新生児と鳥のさえずりに囲まれて子宮筋腫の手術をしたよ(後編)
あけましておめでとうございます。
え…もう4月も半ばですか?(白々しさ)
おひさしぶりです。ひみこです。
2020年11月に手術を終えてからというものの、不妊治療のふの字も思い起こすことなく、ただ1個の35歳DINKs女性として生活していました。
手術の担当医からは「術後3周期は不妊治療をせず、明けたらまた不妊治療クリニックの先生を伺ってください」と言われ、3周期どころか6周期くらい何もしていない今。とりあえずサプリメントだけ飲んでいます。
2019年から2年間ほど走りつづけていつまでもゴールしない不妊治療から離れてみると、卵子のご機嫌を伺う必要もなく、すっきりした気持ちだったのです。
基礎体温の上げ下げは気にしない。
クリニックにも頻回に通う必要もなく、休日は好きなことをする。
注射も打たなくていい。
仕事も急に休まなくていい。
有給は不妊治療のためではなく、私が休みたいから休む。
このシンプルな生活がとても楽でした。
「このまま夫と2人でもいいんじゃないかな」
という思いが強まりました。
さて、その話を広げる前に、今回は子宮筋腫手術記録のつづきです。
5ヶ月近く空いてしまったので臨場感はゼロです。
前回のお話はこちらです。
自分のリハビリは自分でやる
私の今の仕事はリハビリ職です。
術後で一番絶望感を覚えたのが、
「廃用症候群になりかけている」という事態でした。
廃用症候群とは、安静状態が長期に渡って続く事によって起こる、さまざまな心身の機能低下等を指す。生活不活発病とも呼ばれる。特に病床で寝たきり状態でいることによって起こる症状が多い。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/廃用症候群
術後翌日はベッドで寝ている状態から起き上がるだけでめまいが出現し、気を失いそうになりました。これは起立性低血圧という症状です。
頭の血液が重力で足のほうへ一気に移動することで脳が虚血状態になります。
基本的に人間はこれを防ぐための機構がありますが、寝たきり状態だと正常に働かなくなります。勉強になりますね。
廃用症候群は基本的に2から3週間で完成するのですが、起立性低血圧もこの特徴のうちの一つです。
普段は仕事で患者さんの廃用症候群が進まないようにリハビリをしているわけですが、いざ自分の身に起こると「これが噂のアレか…」とズシっときました。
実際、創部が痛くて今まで通りの起き上がり方ができない。
お腹に力が入れられない。
咳ができない。
くしゃみをしたら腹が裂けてしまうんじゃなかろうか。
そして起き上がると失神する…
そこで登場するのがリハビリです。
誰の何の参考になるかはわかりませんが、自分の仕事柄、これは記録していかなくちゃ!という使命感に駆られ、日々の自分自身のリハビリの様子をiPhoneのメモアプリに記録していました。
私プロデュースのリハビリの甲斐あって、予定通りに手術から7日目で退院できました。めでたしめでたし。
手術をしてはじめてひどい内膜症だと知る
執刀医「臓器同士の癒着がひどかった。
子宮と直腸、子宮と膀胱。
全部切り離しておきました」
「あと、(子宮)内膜症がひどい」
「今までの状態だと自然妊娠は難しい状態でした」
これは、退院日前日に聞いた退院前診察でのお告げでございます。
内膜症…
卵巣のやつは2年前に手術したんですがね…
次から次へと生殖機能のしょぼさが明るみにでますね…
この内膜症は、子宮を切り開いてやっとわかるらしく(他にも専門の検査方法はあるようです)もちろん不妊治療クリニックでは指摘がありませんでした。
内膜症に臓器同士の癒着…
こんな状態の悪い環境では自然妊娠するわけがありません。
採卵しようにも良い卵子が育つはずもないでしょう。
今まで自然妊娠の範疇で行っていた人工授精6回はすべて無意味だったことがこの場で証明されたわけです。つらみマックス。
そして執刀医の先生は「手術した今なら体外受精で妊娠できます」と励ましてくれ、なんだか久しぶりにうれしいことを言われたな〜と当時は思ったものです。
DINKs is 最高
術後しばらくは「妊娠」の概念をマリアナ海溝に沈める勢いで、とにかく日常生活を取り戻すことだけに精神統一していました。
「早く走れるようになりたい」
「重量級の患者さんを持ち上げられるようにならないと…(移乗介助)」
仕事も長期のお休みをいただくことができたので、仕事をする以外の日々の暮らしはほぼ元に戻りつつありました。
しかし、ちがうのが、「不妊治療をしなくていい」という点です。
つまり、不妊治療に消えてなくなる(傾向のある)お金が手元に残るのです。
本来、不妊治療に捻出していたはずのお金で
大型冷蔵庫を買いました。
優雅なホテルステイを何回かしました。
投資にお金をまわせました。
そうです、これが不妊治療をしない家庭でみられる風景です(真顔)
そして仕事に復帰を果たした今では、仕事を急に休む必要もなくなりました。有給は私が休みたいから休むのです。クリニックに行くからではありません。
不妊治療を休んで、お金と時間が手に入りました。
正直なところ、成功体験をまったく積めていないこの2年間にわたる不妊治療を再開することを考えると非常に気が重いのです。
辛酸を舐めた苦しい日々を思うと、このDINKsの生活が大好きでなりません。
もちろん体外受精なしには私は妊娠しないでしょう。
最近は「それでも子どもほしいか?」と自問することが増えました。
答えはまだわかりません。
わからないからこそ、可能性を残す意味で体外受精をし、受精卵を凍結保存することを過去に決めたわけですが、今では時間とお金を失うことにとても保守的になった私がいます。
こうしている間にも刻一刻と私は歳をとり、
卵子の数は減っていきます。
ただ、私の人生の時間も有限で、それをどう使えば後悔しないのかを考えることが私の中での今1番のトレンドとなっています。
不妊治療がうまくいかない可能性の高さとそれにより失う私の時間とお金。
答えなんて簡単にはだせないのです。