Fender PB/Singular Modify
フェンダーをSingularがモディファイしたらどうなるのか?
中2の頃にベースを弾き初め、数多くのベースを所有してきた。
以前の記事にも書いたように、スペクターやミュージックマンやアレンビック、まだ書いていないがスタインバーガーだとかフォデラやケン・スミスなど、おまえ楽器屋でもやんのかよ?というぐらい、私の手元にはベースがある。ただ齢五十も過ぎると、アイデンティティとも言える一本が欲しくなってくる。スティングが近年愛用しているフェンダー・テレキャスター・ベースは、まさにそれだ。
トシをとってから良さが分かるモノは色々ある。演歌やブルックスブラザーズの紺ブレもそうだ。そういった意味も含めて、二十年ぐらい前に中古で買って放ったらかしにしていた80年代のフェンダージャパンのミディアムスケールのプレシジョン・ベースを思い出し、Singularの天才職人である斎太郎君のところに持ち込み「これさ、ゴリゴリにカスタムしたらカッコ良くない?」と相談したところ「面白そうすね!」と乗っかってくれたので、構想2ヶ月、作業2日でカスタムしてもらった。
最初は軽い気持ちでメッセンジャーで「このDELANOのアクティブサーキットをプレベに付けてみようかな?」と斎太郎君にリンクを送ってみたところ「これは是非使ってみたいです。。!気になります」と返事が来たので、こちらも調子に乗って翌日には「DELANOのプリアンプとPJピックアップ買ったので、届いたら取付を手伝って」というやりとりから始まってしまった。
いつの間にか止まらなくなり、あれこれパーツを物色する日々が続き、斎太郎と顔を合わせるたびに、やれ「ピックガードをどうする」とか「この感じ製品化したら良くね?」とか、そんな話をしながら仕事の手が空くまで時間が過ぎた。
なにを施したのか?
パーツ交換
・マシンヘッド:GOTOH/FB30-L4-Aged Nickel(RELIC)
・ナット:ブラス削り出しに換装
・フロントピックアップ:DELANO/PMVC4 FE/M2
・リアピックアップ:DELANO/JMVC 4 FE/M2 BRIDGE
・アクティブサーキット:DELANO/SONAR 3MS/E
・ブリッジ:BADASS/BASS-III
・コントロールノブ:GOTOH/VK1-19 RELIC Aged Chrome
・ピックガード:Singularオリジナルデザイン
ネックとボディを残して、ほぼ総入れ替えという内容。
整形だったら、ほぼ別人である。
ブリッジはここ数年ネットでずっと探していたBADASSのBASS-IIIが、このタイミングで奇跡的に新品未使用のデッドストックを発見し、即購入。
このBADASSもそうだし、DELANOのピックアップとサーキットを使うのは初めてだったので、とても楽しみだったのだが、私の楽しみ以上に斎太郎君の作業が大変そうだった。
先ず、彼は幾つかのピックガードのデザインを提案してくれた。
私は右から二番目の③が気に入った。
これにヴォリューム等のコントロールパーツをインストールして行くわけだが、果たして元のスペースに収まり切るのか? なにしろアクティブサーキットとバッテリーを搭載するのだ。なんとなく入りそうな気もするし、やってみなければ分からない感じだった。
元の状態が良くなかったのでキャビティを掃除して導電塗料塗り、乾かす。
そして元から付いていたマシンヘッドを外し、新たに購入したマシンヘッドに付け替える。重さを量ると、ひとつあたり20グラムほど重たくなるそうだ。
予想外のサイズで1ミリ大きかったら収まらなかったかもしれない。
ついでにフレットを磨いて整えてもらう為に、フィンガーボードにマスキングテープを施した。ここだけは私の仕事である。
いよいよピックアップとサーキットの取り付けなのだが、斎太郎君が「ミッチミチで入りましたけど、まったく隙間が無いです」との事だった。
この問題は後日、別の場所にバッテリーボックスを取り付けたい。
では全体像をご覧いただきたい。
やべえ、すごく良い。
音も想像以上に良い。
放ったらかしだったプレシジョン・ベースが、息を吹き返したどころではなく、全く新たな楽器となった。
どんな音がするのか、気になる方も居られると思うので、後日改めて動画でご紹介させて頂きたい。
斎太郎君がモディファイしてくれた、このフェンダーのおかげで、来世ではスティングになれそうな気がしてきた。
Photo by Toshimitsu Takahashi