ワンルームの事務所、びしょ濡れ水浸し事件。保険未加入のわが社の顛末【前編】
ちょうど昨年の今頃のこと。
わが社が入居している部屋に水漏れが発生。
周囲にこの話をすると、ふたりに一人くらいの割合で
私も住んでた部屋が!
うちも事務所が!
・・・水漏れ経験って、意外にあるのね。。
さて、記憶がまだあるうちに、
うちの場合の顛末を記録しておきます。
電灯のかさに茶色い水たまり?
2023年4月20日
スタッフの一人が、天井を見て言った。
水たまりができてません??
シーリングライトを覆っているカサの底に、小さな茶色い水だまりができていた。
上を向いて見ていると、
その輪っかに水滴がぽちょんと滴り落ちて、
輪っかがふるふると水打っているように見える。
とりあえず、放っておくことにした。
それには、ワケがあって、
以前、この部屋でポルターガイスト現象が起きたことがある。
朝、会社に来ると、お米がぶちまけられていた。
会社に米があるのは、米を炊いていたからである。
そのときも、われわれはのんきなもので、
怪奇現象って起こるんだね~~と、
それ以外の可能性を探るでもなく、受け入れていた。
数日後、撮影機材を準備していたら、ネズミが猛ダッシュするのに出くわす。
そこで、やっと我々は、ネズミの仕業だと気づき、モノノケではなかったことを残念がった。
その後、ネズミを駆除するにあたり、
悪さをしても実態がないほうがいいよな、と思ったのでした。
まあ、そんな経験があったので、
こりゃ、天井裏でネズミが何かをかじったんじゃないか?
くらいに思っていたわけです。
輪っかを黙認した翌日、スタッフが、
大きくなってません?と言う。
うーん。確かにそうやね。と、シーリングライトのカサを外して、
中に溜まった水を捨てたのでした。
しかし、その後、水漏れ量が増えてきて、
天井に貼ってある壁紙のつなぎ目のところから
水滴がぽたぽたと落ち始めてきたため、下にバケツを置いて受け止めることに。
で、マンションの管理人と貸主の大家さんと管理会社に電話して現状を知らせたのでした。
誰も助けてはくれぬ
電話したら、すぐ、見に来ると思うでしょ?
それがね・・・
来ないんですよ。誰も。まーったく!
まず、管理人いわく、
自分は請負の管理人で、共用部分の管理業務のみである。部屋の中のことは管理会社の担当者に連絡して。
大家さんは、
あらー。たいへん。管理会社に連絡してみるわ~~。
あなた、保険入ってる?
えーーーっと?店子が保険はいるんかい?
そんな規約、あったっけ?
もちろん、保険は未加入である。
これは注釈が必要で、
うちの場合は、不動産会社が仲介している賃貸契約ではない、ということ。
大家さんと直接契約という、今やイレギュラーな関係なのだ。
不動産会社が仲介している場合は、保険に入ることが義務付けられていることがあります。ふつうの場合、店子は保険に入っているケースが多い、ということです。正確には賃貸契約書を確認してくださいね。
で、管理会社に電話した。
そしたら、内装屋を行かせます。とのこと。
は?
管理会社さんは来られないんですか?
現場、見ないの?
と聞いてみたら、
なにやら、ごにょごにょと言葉を濁すものの、
はっきりしたのは、管理会社は行かない。内装屋がかわりに
行って、現場を確認して、水漏れの処理をする。
ということだった。
内装屋さんも予定がつまっているらしく、やってきたのは夜19時半ころ。
水漏れのところを写真に撮って、
照明のカサを外し、でかいビニールで電灯の差し込み口を覆い、
水滴がビニールを伝ってバケツに溜まるように、水路をこさえた。
もう一か所、天井から水滴がおちているところに、同じような水路を
こさえて、約30平米のワンルームに、バケツが2つ設置された。
天井には壁紙のつなぎ目に沿って茶色いシミが色濃くなってきている。
これって、貼り替えるんだわな。
って、誰が貼り替えるんだろうか?
翌日、大家さんから電話があった。
天井が抜けるかもネ~~~。
え~~~~っと。
そうなの?
前の日、大家さんに報告するための写真を送っておいたら、
大家さんは、天井がうっすらと膨らんでいると
気づいたのだった。
それで、大家さんは天井、ぬけちゃうかもね、と他人事のように
連絡くれたのでした。
で、抜けるとわかったんなら、なんとかしてくれ。
あなたの物件でしょうに・・・
どっかに、ちゃんとした大人はおらんのかな?
この状況を仕切ってくれる大人は。。。
それから、水漏れはますますひどくなっていく。
天井と壁の境目に沿って、水が落ちてきた。
もうひとつあるシーリングライトにも水がたまり始めた。
エアコンからも、水が出てきた。
床に設置したバケツは5個。
ペット用の吸水シートを買ってきて、周囲に置く。
管理会社に再び、なんとかしてくれ、天井がぬける、と連絡する。
1週間放置とな
それから、応急処置に前回の内装屋さんがきて、
翌日、管理会社から、聞き取りと調査に伺いたいと連絡があり、
1週間後の予定を聞かれる。
1週間後?
