2度目の採卵中に推しのことばかり考える〜たまにちらつく夫〜
約1週間前、2度目の採卵を終えてきました。
1回目の採卵は無慈悲にも砕け散り、それに充てた夫婦の給付金20万円が一瞬で溶けました。
絶望の淵に立たされたのもつかの間、沈黙の3ヶ月を経てようやく2回目の採卵へ。
卵をとるか、卵巣の爆発をとるか
私が通院するクリニックでは採卵から培養で30万円以上はかかり、いくら不妊治療の助成金が後々手に入るとしても、そのうちの最高で15万円ほどしか還付されません。これは初回ならば30万円です。
つまり15万円以上は実費なわけで、失敗したら(=何一つ凍結保存できない場合)この15万円は塵と化すわけです。
我が家はリッチな家庭ではありません。
前回の失敗から学び、もう悲しい出費はしたくないと、“成功の見込みがない採卵は見送る”という私なりの方針に基づいて、採卵前の診察でいくつ卵胞が育っているかを確認し、数によって採卵を実施するかを判断しようと決めました。
ちなみに私が考える採卵ステージでの成功とは、「胚盤胞を複数個凍結保存できる状態」のことを指します。
前回の採卵からの3ヶ月の間で、採卵日直前でまたしても卵胞が2個程度しか育っていなかったため、採卵を見送った経緯があったのは7月のことでした。
採卵して得られた卵子がその後受精し、発育(卵割)し、初期胚から胚盤胞になるまで多くの試練を乗り越えていかないとなりません。
前回の採卵後、「卵子が5つ以上採れないなら採卵はしない」と決めていたわけですが、その考えも徐々に風化していってしまいました…
私の場合、卵子をたくさん得ようと卵巣刺激を強く行うと、卵巣が腫れ、胸水・腹水が溜まる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高いということがわかったからです。
自覚はなかったのですが、「刺激により卵巣が腫れているので安静で」と医師から言われていました。通常2〜3cmの卵巣が採卵前には6cm程度に膨れていました。
『卵をとるか、卵巣の爆発をとるか』
こんな命がけの選択を迫られる不妊治療のなんとおぞましいこと。なのに全額自費。
卵はできるだけほしいけど、私の卵巣も守りたい。むしろ無事に生きるのが最優先。
結果「採れて1〜3個」という医師の判断に異議なく、素直に2回目の採卵に踏み切ったのです。
第2回目採卵の費用
今回私が行ってきた卵巣刺激法は以下になります。
この刺激方法がどのタイプに分類されるのかはわかりませんが、明らかに前回と比べ、注射の数が増え、注射の濃度も高くなりました。
・前周期の高温期3日目あたりからエストラーナテープ0.72mg(卵胞をゆっくり育てる)を次周期(次の生理)が来るまで一日おきに貼付
・採卵周期の生理3日目からクロミッド(卵の成長促進)を7日間ほど内服
・採卵周期の生理3日目から1日おきにhMGフェリング150単位(卵巣刺激)を自己注射
・採卵4日前、3日前とhMGフェリング225単位とともにセトロタイド0.25mg(早期排卵防止)を注射
・採卵2日前、昼にhCG製剤0.25mg(卵の成長促進)を、夜にオビドレルシリンジ250μg(卵胞の成熟促進)を注射。さらにブセレキュア点鼻薬(卵胞の成長促進、排卵抑制)を2回実施
・採卵1日前、ブセレキュア点鼻薬を1回実施、ボルタレン坐薬を2回実施
改めて挙げてみて、こんなに注射打ってたんか!と衝撃を受けてます。
私の両肩やお腹は1日おきに何かしらが注入されてました。
これが高刺激になると連日注射なんですよね…
それに比べたらまだかわいいものです(麻痺)。
金額でいうと、採卵周期は採卵日前日までで12万円弱はお支払いしてます。
そして、採卵日当日のお会計は22万3千円でした!ヒーン
3日後に受精確認があり、その結果により6万円から20万円の範囲で追加の費用がかかります。
