Canonet QL17 G-III のレビュー
私が所有しているキャノンのコンパクトレンジファインダー機、「キャノネットQL17 G-III」のレビューと作例の紹介をします。このカメラは、キャノンが1961年に発売し大ヒットしたコンパクトカメラであるキャノネットの最終的な後継機で、1972年の発売です。初代のキャノネットと比べると、性能は落とさずに本体が小型化されているため、この機種もたくさん売れたようです。いまでもコンパクトさと性能の高さから人気のある機種です。
特徴
4群6枚構成で明るい40mm F1.7のレンズが搭載されていて、コンパクトながらも写りに妥協はありません。レンズ交換は不可ですが、その代わりレンズシャッターなのでシャッター音が小さいのが長所と言えます。スナップ向きのカメラです。ファインダーは二重像合致式のレンジファインダーで、パララックスが自動補正される高級なものです。M型ライカと比べるとファインダー倍率や二重像の鮮明さが劣りますが、それでも良くできたファインダーだと思います。
機種名のQLは、クイックローディング機構という簡単にフィルム装填できる仕組みになっていることを示しています。これは当時のユーザー層にとっては良い機能だっただろうと想像しますが、現在このカメラに手を出すようなマニアにとってはお節介な機能だと思います。ただ、機構としては良くできていて面白いです。また、フィルムがしっかりと送られているか確認するための小窓が背面に設けられています。フィルム装填の失敗を無くすために、最大限の工夫がされているように感じます。
このカメラにはマニュアル露出に加えてシャッター優先AEが搭載されています。設定したシャッター速度の値(1/4秒〜1/500秒)に応じて、カメラが自動で絞り値(F1.7〜F16)を決めてくれるというものです。ISO感度は25から800までと幅広く設定できるので、露出調整もしやすいと思います。もし電池が切れたり露出計が壊れたりしても、マニュアル露出であれば撮影できるので安心です。
操作感・質感
このカメラは高性能なレンズやファインダーを搭載していますが、あくまでも普及価格帯のコンパクトカメラですので大きな期待は禁物です。ですが、金属部品が比較的多く使われているのでしっかりした感じはあります。ピントリングには長めのレバーがついていて操作しやすいです。フィルム巻き上げレバーもしっかりしていて気持ちよく操作できます。
唯一残念なのはシャッターボタンのストロークが長くて硬いことです。また、シャッター音も「パチン」といった感じで少し安っぽい音がします。
作例
キャノネットQL17 G-IIIで実際に撮影した写真です。フィルムはフジカラー100を使用しました。
写りの印象としては、当たり前ですが絞ればよく写ります。色乗りはコッテリしているように感じました。絞りを開放寄りにするとかなり甘くなり、周辺減光も強く出ます。雰囲気があるとポジティブに言い換えることもできるます。
まとめ
キャノネットQL17 G-III は現在の相場(1~3万円くらい)の割には高性能で、ユニークな機構もあって楽しいカメラだと思いました。昨今ライカの価格が高騰していますが、リーズナブルにレンジファインダーを楽しむための選択肢としても優れていると思います。