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「心と脳」について哲学者と脳科学者の見解は?

「心と脳」について、まず哲学者永井均氏の見解は、次の通りです。

心は、心の中でも特に「意識」と呼ばれるものは、じつは存在しません。これは、 誰でも知っている自明のことです。と、私がこのように言うと、たいていの人は 目を白黒させます。

職業的な哲学者で、こういう問題を特によく考えていそうな人で も、しかもその人が唯物論者で、心なんて物質の働きにすぎないなどと日ごろ主張し ている人でも、「でも自分自身の心、自分自身の意識は、やっぱり存在するでしょう」 などと言いはじめて、私を驚かせます。

そういう哲学者は、たいていの場合、心や意 識の存在を前提したうえで、それが脳や神経などの物質的なものの働きにどのように 関係しているかなどといった、つまらない話を続けて、私を心の底からがっかりさせ ます。

『なぜ意識は実在しないのか』P2

著書の冒頭から、この調子で、この後も文庫版で4頁ほど批判が続いています。哲学者の立場であれば、当然の意見だと思い、同意できます。

一方、脳科学者茂木健一郎氏の見解は、以下の通りです。

《「クオリア」を神経細胞の活動から説明することが、心と脳の問題の核心である》 とみなすべきだと考える。

「心」と「脳」を結ぶのは、「クオリア」なのだ。クオリアの問題こそ、心と脳の問題の突破口なのである。

茂木健一郎. 脳とクオリア なぜ脳に心が生まれるのか (講談社学術文庫) . 講談社. Kindle 版.

2024年5月10日に投稿したクオリアと人工意識で、茂木氏は独我論者として、ゴルギアス、デカルト、バークレーという偉人たちに並んで、永井氏の名前があがっていたことに、違和感がありましたが、彼は、永井氏の著作『なぜ意識は実在しないのか』を読んでいたので、取り上げたものと推測しました。

意識は、元々哲学分野で扱っていたものであり、数値化の困難な意識を科学で扱うのが間違っていると思っていますが、この困難な分野に30年間も研究し、挑戦し続けている茂木氏の姿勢に驚いています。

クオリアは、言葉にさえ表現できないものを科学的に解明することの困難さは、茂木氏も重々に理解した上でのことですので、ほんの一部分でも理解しようと思って、彼の著作を読んで脳科学を勉強しているところです。

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