スクラム優位のもたらすもの: 関東大学ラグビー早稲田対筑波 最速マッチレビュー
今日は秩父宮で早稲田対筑波を観戦。第2試合が残念ながら中止になったので1試合だけ。勇気をもって辞退を申告した日体大ラグビー部には敬意を表します。
早稲田対筑波は、大方の予想を裏切り、50-22の予想外の大差がついた試合。銀杏並木のベンチから最速マッチレビュー。
スクラムはラグビーの基本ということの確認
この試合が示したものは、ラグビーの基本。スクラムの重要性だった。それと、ちゃんと15人がフィールドに立ち続けること。
早稲田が完全にスクラムを支配し、試合全般で優位に立った。どうやってもスクラムをゼロにするのは難しい。マイボールでもペナルティを取られてしまう状況で、筑波としては試合を組み立てるのが非常にむずかしくなった。
早稲田の戦術的柔軟性
早稲田としては、慶応、明治の試合を見て、フォワード中心のゲームプランを立てたのだろう。その論理的帰結としての、河瀬のスタンドオフ起用だった。
先日の吉村と異なり、今日の河瀬のプレー選択はラン中心。自軍インゴール前、普通だったらタッチに出すような状況でさえランを選んでいた(笑)。河瀬がランでクラッシュし、フォワードがサポートして押し込む。
なので、早いフェイズで吉村のキックをうまく使った帝京戦と異なり、この試合ではフェイズを重ねての攻撃が多かった。
吉村が出場できなかったこと、裏のスペースで筑波のバックスにボールを持たれることのリスク、慶応、明治戦で観察できたフォワードの力を考え合わせて、こういうゲームプランになったものと推察できる。
筑波バックスの攻撃力
筑波も、ダブルラインを織り混ぜてバックスが再三ゲインを突破したが、早稲田のフォワードが戻ってくるので二線防御をなかなか突破できない。
それでも、ディフェンスをすり抜けての3つのトライはさすがの攻撃力だ。
また、ラインアウトにトップスピードで走り込んでクリーンブレイクという、慶応戦で再三見せたプレーでトライを一つ。このプレーは後半も試みたがそのときは予測していたのか、早稲田がしっかり止めていた。
シンビン。。。
最後に、2つのシンビンについて。これもまた、試合の流れに決定的に影響した。最初の谷山のタックルは撮り損なったが、2人目のタックルはこれだ。
あまりにも危険すぎる。スタンドには異議を唱える声もあったが、これは絶対にダメだ。去年のワールドカップの判定基準だったらレッドカードでもおかしくない。
低いタックルは重要。けれど、相手を持ち上げるのはダメだ。
頑張れ、筑波。頂点を目指せ、早稲田。
筑波は規律のしっかりしたチームなので、今日の2つの危険なタックルは偶発的なものだろう。けれど、ワールドカップでも再三あったように、シンビン、あるいはレッドカードは試合を決める。これからは十分気を付けて欲しい。
それと、今日もパスでのノックオンはほとんどなかったが。福岡堅樹のノックオンの少なさを思い起こすと、なにか特別な練習でもしているのだろうか??
早稲田はこれで残りは慶応、明治。全く戦いかたの違うこの2チームに、どのような戦術をもって挑むのか。それが楽しみになって来るような、戦術的柔軟性を見せてくれた試合だった。