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広島の公園空間活性化プロジェクト|HIROSHIMA PARK LIFE LAB


プロジェクトの概要

公園は誰にも開かれたパブリックな空間であることはもちろん、行政や地域が連携して今までにない面白い発想で新しい価値が生まれています。気持ちの良いワクワクする公園のあるライフスタイルは人生を豊かにしてくれるはず。そんな想いで広島の公園空間活性化プロジェクトを進めています。

取組紹介

トークイベント「街中の自然を味わう仕掛けで未来を創る」@23/6/23

子どもも大人も自然体に。自然を通じて、自由な発想でクリエイティブな未来創りへ。

今回のStudy Meetingのテーマは、「街中の自然を味わう仕掛けで未来を創る」でした。今回のテーマオーナーであるSATOMACHIの代表・和田徳之さんの活動を端的に言い表したこのテーマについて、その背景や発想の原点などに触れながら、身近過ぎて気づいていなかった大切な視点に気づくことができました。

今回の会場は、広島市内の中心部。仕事帰りの参加者も参加しやすい、紙屋町のコワーキングスペースco-ba hirohsimaにご協力いただき、開催しました。目の前には路面電車が見え、反対側では県庁の豊かな植栽を臨める、街中の自然について語り合うのに最高のロケーションで、皆で貴重な時間を過ごしました。

◆茶室に見る「自然」と「自然体」

和田さんから最初の問いかけは、「茶室の庭(露地・ろじ)は、なぜ進みにくくなっているのか?」写真で見てみると、確かに庭の入口から茶室までの道はまっすぐではなく、わざと庭を迂回させているようにも見えます。これは和田さんによると、戦国時代の武士に好まれたこととも関係しているそうで、生死を賭けたストレスの強い状況の中で、自然を見ながら、戦のことを忘れ、自然体に戻っていく仕掛けとなっているのだそうです。

程度の差はあれ、こうしたストレスフルな状況をどうリセットするかは、現代を生きる私たちにとっても、参考になるのではないかと言います。特に、「自然を見て、自然体に戻る」点に注目し、どんな状況にあっても、「自分と向き合い、思考停止をせずに、クリエイティブに考える」ために自然を生かしている点がおもしろいと言います。

◆「あえて」が引き出す創意工夫する力

和田さんは、広島市内の大芝という街の中で生まれ育ちました。小さい頃はよく、家の近くの川に入って遊び、川土手で草すべりをして自然の中で遊んでいたそうです。そのため、自然の大切さが叫ばれる中で、里山のような自然の豊かな地域に憧れを持つのも理解できるものの、街に住む中でそうした「ないものねだり」をするよりも、街中にあり、足元にある自然をどう生かすかという、あるものを大切に活かす視点を大切にしているそうです。

また反対に、街中では子どもたちが普段なかなかできない山の中での遊びを、あえて街に持ってくることで、街(Machi)も里山(Sato)も面白くなるのはないか。そう考えて、大型商業施設で毎年夏に開催している、竹で作ったコースに木で作った自分のマシンを走らせて競争する「TAKE-1(タケワン)グランプリ」(ひろしま森のおもちゃ協会が出張開催)を例として挙げました。

さらに、商業施設でのこうした自然を活かした体験についても、当初は自然とかけ離れていて実施を迷ったこともあったが、あえてこうした人の集まる場所で自然体験を提供することで、「子どもに色々な体験をさせたい(けど、どうすればいいかわからない)」という親御さんの想いを助け、多くの人が自然に触れる大切な入口になると考え、今は取り組んでいると言います。

このように「あえて」を意識してみることで、今まで無かったユニークな取り組みが生まれ、「あえて」が成立するような考えや工夫が編み出されていると感じました。

◆これからの手のつなぎ方

街中の自然だけでなく、街中で里山の自然を味わう仕掛けも創り出している和田さんが、これからについて目指すのが、もっと「みんなでおもしろがりたい」ということです。

例えば、自身が関わった名古屋デザイナーズウィークで、普段は商売敵でライバル関係になりがちな同業者同士が、デザイナーズウィークを機に勉強会を開き、学び合うようになり、横のつながりが生まれたのだそうです。その結果、お互いのサービスのレベルがあがり、一つのパイを喰い合うライバル関係から、一つのマーケットを一緒につくり育てる共創関係へと変化していったと言います。

