見出し画像

親知らずを手術で抜いた話 episode3

いよいよ手術室へ。
点滴を引きずりながら、徒歩で看護師さんと共に隣の病棟まで向かう。
今まで生きてきて、ありがたいことに健康体だった私にとっては初手術。
緊張しながらも手術室へ到着。
グリーンの手術着を着た若い男性スタッフに迎えられ、自ら手術台に乗り仰向けになる。
もう緊張はMAX。

麻酔科医に心電図モニターの電極シールをペタペタと貼られると、
心電図モニターを介して、心拍の音が手術室に響き渡る。
めちゃくちゃ早い。とにかく早い。だってすげードキドキしてるんだもん。
そのうちアラーム音まで鳴り出す。
ドラマで見るところの、患者に何か異常があった時に鳴るアレだ。
麻酔科医も「え、え、ちょっとすごいトクトクしてるけど大丈夫?」
「普段から脈早めなのかな?」とか言われてしまう。
他のスタッフが
「だってコロナかかっちゃって延期になったんだもんねぇ。そりゃ緊張するよね」なんてフォローをしてくれたりする。

するとマスクの上からスポッと酸素マスクを被せられた。
「今からボーッとするやつ入るからね。(予備麻酔)
 これ、ちょっとむせる感じするんだけどむせたら咳しちゃっていいよ」と言われたので「マスク外さなくていいんですか?」とか「咳してもいいんですね」とか答えてるうちに少しずつボーッとしてくる。
「そのうち寝ちゃうから」と言われた後、
「あ、本当だ。なんかこれむせるなぁ、変な感覚…
目も開けていられなくなってきたかも…」と考えているうちに、あっという間に落ちていた。

落ちている間、なにか夢を見てたけど、全然思い出せない。
普段寝ている時と同じような日常の夢。
その夢がなんとなくフェードアウトして、目が覚めていく。
「あ、起きそう。起きるよ。」
という声と共にぼんやり目を開けると
瞬時に鼻に通していたカテーテルを引っこ抜かれる。
これが本当に痛かった。
喉にも挿管していたので、目が覚めた時は喉も痛い。
手術台からベッドへ、何人かがせーの!の掛け声で移動してくれる。
ぼんやりした状態で、担当医に「終わりましたよ、緊張したね」と声をかけられ、段々と「そうだった手術したんだ」と思い出す。

手術室から病室までベッドで運ばれ、そのあとは3時間の安静。
病室に到着してすぐに保冷剤で顔を挟み込まれる。
すごく冷たくて気持ちがいい。
痛みはまだ麻酔が効いているため、何も感じない。
頭だけがボーッとしているが、意識は割とはっきりしていた。
1時間経過後に点滴に痛み止めと抗生剤を入れてくれる。
そのあたりからか、なんとなく気分の悪さを感じ始める。
吐き気まではいかないが、食道あたりがモヤモヤと気持ち悪い。
これが恐れていた麻酔後の吐き気かもしれない。
ついに襲ってきたか!

ちょうど看護師さんがいたため、「少し気持ち悪いです」と伝えると、
吐き気止め使おうか?と言ってくれた。できればすぐにでも入れてくれ!という気持ちで頷く。
吐き気止めが入ってからは、あっという間に気持ち悪さが消えて気分もスッキリした。よかった、早めに気づけて。

その後の2時間、意識ははっきりしているだけに辛かった。
仰向けに枕もない状態で寝続けていると腰がめちゃくちゃ痛い。
手術中からずっと同じ姿勢だから、腰が悲鳴を上げていた。
看護師さんに「腰が痛いです」と訴えると枕を入れる提案をしてくれたけど、多分それも痛い気がしたので、枕は入れてもらわず、
体の向きを変えてもいいか聞いてみたら大丈夫とのことだったので、
残りの時間は横向きで寝ていた。
術後ってみんな腰痛くないのかな?あまりそういう話を聞かなかったけど、
私はとても痛かった。
腰痛持ちの人は要注意。

残りの2時間が経過して、やっと動くことが許される。
ちょうどその頃、全部の手術を終えた主治医が様子を見にきてくれた。
その時はすでにうっすらと左側の頬が痛かったので、
「左が痛いです」と伝える。
どうやら、左右どちらもかなり深かったようだ。

先生がいなくなると、まずはフラつかずに立てるかどうか試す。
そして水分をとってみて気分が悪くないか聞かれ、それをクリアすると
その後、歩いてトイレに行けるかを試してみる。
尿意はなかったので、トイレまで歩いてみると問題なく歩けた。
動けるようになってからは、もう自由。
前日21時以降、絶食だったのでそろそろお腹が空いてくる。
この日は食事が出ないのだけど、持参したゼリーやプリンを食べてもいいことになっていたので、吸うタイプのゼリー飲料をコップに出して少しずつ食べた。
両側とも手術しているため、「吸う」という行為もなかなか難しいので、スプーンで掬えるものがいいと術前に教えてもらっていたので助かった。

全身麻酔の手術を受けたと言っても、1時間半程度の手術だったので、
術後は意外と元気で、ずっと眠いということもなかった。
夜中に、両顎がジンジンと痛み出したので、ナースステーションまで
とことこ歩いて(ナースコール押せない人)保冷剤を交換してもらいに行ったりした。
術前の説明でも聞いていたが、保冷剤で冷やすのは「腫れるまでの間」で、
腫れてしまってからは冷やさないほうがいいらしい。
すでにその時はもう腫れ始めてしまっていたので、看護師さんには
「ずっと当てないで気持ちいいくらいに当てるならいいよ」と言われる。

夜中は術後に点滴から入れてもらっていた痛み止めも少しずつ切れ始めてきていて、激痛はないもののジンジン痛む。
眠いのだけど、痛みで何度か目が覚めた。
同室のおばちゃんのいびきも手伝って余計に眠気を妨げる。

episode4に続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?