「大人帰国生×職業」というイベントに参加して思った事
自分の考えを整理するために始めたnoteだったが以前書いた記事に共感していただいた「大人になった帰国子女」の方から連絡をいただきオンラインイベントのお誘いを受けた。
完全に自己満足で始めたnoteだったので反応があったのは嬉しかったし発信するって面白いなと改めて思った。
世代も職種も超えて大人になった帰国子女が集まり日本社会で働いていて感じる事を話し合うという事は、まわりに「大人帰国子女」が少ないのでなんとも興味深く、好奇心旺盛な私は興味津々で参加した。
初めに全員でお題について説明を受け、その後4人組のグループに分かれてディスカッションしていき最後にリーダーの方が皆の前で発表していくというスタイルのイベントだった。
「仕事で満足感が高い時、低い時」
というテーマをもとに、皆の回答を帰国子女特有なのか個人的な感じ方なのか、日本特有なのか世界共通なのか等、様々な視点で話し合うという内容だった。
このイベントに参加して初めて知った言葉は、私たちみたいな人種を
「Third Culture Kids」と呼ぶらしく、定義は、
両親の国の文化とは別の文化圏で人格形成に影響を及ぼす時期や思春期を過ごし、どの文化も完全に自分のものではない感覚を持つ子供たちの事を指す
帰国子女が多い高校を卒業して専門学校に行った私には、まわりに「大人帰国子女」があまりいない。
高校時代に海外経験があるという共通点があった友達はあの時の私にとって特別ではなかったので仲良かった数名以外連絡をとっていない。むしろ一番の親友は学年の三分の一しかいなかった日本生まれ、日本育ちだ。
大人になって知り合った友達の方が興味の対象や仕事や生き方に対しての価値観が近いなと思える人が多い。
そもそもグループに所属することが昔から苦手だった。ジャンルに分けられることも好きではない。
帰国子女という言葉は、説明が手っ取り早くて楽だから自分でもたまに使うがそこまでしっくり来ているわけではなく、皆にそう言われるからそうなのだと認識していた。
しかし日本に住んでいる年数のほうが圧倒的に長くなった今でも仕事のやり方や社会に対する考え方が「日本的」ではないのかなと感じる事がたまにある。「サードカルチャーキッズ」の定義は自分の中ですごくしっくりきた。
よく「素直だね」とか「ストレートに話すよね」と言われるけど、そもそも素直で何が悪いんだと思ってしまう。裏を読みながら会話をすることはお互いの理解が間違ってしまう可能性もあるし効率が悪い。
ルールを変えようとしても時間がかかったり、大多数の人が間違っているとわかっているのに指摘する人がいないと、改善できるものも良くならない。
良くしたいと思って指摘すると「代わりに言ってくれてありがとう」と言われて複雑な心境になる事がある。出る杭は打たれるので、目立ちたくないのだろうか、めんどくさいのだろうか。
自分は問題をスルーするよりも解決したいので言ってしまうが、損な役回りになってしまうこともある。
こんな事を言いながら、私達の共通点は、これでも意外に皆んな、気を使っているという事だった。
「帰国子女は意見をはっきり言って空気が読めない」というフレーズを耳にしたことがあるが、私たちなりに日本の文化を尊重して社会に馴染もうと努力はしているのである。
伝え方もものすごく気を使っている。
むしろ、色んな文化やコミュニティーを転々としてきた分自分と違う価値観に対しても抵抗はない。そしてどの新しいコミュニティーに入る時も新入りは気を使って周りの様子をうかがわないといけないと思うが、郷に入れば郷に従えという言葉があるように、馴染もうと思えばどこにでも馴染めたり合わせれなくはないのだ。
ランダムに分けられたグループの中の四人の意見ではあるが、全員が帰国子女を知られるのがめんどくさくて隠していた事があった。
あえて自分を出そうという気持ちはそこまで強くなく、そこはもう性格だったり個人差の領域に入ってくるのだろう。
イベントに参加していた方達全員の職種はわからなかったが主に、教育関係、企業の海外部署で働いていたり語学を生かした職種などのTCK特有の利点を生かしている方が多いようだった。
今後もぜひ色んな方面で活躍していただきたいと心から思う。
今日本に必要なのは、考え方の違いを受け入れて堅苦しいシステムを変えていく事だと私は思っていて、
政治や社会問題、教育を見ていてもそうだが、ルールやしきたりみたいなものが多すぎて、良い方向になかなか変わらない。
国会の中継をニュースで見ていて思うのは、(きっと話題になりそうな部分を切り取って編集しているのかもしれないが)
あんなに叫んだりお互いを蹴落とそうとしたりしながら討論しても良くなるものも改善しないのではないかと。
もっと穏やかに的確に話し合えないのか。
世の中の人達はあれを日常的な茶番としてスルーしているのか、見ていて不思議でしょうがないし日本人として恥ずかしい。
私みたいなTCKである必要のない技術職についている人はあのイベントの中では珍しかったかもしれない。
しかし個性が生かせて自分で働き方を選べるフリーランスの職業は上下関係が厳しい体育会系の美容室にいた頃よりもストレスが少なく自分に合っている気がしている。正直日本で働いている以上、「日本のルール」に疑問を感じる事はあるが、それはもう、自分なりに向き合っていくしかない。
そんな中、私たちだけではなく日本生まれ、日本育ちの人でも「日本的なルール」に違和感を感じている人も多いのではないかという発言があった。変わらないことが多すぎてもはやあきらめてしまっているのではないかと。
ここは本当に日本にとっての課題だと思うし、お国柄なんて言っていると、どんどん他の途上国に追い抜かれてしまうと思う。
高度経済成長で先進国に追いついた日本は、精神的に未熟なまま成長してしまったのかもしれない。
もしくは個人の欲に負けてしまったのか。
今まで出身地や地元を聞かれてどこを答えてもしっくりこなかったのだが、自分が「Third Culture Kids」というジャンルに属していることを知り、個人差はあるが日本の社会に対する感じ方や価値観の傾向が似ていることを改めて感じた。
そうすると、日本生まれ、日本から出たことのない転勤族の子供たちはどうなるんだろう。分類されるジャンルはないにせよ、性格や考え方の傾向はあるのだろうかとふと思った。TCKでなくても居場所を見つけられない人々は知らないだけでたくさんいるのかもしれない。
結局分類できたとしても、人の性格を形成する一部で、あくまでも傾向にしか過ぎない。
私は個人主義だが人は好きだ。グループに所属することは苦手だが、人と協力したりコミュニケーションをとることは好きだ。友達はわりといる方だと思う。
それは性格なのかTCKの性質の傾向の一つなのかはわからないが、少なくとも話し合うことが好きな人が多いから、見ず知らずの人が集まるオンラインのイベントにたくさん人が参加するのだろう。
どこかに属して安心感を得たいなどそういった考えは全くないのだが、単純に、自分が今までどのコミュニティーに入っても境遇が似ている人達が少なかったため、TCKの思考に興味がある。
社会人になりもう何年も経ち、成功も失敗もたくさん経験したから興味が湧いたのかもしれない。
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