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就活生へ送る採用人事からの助言-第1話「本当に成長したい欲ってある?」
はじめに
本投稿は、主には就職活動を行っている学生やこれから就職活動を迎える人たち向けを中心に人事からのメッセージを発信をしていきたいと思います。好評であればシリーズ化していきたいなと思い、「第1話」としています。
※あくまでも個人の見解が120%の内容になっていますので、時に断片的な言い方があったり共感いただくこともいただかないこともあると思いますが、それは「間違い」ではなく、ただ「違う」とか「合わなかった」だけだと思って頂けますと幸いです。
では、今回の話に入っていきます。
第1話「本当に成長したい欲ってある?」
筆者自身、2018年新卒で社会人となり、自身の就職活動だけでなく社会人となっても1年目から人事を行っていたこともあって立場は変わっていきますが、新卒採用市場、就職活動市場にずっと関わってきました。
まだまだ諸先輩方から見れば短い期間ですが8年近く就職活動や新卒採用というものを見てきて、学生も企業も変化をしたことはここでは書ききれないくらいたくさんあります。その中で最近よく感じることが一つあります。
「だれよりも成長はしたい」、、、けど「きついこと、大変なことはしたくない/できればやりたくない」、「プライベートの時間もしっかり確保したい」。そんな就職活動生から面接に聞く就職活動の軸は「成長環境」「若手からの裁量権がある環境がいい」の2つ。この就職活動の軸が間違っているとかそういうことを言っているわけではなく、ただ、少なくとも感じるのは、これによって没個性的な状況(みんな同じ事を言ってるなとか)が面接内で起きているのではないかということと、評価者に対して解釈相違を与えてしまっているのではないか(ゆえにあとあとこんなはずじゃなかったという自身への後悔を生み出しているのではないか)という危機感です。
これまでみなさんが感じ得ることのできた成長という体験は、「どんな体験でしたか?」「そのときどういう目標を追いかけていましたか」「達成するまでのプロセスの中で優先順位として我慢や犠牲にしたものはありますか?」「達成するために何を取り組みましたか」「どういうときに成長したなって実感しましたか?」。これをまず改めて思い返してみてください。
おそらくほとんどの体験に以下が共通します。
●達成したいと思える明確な目標がある
●精神的・肉体的な苦痛やプレッシャーを受け入れている or ある時間のすべてを投資している
●明確な結果・周囲からの賞賛によって、自分のしてきたことを正当化・自信にできた
あとは、関わる人が多ければ大きいほどその喜びは大きくなり(個人の達成<チームの達成)、かけた時間が長ければ長いほど自身の記憶に濃く残っていると思います。目標の達成難易度が高ければ高いほど、達成後の充実感や快感は非常に高いものになります。
では、この体験を社会になって再現するとして置き換えてみましょう。
①社会人になるうえで達成したい思える明確な目標(明確とは達成したかどうかが主観でも客観でもわかる)はありますか?
②①のために精神的・肉体的な苦痛やプレッシャーを受け入れる覚悟はありますか?
又は、極論自分が使える時間のすべてを投資する覚悟はありますか?
③明確とは達成したかどうかが主観でも客観でもわかるものになっていますか?
(でないと周囲は気づくことができません)
基本的に物事はトレードオフなので、たとえば「サッカーの練習に1日2時間使う子」よりも「サッカーの練習に1日10時間使う子」の方がスキルの上達は早いでしょうし、地区大会1回戦勝つことを目標にする子よりも、全国大会優勝を目指す子の方が練習量も練習の質も、結果としてその子自身のスキルも上達するでしょう。
先述していた「だれよりも成長はしたい」、、、けど「きついこと、大変なことはしたくない/できればやりたくない」、「プライベートの時間もしっかり確保したい」というのは成立しないというのは皆さんの過去経験がそれを証明しています。特に社会人のスタート1年~3年くらいの期間は、仕事におけるアウトプット能力(成果を生み出す力)に差がほとんどないので、そこに使った時間やトライした数・量がそのまま結果につながることがしばしあります。
ここで改めて。
皆さんのしたい成長は
①どんな目標達成のために存在しますか?
②そのためにどんな犠牲や投資を受け入れることができますか?
あくまでも人によって目標も違うし、受け入れことのできる投資や犠牲も違います。
なので、「こうじゃないといけない」という画一的なものではなく、自分の尺度を自分で理解することが重要です。
さらに、「成長環境=ベンチャー」だと頭ごなしに思っている人たちへ。
その成長はベンチャーでないと実現できないものですか?
いま皆さんの行っている就職活動は、皆さんの親世代、先輩世代よりも年々浴びる情報のシャワーの量も、取ることができる選択肢も増えています
(ついでに新卒採用を実施する企業は年々増えていますが、就職活動生数は年々減っています)
ゆえに、情報はたくさんいたるところに転がっていて、情報を取捨選択することや整理すること、自分の考えや意見に転用することが難しくなっている、そこに悩んでいる印象を持っています。
だから、とりあえずみんなが向かっている方向にいけば、だいたい大丈夫だろう(と、それっぽい言葉を使うコトで思考を止めておく)とか、就活テクニックやノウハウなものに目が向きがちになり(その曖昧な不安定な状態から効率よく早く脱出したいから)、自身の中にある曖昧な感情、思考と向き合う時間をとれていないのではないでしょうか。
正直、院進学や公務員を目指す人に比べると、圧倒的に自分自身に向き合う時間を多く使うことができる、使わざるを得ないのが就職活動だと思います。前者(公務員や院進学を目指す人)は自分に向き合う時間よりも先に、勉強を始めないと間に合わないという受験戦争のようにになっているかと思います。個人的には就職活動の時間は仮に就職をしないという決断になったとしても、初めて自分の将来や人生自体を真剣に向き合う最初の時間なので非常に意味のある行動だと思います。
じゃあ、そんな曖昧で不明瞭で分かりにくいこれから先の将来を考える就職活動をこれからどうしていけばいいいのか?
結論、正解は無限にあります。その人の数だけそのパターンはあります。なので、決まったこれという方法はありません。よく「大手」と「ベンチャー」論が毎年のように議論に上がりますが、僕は大手企業で勤めた経験がないので、そもそも比較して論じることはできません。
が、ベンチャーという環境にいても「成長し続ける人は自分でどんどん目標設定していって整備されていないという環境をうまく自分事にして(自分が解決すべきミッションにして)トライを連続している人」だなと思います。ある意味「常に飢えている、満足しない人」かなと。逆に、ベンチャー企業にいても、与えられた仕事だけをただしているような人もいるので、どっちが環境としていいか、というより働く自分がどういう目標意識を持って取り組むかの方が120%重要かなと思います。
なので、自分が目指したい目標とそれを達成するために取れる犠牲や投資に見合った、自分なりの、自分に合う形の成長し続けられる環境を選ぶことが一番だと思います。
結果として、それは世間一般のいうベンチャー企業かもしれないし、大企業かもしれませんし、はたまた自分で起業することになるかもしれません。
本記事を読んで、皆さんの就職活動が1歩でも前に進むことを祈念しています。
おまけ(参考)
弊社(クルーズグループ)で成長し続ける人=「食わず嫌いしない」人についてのこちらの記事も参考にしてみてください。
今回、「成長」というものをテーマに執筆してみましたがいかがだったでしょうか。
コメントなどで意見をいただけると幸いです。
第2話「なんで面接が全然通らないんだ」を解剖してみた へ続く。