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青春のバレンタイン / #青ブラ文学部

#ショートショート  本文1023文字)

バレンタインデー。生まれて初めてチョコをもらった。うちは男子校なので直接学校で渡されることはない。僕は登校時に電信柱に隠れるように待っていた女子からチョコをもらった。

「あの……これを……」と下を向いたままでチョコを手渡された。突然のことだったので、僕がぽかーんとしているうちに彼女は走り去ってしまった。

手紙にはこう書かれていた。

拝啓
晴礼瑠也はれるや

時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、私、鈴木女子高等学校1年生の文所堅子ぶんしょかたこと申します。突然のご無礼をお許しください。

この度、晴礼瑠也はれるや様におかれましては、バレンタインデーの佳き日に、ささやかながらチョコレートをお贈りさせていただきたく、 penを執らせていただきました。

晴礼瑠也はれるや様は、お隣の山田高等学校にお通いで、日頃より勉学に励んでいらっしゃると伺っております。私は、晴礼瑠也はれるや様の知的好奇心と探求心に、密かに敬意を抱いております。

さて、晴礼瑠也はれるや様と山田高等学校の皆様には、日頃より大変お世話になっております。鈴木女子高等学校と山田高等学校は、一衣帯水の地にあります。それゆえ、貴校の晴礼瑠也はれるや様のご活躍は、私にとりましても、大変身近なものに感じられます。

つきましては、このチョコレートが、晴礼瑠也はれるや様の勉学の合間の息抜きに、わずかでもお役に立てれば幸いです。

末筆ながら、晴礼瑠也はれるや様のご健勝と、ますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。

敬具
   令和6年2月14日
   鈴木女子高等学校 1年 文所堅子ぶんしょかたこ

追伸
晴礼瑠也はれるや様と山田高等学校の皆様には、日頃より大変お世話になっております。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

堅子さんの手紙

やたらと堅苦しい文章の手紙に彼女の底知れぬ愛を感じた僕は、誰にも自慢せず、家に持ち帰って部屋でひっそりとチョコの包みを開けた。

そして、岩のようなごつごつとした、いかにも硬そうな漆黒の手作りチョコを思い切りかじった。

どこまでも苦く血のような味がした。口の中に折れた前歯が2本残った。

翌日、また待ち伏せしていた彼女に、「ほひひはっはひょおいしかったよ」とチョコの御礼を言い、「ふひでふ好きです」と交際の告白をし、いっしょに登校した。もちろん、当分の間、マスクは外せない。

思いが届いてよかったですね~
青春……青春ですよ!

はれるや( ´ ▽ ` )ノ。です。
知恵熱が出て書き込みをお休みしていました。
本作はこちらの企画に参加しています。

主宰: #山根あきらさん
企画: #青ブラ文学部
お題: #一衣帯水の地のバレンタイン

「一衣帯水」とは、2つの地域がごく狭い水域によって隔てられているものの、地理的に非常に近いことを指す言葉です。

~2/14 青ブラ文学部お題
ハッピーバレンタイン!

では、今日はこのへんで。
はれるや( ´ ▽ ` )ノ。

またね~!

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