これは後日払いの採卵費用(1/3分)と顕微受精を行った場合の費用、そして凍結保存できた場合の費用です。
これらは卵子や受精卵の個数によって変動があります。
採卵は推しのことを考えて乗り切る
採卵日当日の流れは前回と同様でした。
採卵直前に排尿を済ませておかないといけないのですが、看護師からはトイレを済ませたかを聞かれないまま手術室へ案内されました。
前回は、手術服に着替えてから一息つく時間がかなりあったのですが、今回は採卵実施件数が少なかったのか、着替えてすぐに案内されてしまったためトイレに行き損ねました。
トイレに行ったか聞かれないのをいいことにそのまま手術室へ向かいながら、『今のところは尿意はないけど漏らしたらどうしよう』とばかり考えていました。
漏らそうものならクリニックの伝説になってしまいます。
『けどまあ、なんとかなるか…(希望的観測)』
担当医は前回と同じ先生でした。
2回目の採卵ともなれば、既知の作業なので不安はありません。
ですが、経験しているからこそ、これから襲来する予定の痛みの程度を知っています。
前回は激痛ではないにしろ、刺されている感覚は大いにありました。
『あの痛みに備えなくては…負けてたまるか』
と意気込んだ結果、思い浮かぶのはK-POPグループのあるメンバーの姿でした。
今一番推せる、威神V(WayV)、SuperMに属するTENくん(本名チッタポン・リチャイヤポンクルくん)です。
容姿端麗でネコ科動物さながらの眼力をもち、ダンスが芸術レベルで、静止画で見ても動画で見ても目の保養になる…
さらにはタイ語・中国語・英語・韓国語を習得している努力家で、キャラクターも愛らしい…
『…そんな彼みたいな天からの申し子を(TENだけに)、私は産む…!!!!』
この思いだけで、痛みを乗り越えました。
それでも痛いものは痛いので、右手の中指には常に親指の爪を食い込ませ、別の痛みを創造していました。
『こわい、痛いのやだ…でもチタポン(TENくん)を産む…
…イタっ!(中指にさらにめり込む親指の爪)
いやだ負けない…
私は…チタポンを産む…!(親指の爪をめり込ませるのを薬指に変える)』
チタポンのことばかりを考えるのは、夫に悪いので、たまに夫のことも思い出してあげました。配分でいうとチタポン9:夫1くらいです。
事前に採れて最高3個と聞いていたのに、感覚的には刺された回数は6回程度あったように思います。未熟なのも採ったのかな、とそのときはあまり期待しないでおきました。
今回も右の卵巣からしか採卵はできないので、20分以内には終わりました。
終わって手術台を見ると、クリムゾンカラーの戦いの跡が。お疲れ私。
前回と同じく、スタスタ歩いて控え室に戻ってから、買っておいたホットドックを瞬食しました。
最後の採卵?
採卵後1時間以上経ってから採卵の結果を聞きます。
採れた卵子は、成熟卵7つで未成熟なのもいくつかあるということでした。
本来の私の方針、“5個以上の卵子を採りたい”という願いは結果的に叶いました。前回はまともなものが1つしか採れなかったので、大きな進歩です。
3ヶ月の間でやや体質改善をし、サプリメントや糖尿病ではないのに糖尿病薬をしっかり摂っていたこと、それから卵巣刺激を強くしたことが奏功したようです。
夫の精子は今回も好成績を収めていたので、今回は全て体外受精を行うことにしました。もし受精しなかった場合は顕微受精が適応されるようです。
7つも卵子が採れたのだから、最低でも1から3個くらいはなんらかの段階の受精卵が凍結できるだろうと考えていました。
妊娠までの道のりの第一段階がこれで終わる…次はやっと子宮筋腫手術だ…
亀ほどのスピードで進む私の不妊治療が、着実にゴール(妊娠)に向かって進んでいるとわかり、少し報われた気がしていました。
そう、このときまでは…(ひいいいいい)