この共創関係を進めるために、和田さんは「おもしろいコンテンツはもっと共有しよう」と提案します。
例えば、比治山公園で始めたセミ取りのプログラムは、好評だったので、昨年から比治山公園以外にも、江波山や平和大通りなど、他の団体と連携して市内の様々な場所で開催しています。
新しいものを生み出さなくても、既にあるたのしいものをみんなでシェアする。手をつないでいれば、それぞれの取り組みもバラバラにならず、同時多発的に見え、ムーブメントになっていくのではないかと言います。

こうした話を受けて、「まだ知られていない、都市の中にある自然の楽しみ方」について、参加者同士がグループで話し合いました。

それぞれの自然の楽しみ方について、好きな風景、好きな香り、好きな時間帯とその理由などを共有し合いました。どれも、とてもプライベートな感覚で、その楽しみ方はとても個性的でありながら、聞いていると「わかる、わかる」と思わず共感したり、ちょっと真似てみたいと思えるものばかり。普段はなかなか聞けない、他の人の楽しみ方を知ることができる、お得な時間でした。

このように、みんなが横につながり、多様な視点や自由なアイデアでおもしろがりながら、みんなで盛り上げ、進んでいく。こうした横のつながりと共創の関係性が大切であること。またクリエイティブでおもしろい未来を創るためにも、子どもも大人もリセットされた自然体であることが大切で、そうした自然体のためには、自然を上手に生かすことが大切。そうしたメッセージを受け取れた会となりました。

【参考URL】
SATOAMCHI
TAKE-1グランプリ(SATOAMCHI)
co-ba hiroshima


(HLL岡本
(写真:おだやすまさ 他)


トークイベント「今、なぜ交響空間が必要か」@23/10/30

秋の夕日が沈みゆく夕方の宮島口。
時折、潮風が通り抜け、
電車ががたごとと発着を繰り返す駅前広場。

広場に集う人たちが腰かけているファニチャーはすべてベルギーのアウトドア家具専門ブランドextremis(エクストレミス)が製作したもので、今回、広電宮島口駅前広場の再整備にあたり、東京・蔵前にショールームを構える日本総代理店のTISTOU(株)のコーディネートにより置かれることになりました。

そして、この度extremisのヘッドデザイナーであるDirk Wynants(ディルク・ワイナンツ)氏が来日するということで、2023年10月30日(月)、広電宮島口駅前広場において「今、なぜ交響空間が必要か」をテーマにトークイベントを開催いたしました。

トークイベントでは、Dirk Wynants(ディルク・ワイナンツ)氏に加え、ソーシャルコンテンツプロデューサーである山名清隆氏をゲストとしてお迎えし、会の後半では、ローカルゲストとして、エリアプラットフォーム・カミハチキテルの事務局/ブックキュレーターの今田順氏、広島電鉄(株)地域共創本部の前田琢己氏を迎えたトークセッションを行いました。

また、この日はトークイベントに合わせて宮島口みらい協議会のメンバーである
Gelateria&Factory Loop
あなごめしうえの
オーガニックドリンクバー プロル
佐久間海産商会
瀬戸内クラフトレモネード
にもご出店いただき、ただゲストの話を聞くだけでなく、呑みながら、食べながら話を聞くというくつろいだ時間、空間が広がりました。(この日広島は夜が冷えて、熱燗やホットワインが大人気でした!)

総勢100名を超える方宮島口駅前広場に集まった熱気あるイベントを写真とともにかんたんに振り返ります!


