午後11時

オレンジの優しい光 冷えた部屋 響く秒針

なにも通知のこないスマホ

全てが、わたしの寂しさを作る材料だった。

朝一番の忘れ物 上司の些細な一言 クレンジングオイルの詰め替えも忘れた。

嫌だったことしか思い出せないこの時間帯が

とてつもなく嫌で とてつもなく愛おしい時間だ。

自分と向き合う 自分を見つめる

自分は 他の人と違うんじゃないかって

他の人みたいに みんなと同じように
生きれてるかなって

自信を無くして 明日が怖くなって 逃げたくなって

イヤホンをつけて 眩しいスマホの光に目を眩ませて

大好きな人の声を聴こうと 指が自然と画面を滑る。

深くて 強くて 私ごと全部包んでくれるみたいな、優しくて柔らかい毛布みたいな、大好きな大好きな人の声

近くにはいないけど、近くにいるみたいで

寂しさを埋めてくれる。

安心した。ひとりじゃないんだ。って

しゃがみこんで、同じ目線で、大丈夫って言われている気がした。

イヤホンをしたまま わたしはいつの間にか 次の日へ進んでいた。

明日も頑張ろう。

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