あんたがそこにいることが不満なんだ! / #青ブラ文学部
( #ショートショート 本文:814文字)
「ボス、お話があります」
「なんだ、サカキ」
「ボスにはここから降りていただきます」
「降りるって、どういうことだ」
「やめていただくということです」
「馬鹿も休み休み言え。何が不満だ」
「ボス、あんたがそこにいるのが不満なんだよ」
「なんだ。女がほしいのか。それなら、わしに言えばいくらでも都合をつけてやる」
「そんなことはどうでもいい。あんたはもう時代遅れなんだよ。
まじめにやってきたスズキをたった一つのミスで追い出しやがって。あいつは家族と離れ離れになって泣いてた。
ヤマダもそうだ。顔が気に入らねえからって食事をいつも取り上げやがって。あいつはやせ細ってひょろひょろになっちまいやがった。
今の時代、部下を大切にしない者はトップに立つべきじゃねえんだよ」
「言ってくれるじゃないか。これまでの恩を忘れて、よくそんなことが言えるな。わしがボスだ。何でもわしの思い通りだ。気に入らないなら、おまえが出て行けばいい」
「そうですか。わかりました。では力づくで、その座を下りてもらいます。みんな、やっちまうか」
サカキの後ろで、多くの者たちが今にもボスに飛びかかろうとしていた。
「ボスは、放伐と禅譲、どちらを選びますか。
あんたをよく思わない俺たちにボコボコにされてその座を引きずり降ろされるか(放伐)、自ら俺にボスの座を譲り、老後を穏やかに暮らすか(禅譲)。
さあ、どちらを選ぶんだ!」
サカキたちが詰め寄る。
ボスの味方は誰もいない。勝敗は戦う前から着いていた。
「わ、わかった。この座はおまえに譲ろう」
ボスはその座を降りて隅に退いた。背をかがめ、急に年老いて小さくなった。
「賢明な選択です」
そう言うと、サカキはボスの座についた。みんなは歓声を上げた。
「ばんざーい! 新しいボス、サカキさん! ばんざーい!」
こうして、サカキは、猿山2代目のボスとなり、配下のサルたちを統率した。
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お題: #放伐と禅譲
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