冒頭、まずは広島電鉄(株)電車事業本部の東耕一氏より広場のご紹介。広電宮島口駅は1931年の開業以来、宮島への玄関口として機能してきた歴史や、2020年2月のフェリーターミナルのリニューアルに合わせ、2022年7月、駅が新しく整備され、それと連動するように、行政、地元の方々と調整を重ねてこの広場を開放感ある、くつろげる空間を目指して整備されたお話をしていただきました。

その後、オープニングトークとして、山名清隆氏から「公共空間に魔法をかけろ!」をテーマにお話しいただきました。

聞いている人たちに声をかけながらお話を進める山名さん。ご自身が関わられた事例をご紹介いただきながら公共空間から交響空間へと魔法をかけるとはどういうことなのか、とてもわかりやすくお話いただきました。

トークの合間には、サックス・コリシゲマコトさん、ギター・Cornelさんによる心地の良い演奏が広がります。

続いて、extremisのヘッドデザイナーDirk Wynants氏から「いいデザインだけが世界を救う」というテーマのプレゼンテーションを。

extremisの日本総代理店、TISTOUの代表取締役社長である平田倫子氏が通訳を務めてくれました。

extremisのファニチャーづくりの哲学を紐解いていただくことでよりextremisのファニチャーが愛おしく思えるとともに、なぜ(why?)から突き詰めて考えることの重要性を何度も繰り返されていたことが非常に印象的でした。

再び休憩を挟み、腹ごしらえや一杯引っかけたあとは…第3部のトークセッションへ!

第3部は2人のゲストに加え、ローカルゲストである今田順氏、前田琢己氏を加え、更には、モデレーターとしてHIROSHIMA LIVING LAB水木智英氏を迎え、トークセッション「いま、なぜ交響空間が必要か」を行いました。

前半のお2人の話を受けて、ローカルゲストである今田氏からは、広島都心部の官民連携プロジェクト・カミハチキテルの事務局を進める上で山名さんの「ギリギリアウトを狙う」という言葉に勇気をもらったという話、Dirkさんのなぜ(why?)を突き詰める考えに、公共空間の使い方を考える上で、自らの姿勢を居直されたという話などが挙がりました。

また、前田氏からは、自らが関わられている、ひろしまゲートパーク、コイプレイスなどの公共空間での取り組みのご紹介、また、駅も公共空間のひとつであるという視点から宮島線沿線活性化のお話をしていただき、手ごたえと、これからに向けた課題を提示してもらい、山名氏、Dirk氏からフィードバックのやり取りがありました。

さらに話の後半では、宮島口みらい協議会のメンバーである中電技術コンサルタントの田中健三氏も加わり、広電宮島口駅前広場、宮島口みらい協議会の取り組みについてお話があると、山名氏、Dirk両氏からは、「ここは景観がとてもよく、空間がオープン。受け入れられている感じがする。ここでなにかをやってみようと思う人が増えるんじゃないか。そういう人がどんどん増えるといいね」という未来についてポジティブな返答をいただきました。

今回、はじめての試みとしてトークのBGMとして、コリシゲさんがサックスを演奏、Conelこと水木智英さんがギターを演奏しながらファシリテーションを行うという離れ業を行ってくれました!(山名さんはこれをギターファシリテーションと命名!!)

話す側、聞く側からもなかなか好評で、あたらしいセッションのあり方を垣間見た夜になりました。

最後は参加者の方、スタッフの方含め全員で集合写真を。

これからの広電宮島口駅前広場、そして広島の公共空間を交響空間にしていくヒントがたくさん詰まった時間になりました!

そんなトークイベント全編の様子は

extremisの日本総代理店TISTOUさんのyoutubeチャンネルにアップされていますので、ぜひご覧いただけたらと思います。

12:05頃~ 第1部 山名清隆氏「公共空間に魔法をかけろ!」 
17:38頃~ 第2部 Dirk Wynants氏「いいデザインだけが世界を救う」41:24頃~ 第3部 トークセッション「いま、なぜ交響空間が必要か」


写真:おだやすまさ 
文:今田順



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