダンスを本格的に始めたのが2021年。それからスタジオの大きなステージの『軌跡と奇跡』去年初めて出ることができた。昨年は前半は各講師が作ったナンバーに出て、後半はプロコースのナンバーがメインだった。初めてタップダンスで大きなステージで人前で奏でるのが初めてだったので、楽しかったが大きかった。

 公演終了後、各自解散だったりしたが、時間もあったので、板をスタジオに戻す手伝いをした。その時に初めて講師やプロコースの人と一言二言会話することができた。終わった後に打ち上げが近くでありそこにもついていった。そこで初めてスタジオ主宰のカズさんに名前を呼んでもらい握手してもらったのを今でも覚えている。
あの時が自分の中でのタップダンスにより入っていこうと思ったきっかけだった。

 その後は、年始に仙台のライブに手伝いに行ったり、夏に行われた仙台の合宿にも自然と足を運ぶようになった。行く前は緊張もするし自分行って良いのかとか色々考えたど、行けば自分の想像を超えるようなライブであったり、会話があったり、意外な一面だったり、ハッとするような言葉をNYにいるプロのタップダンサーから直接自分に話しかけてくれたりと全てが自分の中の軌跡上にちゃんと残っている。

 夏もまだまだ終わらない時期から今回の公演のことが少しずつ決まってきていた。今回は『デューク・エリントンへの手紙』というテーマがあった。   kisekiでテーマがある公演は初めのようで、その過程には「ここまででOK」というものがない、だけど向かう先はそれぞれに見えている、そんな感じだった。 
 テーマの大切なものは目にははっきりとは見えていないんだけど、タップダンスや音楽に向き合いながら、言葉やステップでやり取りをしながら感じるものを集めていくような。
 表現していく過程では人間関係に上下はなく、フラットに平等に調和があり、その光景は美しいかったです。

 人と人が向き合いながら、話すや踊るや奏でるやでやり取り、コミュニケーションをしながらその人と人の間にある何かを共に見ているような光景が私は好きで、その目撃してしまったらできるだけシェアしたい気持ちがあり、その手段として自分は思い切ってカメラを年始に購入した。自分の眼よりもちゃんとみてくれるのでより伝わると思って。

 カメラは習ったことがないので、調べながらも場数で学ぼうと思って撮ってみた。撮ってみるとそこには自分が写っていないのに、自分とその被写体との関係性が写っていることが気がついた。同じ被写体だとしても自分が撮るよりも断然いい表情や雰囲気の写真を見るたびに「いい写真ってなんだろう?」と落ち込むこともあった。
 写真の話が入るのは、写真もタップダンスも関係性が重要だと思うから。
ここ最近知り、印象に残っている言葉がある。
「JAZZはSocial Artだから上手い人といれば自分もうまくなる」
というJAZZのレジェンドの秋吉敏子さんの言葉。これを知ってからは、良いものが目の前あったら可能な限りもっと近づきたいと強く思うようになった。

 写真や動画を撮ると自然と何度も撮ったものを見返す。そうやって自分の中の一瞬で過ぎ去っていった跡が濃く太くなっていく。その軌跡は自分の中でストーリーとなりまるでドラマのワンシーンのようになって夢の中にも出てくるようになってくる。

 そんなことを日々思いながら、本番前の1週間連日のリハはここ数年で忙しくも充実している毎日だった。
 リハの最後に集まって話す機会があったときに、1年前まではどこか遠くのワンシーンだったことが自分のこととして入ってきていることにありがたい気持ちが強くなってしまった。
 大勢の人が義務でもなく、労働のためでもなく、ただただ好きで、感じている何かを掴み創りたいからというその純粋な動機が集約したエネルギーにやられてしまった。

 本番は、あっという間だったが、今回はその舞台の裏側を撮らせていただくことができた。
 いろんな背景の人がいて、それぞれができることを隣にいる人と話しながら舞台を作り上げていく。その光景が美しかった。
 記録には残すことができたが、その光景を他の人に同じように伝えられるような技術がないとも感じている。
 これからは自分が編集することで肉眼で見るよりも良さを引き出せるような存在にもなりたい。

 今回は手紙がテーマになっているので、直筆の手紙を各自で書いた。手紙は不思議なものだと思った。筆跡によってテキストデータではなく、文字として書いた人がどんな場所でどのように書いているのかを想像させられた。
この文章も直筆で書いたらまた違ってみるのかもしれない。
 また手紙の不思議な力について書いた人と楽屋で話した。初めは何を書こうか考えてしまいその一言が出てこないけど、書き始めると意外と紙面いっぱい、結局紙1枚では足りないくらいに書いてしまう、と。
 自分を表現するのも初めの一歩ってすごく重いから同じだと思った。

 ここでよく思い出すのがナイキの「JUST DO IT」。まずやってみよう、ってすごく大事なのかも。

 公演終了後は昨年と同じように、板をスタジオに戻し、そして打ち上げにも参加した。去年と違ったのは講師陣やプロコースの人とより多く話せるようになっていた。自分はタップダンスのテクニックではまだまだ全然未熟なところが多いけれど、そんな自分だけどフラットに接してくれる多くの人に恵まれていると思う。

「TAP DANCEはSocial Artだから上手い人たちと一緒にいれば自分も上手くなっていく。
その仲間と出会えたらならば、あとはやるだけ。
見えないけれど大事なテーマを共に自分の想像以上のものに創り上げて多くの人とこの先も共有していくために」

 自分にとってkisekiは自分のタップダンスライフのHappy New Yearで、ここからまた新しい人や自分との出会いや発見があると思っている。

 来年のkiseki17も楽しみだし、これから創っていくこと、表現していくことにこれからも関わっていきたいと思う。

濱野 



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