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手抜き自家現像
モノクロフィルムの自家現像は、使う薬品やかける時間、撹拌方法などの細かいところまで含めると、決まったやり方というものが存在しておらず、十人いれば十通りのやり方があるように思います。そのため、自家現像をこれから始める人は、情報がいろいろあって迷ってしまいそうです。
私は今年自家現像を始めたばかりですが、何本も現像するうちに、案外適当にやってもなんとかなることがわかってきました。そこで、なるべく楽をしたいという方針のもと、自分がやっている方法を紹介したいと思います。
現像
定着液はSPDを1:1に希釈して使用。フジのフィルム以外はSPDの現像時間が公表されていないが、Kodak D-76(原液)使用時の現像時間と同じでOK。
パターソンの現像タンクを使用して、1分ごとに倒立撹拌(はじめは撹拌棒で撹拌していたが、現像ムラが出たので倒立撹拌に変更した)。希釈現像液は1回で使い捨て。
停止
クエン酸(粉末)を水1Lあたり15g溶かしたものを使用。停止時間は30秒で連続撹拌。停止液も使い捨て。
定着
スーパーフジフィックスを使用。定着時間は6分で、現像と同様に1分ごとに倒立撹拌。定着液は何回も使い回す。
水洗
水洗時間は15分。水洗後はドライウェルを使用して、スポンジは使わずにそのまま乾燥。
薬品は主に富士フィルムのものを使って安く済ませています。SPDを1:1に希釈している理由は、使い捨てのため毎回同じ条件となり現像時間の計算が楽なのと、どんなフィルムを使ってもD-76と同じ現像時間で大体上手くいくからです。さらに、夏場で現像液の温度が高いときに、冷蔵庫で冷やした水で割れば簡単に温度調整できるというメリットもあります。希釈に使う水は一度沸騰させた方が良いのかもしれませんが、面倒なので水道水そのままです。
停止と定着は、やり方によって大きく結果が変わることはないと思っています。定着液は何回も使い回しているのですが、劣化していないか心配になるので、時々フィルムの破片を浸してテストしています。
水洗は水道代をケチって10分でやっていた時期もあったのですが、一度水洗不足になったので15分に変更しました。水滴を拭うためのスポンジは入手困難だったので、代わりにドライウェルを使っています。
追記
スポンジがMARIXのウェブサイトで販売されているのを発見し、購入しました。現在はドライウェルを使わずにスポンジで水滴を拭ってから乾燥させる運用に変更しており、仕上がりは良好です。
手を抜きすぎて失敗
先週末も自家現像をしたのですが、上で紹介した手順よりもさらに手を抜いてやってみました。何をしたかと言うと、SPDの1:1希釈液を1回で捨てずに2回使ってみたのです。原液のままであれば10回くらい繰り返し使えるのに、希釈したら1回で使い捨てることに疑問を持ったからです。
しかし、結果としては見事に失敗してしまいました。現像液の力が弱まっていたようで、全体的に現像不足となってしまいました…
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現像不足になってしまったネガですが、スキャン時に露出補正してなんとか誤魔化してみました。適正なネガと比べると情報量が損なわれてしまっている印象です。
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Leica IIIf + Summaron 35mm F3.5 / Kodak TRI-X 400
まとめ
自家現像は手を抜いてもそれなりの結果が得られますが、希釈現像液の使い回しはNGであることがわかりました。ですが、少々失敗してもスキャナーやLightroomなどのソフトで誤魔化せる部分もあるので、あまり気構えずに自家現像されてみてはいかがでしょうか。