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『プロデュースの基本』(木崎賢治)

沢田研二からBUMP OF CHICKENまでプロデュースしたという著者の仕事術の本です。筆者は74歳。昔の音楽業界の裏話からクリエイティブであるにはどうするべきか等書かれていますが、普遍的なところはどの業界でも通じるところがあると思いました。

面白いと感じたら自分も作ってみる、分析する

筆者は小さい頃から音楽が好きで安いギターを買ってもらって弾いていたそうです。その頃を振り返ると以下のようなことをしていたそうです。

好きな曲をただ聴くのではなく弾いてみる。
弾いてみることでどのコード進行が好きなのか分かる。
それが好きな理由を考える。
自分が好きなものは人も好きか聞いてみる。
自分なりに好きの法則を作る。
間違っていたら常にアップデートする。

音楽じゃなくても、すごくスキルアップにつながる物事の取り組み方だなあと思いました。

また著者はよく「いいアーティストと巡りあえてラッキーですね」と言われるそうですが、それはラッキーではないと筆者は言います。
自分の好きなものにアンテナを張っていたからこそ、そのアーティストを見つけたのであって偶然ではないと。

自分の好きなものを分析してからこそ見つけられたのだと言っています。

上司との戦いに負けたら、それは自分の意見にする

例えば音楽制作をしているときに現場でOKがでた曲があったとします。
でも上司に見せたら変更しろと言われた。
抵抗しましたが、上司も譲らず変更しろという命令になりました。

さて、どうしますか?
曲作りの現場に戻り、アーティストや作詞家の方に「上司が変えろって言ってるので変えてもらえますか?」と言いますか。

筆者曰く、それでうまく言った試しはないそうです。そうするとアーティストや作詞家の人から「こいつはただの使いぱしりだ」と思われてしまって、関係が悪化すると。

上司との戦いに負けたら、変更は自分の意見としてしっかりとアーティストや作詞家に伝える。それで急な変更も納得してもらえるということですね。

嫌だと思っても我慢して続けたらいいことがある

「嫌なことはさっさとやめればいい」ということを言う人がいます。ワンセンテンスで表現できる言葉としては間違ってないのかもしれませんが、実際はそんな単純なことではありません。筆者は学生時代も社会人時代も嫌なことがたくさんあったと言っています。

大学はバスケ部だったけど走らせされてばかりで嫌だったけど、試合に出て点が入ったら面白くて仕方なくなった。音楽会社に入ったけど音楽が好きで入ったわけではないそうです。英語ができたので最初は翻訳とか著作権とかの仕事をしていたんですが嫌だったと。

でも音楽に素養があることが社内で知れわたり、スタジオに読んでもらえるようになり、正式に制作部に部署移動したそうです。
小さい頃に音楽が好きで身につけた素養がこんなところで役に立つのだなあと思いました。

最後に

この著者はクリエイティブな仕事に携わり、自分自身も感性を大事にしたり、高くアンテナをはったりしていますが、調整型の人なんだろうなと思いました。

会社の意向とアーティストの意向を組んでものづくりをする。
システム開発の現場でも技術分からない顧客の意見と技術思考の現場の意見がわれて対立することがありますが、どっちもそれなりにわかる人が調整に入り、丸く収まる事があります。似てるなあと思いました。



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