movietone / useless landscape (7")
・movietone / useless landscape (planet records 1996)
ひっそりと出品されていたのでひっそりと購入。最近活動を再開したらしいmovietoneはFlying Saucer Attackなどと並び90年代後半のブリストルを代表するバンドで来日公演も見に行ったので思い入れも深い。両面とも個人的に最高傑作だと思っている2ndアルバム「Day and Night」収録曲。
movietoneを知ったキッカケはPastelsのスティーブン・パステルがインタビューでお勧めのバンドとして紹介していて興味を持ち大学生の頃に心斎橋waveで1stアルバムを購入した。当時熱心に聞いていたpastelsやyo la tengoといったバンドと比べるとよりミニマルでフリーフォームな即興性の強い演奏や日本のアンダーグラウンドのバンドにも通じるような闇と混沌を携えたノイズギターサウンドなどが印象深い作品であった。
当シングルは1stアルバムに顕著だったノイズギターなどの要素は薄くジャジーなアコースティックギターの反復フレーズと囁くようなボーカルを軸として管楽器や高度なエフェクトテクニックをさらっとこなすエレキギターなどが微熱を帯びながら折り重なって展開していく「useless landscape」とドローン要素と歌が入っているアルバム収録曲とはバージョン違いのインスト「summer」の2曲。とにかく録音がよくてパーフェクトと思えるマイクと演者の距離感や部屋鳴りの夢幻的な魅力がアナログで聴くとさらに崇高さが増す。2005年の来日公演では客席を歩きながら演奏していたことが強烈な印象として残っているが、このレコードを聴いて改めて楽器や歌の距離感や響かせ方にかなり自覚的なバンドであることを再認識した。
05年の来日の際に行われた貴重なインタビューテキストがDISC SHOP ZEROのBLOGに残っている。興味深い逸話が多いので必読。
心のざわつきを沈めてくれるような効能を持つmovietoneの音楽はコロナ禍の落ち着かない状況の中でも有効に響くはずなので未聴の方はサブスクなどにもあるので是非チェックしてみてください~