1986年12月1日に刊行された浅田彰著『逃走論』よりパラノイアとスキゾフレニーを取り挙げます。
約40年前の著書ではありますが、時代遅れではなく、現代社会でも充分に現実味を感じる内容だと思います。
パラノ型というのは偏執型を意味するのだが、現役時代には、資本主義社会で生き抜いていくためには、こうならざるをえないことは、身に染みて理解していた。
他方、スキゾ型というのは分裂型を意味し、子どもたちは例外なくスキゾ・キッズだと浅田氏は述べているが、その通りでしょう。
新人時代は、スキゾチックさを含みつつも、徐々に出世するにつれて、パラノ度が増していく感じだった。
40年前も成長の終焉の予感がいたるところで囁かれていて、パラノ社会の病的な性格があらわにせずにはいられない、と言われていた。今や完全に成長が止まり、失われた30年の間、日本だけ給料がまったく上がってなかった状況では、パラノ社会のままで、果たして持続可能なのかという域に達しているのではなかろうか、と思われます。
そこで、スキゾ・カルチャーと到来となるのです。
現在は、ChatGPT、VRなどは、スキゾ・カルチャーが社会を席捲している。40年前にすでに、浅田氏は、「一定方向のコースを息せききって走り続けるパラノ型の新本主義的人間類型は、今や終焉を迎えつつある」と主張していた。ところが今だに、生き残っています。消費税を上げて、法人税を下げるなどと、企業を保護してきた結果でしょうね。