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しっぽを怪我した猫のこと その1

現在、私が勤める会社では猫を3匹飼っている。
私たちがここで事業を始めた頃からいた野良のキジトラ。
元々、この界隈では野良猫が多く、道を歩けば必ず1匹は遭遇していた。

そんなキジトラ猫が。
ある日、会社の物置の中二階(屋根はあるが完全な外ではない)で
自分が産んだ子猫たちを育て始めた。
子猫の存在に気づいた私たちは、あまりの可愛さに当時はまるで無知だったので、餌やりを始めてしまうのであった。
安易に餌やりなどしてはいけないことなんて知らなかったので、
とにかくお腹を空かせているであろうチビたちに食べさせてやりたいと
あれこれ買ってきた猫のご飯をせっせと与えた。
最初こそ、キジトラ母猫はめちゃくちゃ威嚇しまくっていたけど、
少しずつ、少しずつ慣れてきて、
キジトラ母猫はご飯をもらうときにスリスリするようになったり、
4匹のチビ猫ずも私たちの与えたご飯を食べてくれるようになり、
すっかり慣れてくれるようになった。
キジトラ母猫とも、仲良しになれた。

毎日ではなかったけど、時々ご飯をあげたり、おもちゃで遊んであげたりしてチビ猫ずも会社にいることが当たり前のようだった。
その間には、キジトラ母猫の子離れが始まって、チビたちを追いかけるわ、ぶっ飛ばすわ、威嚇するわ…初めて見る光景もあったりして。
半野良猫みたいな猫たちと過ごす日々が続いていた。

数ヶ月を過ぎた頃にはキジトラ母はまた新たに妊娠していたようで、
その年の冬にまた子供を出産。
そしてまた、チビたちを我々の元に連れてきた!
冬の寒い日には、工場の中でヒーターをつけて、電気毛布を床に敷いて、
第一世代と第二世代が一緒に寝たり、最高に幸せな光景だった。
その年の12月のこと。
第一世代の中の一匹の子が数日間姿を見せなかったので心配していると、
ある日やっと姿を表したんだけど高いところからなかなか降りてこない。
どうしたんだろうね?なんて話していたけど、何せすごく高い場所だったので、私たちもそこに行くことができずに見守るしかなく。

また別の日。
その日は私は不在で、社長から連絡があった。
「あの子、怪我をしてるかもしれない」

さすがにお腹が空いたのか、他の猫たちにご飯を与えていたら
下に降りてきたらしいのだけど、その時にあからさまに尻尾がおかしいと気づいたよう。
それから数日、私もその子の様子を見ていたけど、どうにも尻尾が変。
力が入っていないような、常にだらーんと垂れ下がっている。
尻尾を怪我しているんだと明確にわかったところで、さて、どうしようか。
よりによって、その子は4匹の中でも一番警戒心の強い子。
みんなが一緒にご飯を食べている時も、人間がそばにいるとなかなか近づかず、ワンテンポ遅れてご飯を食べるような子だった。

キジトラ母も時々怪我をしていることはあったけど、
それは見た目でも「あと数日で治りそうだな」という程度の傷だったので
わざわざ病院に連れて行こうと思ったりはしなかった。
だけど今回はそうも言っていられないような大怪我。
傷口から感染症を起こすことだって考えられる。

とにかく、捕まえられそうなチャンスが訪れたときに
捕獲して動物病院に連れて行こうということになった。

続く。

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