1週間このまま?
その間にますますひどくなるじゃん?万が一、自前で修復しろ、って言われても、こんなにほったらかしなのは、うちの都合じゃないよね?
オタクの都合だよね?自前で修復はできねえ!
と言っても、管理会社の担当者は、
あー、はー、すみません。を繰り返す。
管理会社は上場している超大手不動産会社である。
勝手なイメージというか貧弱なイメージなのだけど、
上場大手会社の社員って、もっと、てきぱきしてないか?
向こうから情報を提供してくれる、なんて、ない。
あれこれ質問してわかったこと。
・水漏れしているのは、うちの部屋と隣の部屋の2部屋のみ。
・隣の部屋の方が被害がひどく、天井が落ちた。
・天井裏に水が溜まっているので、2階の住人に部屋を見せてもらい、
原因を突き止めなくてはならない。
・2階の住人は留守がちのため、検査の調整がつかず、1週間後のこの日に
なった。
このマンションを使って10年以上たつが、
初めてお隣さんの呼び鈴をピンポンして、中を見せてもらった。
本当に天井がむき出しになっていた。
お隣さんはクリエイターで、
この部屋は作業場とのことだった。
うちと同業かつ、同様の使用目的だが、
お隣さんちはシングルでシンプルでおしゃれな部屋である。
3日前、パソコンで作業していたところ、
突然、バシャーっとすごい水量とともに天井が落ちたんだそう。
頭を直撃しなくて、よかったですね・・・と言ってしまった。
ドリフのネタだよね。天井から水って。
私だったらネタにするけど、目の前のクリエイターさんは
繊細そうだ。
きっとショックが大きかろう。
室内土砂降りのその日、
お隣さんは、2階が原因だと思って、真上の2階の部屋を訪れたらしい。
だけどお留守で途方にくれたそう。(逆にお留守でよかったよ。住人同士で直接やりとりするのはご近所トラブルの元である)
部屋の修繕も自分でどうにかしなくちゃ、と思ったそうで、
ご自身で手配をしたらしい。
大変ですよね。。乗り越えましょう。と声をかけたけど、
もう引っ越すんで・・・と小声で仰った。
とにかく1週間このままである。
うちの天井も、水の重みでたわんでいて、ほうきの柄で押してみると、
たぷたぷしている。
これで水がビシャーと落ちたら、パソコンがおじゃんだわ。
先の内装屋を呼んで、処理を頼む。
膿を出すように、たわみのところにバケツをあてがい、たわんでるところを
カッターで切っていく。
勢いよく、汚水がバケツに流れおちて、あふれるんじゃなかろうか、と
思ったが、ぎりぎりのところで水が止まった。
もう、天井も壁も茶色いシミだらけである。
さらに、壁際に設置してあるスチール棚に、プラケースが並んでいるのだが・・そのプラケースが水受けになっていることが判明。
プラケースに茶色い水がたぷんたぷんとしており、書類やら雑貨やらが
ぷかぷか浮いている。
ハードディスクやら映像素材やらも水浸しである。
水にぬれたものを写真に収めていく。
保険がきくのかどうかわからないが、
ナニが原因でナニがどうなったか、は記録しておかねば
なるまい。
映像制作会社の金目のものは、映像しかない。
同じ映像は再撮できない。HDDに書かれているタイトルを
眺めながら、この映像を見ることはないんだろうな、と寂しく思う。
ますます被害が広がっていくのを、
1週間、しゅくしゅくと眺めるしかない。
機材やらカメラやらパソコンやらをビニールシートで保護して、
人間は在宅ワークすることにした。
水滴の拷問
人によって、この環境下でストレスと感じるところが違う、というのが
発見だった。
ひとりは、「音」である。
ビニールシートを伝って、バケツに落ちる定期的なポタポタと落ちる「音」。ビニールシートに水滴が当たる音、バケツに落ちる音。
この音が耳障りで我慢できない、と言う。
一人は、「臭い」。
天井裏に水がしばらく溜まっていたせいか、天井裏につもりつもっていた埃やらカビやらが水に混じっている。(マンションは築40年以上)
天井の資材やら、資材を貼り合わせている接着剤やらも混ざって、
今まで嗅いだことがない、化学成分がたっぷり含まれた、
鼻を刺激する独特な臭いがする。
この匂いを嗅ぐと吐き気がする、と言う。
もう一人は、「湿気」。
ずーっと水が滴っている部屋である。部屋がジメジメしている。
しかも、エアコンに浸水しているため、エアコンが使えない。
電気系統が水にぬれっぱなしということで、ショートして火が出るかもしれぬ。という。
気温も上がっているなか、蒸し風呂状態である。
湿気と暑さに耐えられない、と言う。
とりあえずの見通しがたつまで、在宅ワークとなったのですが、
落ち着くまで1か月以上もかかるとは、思わなかった。
【後半に続く・・・】