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maeda penclub
2020年2月27日 18:54
「つまりキャンセルしたいってことかい?」 電話を通して聞こえるマスターの声に抑揚はなかった。手狭なカウンター越しにため息をついている様子が眼前にまざまざと浮かんだ。「僕としても残念なのですが、昨今の事情を考えると見送りたいと思っているんです」「昨今の事情?」 マスターの言葉には幾分懐疑的なニュアンスが含まれているように感じた。それは僕が感じたことであって、他の誰かが聞いてもそうは感じないの