マイナー種目こそ五輪の醍醐味:東京五輪日記 7.29
個人的には、五輪で見る競技には3種類あると思っている。
一つ目は「普段見ていて、五輪でも見る競技」だ。サッカーとか野球がそれに当たる。冬季だとフィギュアスケート。普段見ているから思い入れも深い。
二つ目は、「普段は見ないけど五輪で4年に一度見る競技」。柔道や体操、水泳あたりがこれにあたる。冬季だとカーリングとかノルディックスキー、アルペンスキーもかな。
そして三つ目が、「五輪でもほとんど見ないけどたまたま時間が合ったから見る競技」。「こんなスポーツあったんだ!」と思うようなマイナースポーツがここに入る。
自分的には、この三つ目のマイナースポーツこそが五輪の醍醐味だと思っている。存在は知っていても見たことがないスポーツというのは、意外に面白いものだ。そもそも五輪種目に採用される段階で全くつまらない、と言うことはあり得ないし。
こうしたスポーツを見る上で地元開催というのは非常にいい。普段見てないスポーツを、時差がある中で早起きや夜更かししてみることは絶対にないことだから。先日のスケートボードやサーフィンも、新種目ということを差し置いてもこれまで競技会を見たことは全くない。
ホッケーのスピード感に魅了された今日
今日はそんなマイナースポーツを見た。ホッケーだ。ホッケーは旧英連邦では人気スポーツだから、マイナースポーツと呼ぶのは失礼だが、日本では極端にマイナーなスポーツであることには間違いない。
アイスホッケーは時々見に行くのだが、グラウンドホッケーを見たのは初めて。自分の出身高校には「ホッケー部」があったけれど。
まず度肝を抜かれたのはフィールドの色。なんと青。テニスコートのようなアンツーカーかと思ったら人工芝とのこと。人工芝に水をまいてプレーする。
プレーするのは立つのはキーパー1人、フィールドプレイヤー10人。つまりサッカーと同じ11人だ。
得点はゴールにボールを入れたとき。バスケの3ポイントシュートのようなシステムはなく、サッカーと同様に1点ずつしか入らない。クオーター制で1クオーターは15分。
身体に当たるとペナルティ。スティックを引っかけてもペナルティ。オフサイドはどうもないようだ、と言うのが試合を見ながら観察したこと。
ルールの概要は下記のリンクを見ればわかる。オフサイドは以前はあったが廃止されたとのこと。
惜しい戦いだったが・・・・
見たのはザッピングしているときに見つけた女子の日本対アルゼンチン戦。
なんとなく先入観で、フィールドは狭い(アイスホッケーのイメージ)と思っていたのだが、サッカーのフルコートに近いサイズがある。ルールによればフィールドのサイズは横55m×縦91.4m。サッカーのワールドカップでのピッチサイズが横68m×縦105mだから、それより一回りちょっと小さいというところ。
その広いフィールドをものすごいスピードで白いボールが行き交う。とってもエキサイティングなスポーツで、そのまま試合終了まで見た。
最終ラインの前にアンカーのような立ち位置の選手が立っている形なんかはサッカーに似ている。サイドの崩しやサイドチェンジもある。ただ意図的なハーフスペースの利用はなかったようだ。このあたりは、サッカーが独自の発達を遂げたということか。
試合はアルゼンチンが1点を先行、日本が追いつくも後半勝ち越されてそのまま1-2で敗れた。終盤はリードしているアルゼンチンがコーナーフラッグ付近に逃げて時間を稼いだ。このあたりもサッカーと共通している。元々イギリス圏のスポーツだから類似性があるのは当たり前か。
「さくらジャパン」と呼ばれる日本は敗れて予選敗退が決定。このオリンピックのためにずっと強化してきたのだろうに残念。ただ、機会があったら見に行きたいな、と思えるスポーツだった。
ホッケーを観戦してみたいが・・・・
調べてみるとホッケー日本リーグと言うのがある。大学と社会人の混成リーグのようだ。なんとヴェルディも女子のチームを持っている。ラグビーはやめてしまったコカコーラも「レッドスパークス」という同じ名前で女子のチームを持っている。
問題はスタジアム。通常開催されるのは下記のスタジアムだそうだ。
日光市ホッケー場(栃木県)
境町ホッケーフィールド(茨城県)
山梨学院ホッケースタジアム(山梨県)
小矢部ホッケー場(富山県)
越前町営朝日総合運動場(福井県)
川崎重工ホッケースタジアム(岐阜県)
OSPホッケースタジアム(滋賀県)
三成 (みなり) 公園ホッケー場(島根県)
コカ・コーラレッドスパークスホッケースタジアム(広島県)
広島広域公園第二球技場(広島県)
東京圏にない・・・・。これでは見に行けないな。と言うか、一般観客を呼ぶことをハナから諦めているような場所で試合を行っている。
今回使っている大井ホッケー競技場は使わないのだろうか。五輪後早いうちに短期間の大会でもやってくれればいいのに。
展開が面白い混合メドレーリレー
ホッケー見る前に見ていたのは女子体操、女子バレーボール日本対ブラジル戦と水泳の混合メドレーリレー。
混合メドレーリレーは面白い種目だ。メドレーリレーは、競泳やった人なら「コンケー」と呼ぶ。リレーを日本語で継泳という。メドレーを日本語で「混合」というので、「混合継泳」を略して「混継」、つまり「コンケー」だ。400のメドレーリレーなら「ヨンコンケー」と呼ぶ。この混合メドレーリレーはどう呼ぶのだろう?「コンゴウコンケー」、あるいは「ミックスコンケー」かな。
メドレーリレーは、競泳を本気でやった人にとっては特別な種目。各種目のエースが出るからだ。
特にフリー(クロール)以外の泳者にとっては、メドレーリレーのメンバーであることは自分がエースであることの証だから、とても大切な意味がある。手前味噌だけれど、自分もメドレーリレーのメンバーだった。
なので五輪のたび、4年に一回、メドレーリレーは時差を調整してでも必ず見る。今日の混合メドレーリレーも気になったので、ちゃんとチャンネルを合わせて見た。
素朴な疑問として「どういう形で男女が混合するのか?(種目が決まっているのか、チームで選ぶのか)」と思っていたが、チームごとに変えられる。日本はバック(背泳ぎ)とフリーが女子。バッタ(バタフライ)とブレ(平泳ぎ)が男子。すべてのチームがフリーを女子にしていたから、女子は男女の差が少ないのかもしれない。
ある種目で男子を選んだチームは先行し、同じ種目で女子が出ているチームは遅れる。けれど別の種目では男女が逆転するから差が縮まる。このあたりの作戦や駆け引きが面白い種目だった。
日本は最初のバックが女子の小西杏奈。バックで女子を選んだのは日本とイスラエルだけで、この2チームだけが離されていく。続くブレストは男子の佐藤翔馬。差を詰めるが並ぶには至らない。
バッタは多くのチームが女子を選ぶ中、男子の松元克央が差を詰めてアンカーの池江璃花子につなぐ。フリーも女子が多く、池江も詰めていくが日本は決勝進出ラインにわずか0.21秒及ばなかった。
追いかける展開というのは泳ぎのリズムを保つのが難しい。気負ってしまって「ずれ」が生じることがあるし、なんとなくモチベーションが落ちてしまうからだ。やっぱり隣のコースと競っているときの方がタイムが出やすい。最初のバックとブレに男子を泳がせるチームが多かったのはそのためだろう。
けれどそんな追いかける展開にもかかわらず、放送によれば日本のタイムはは全員のベストタイム合計よりも速かったとのこと。
リレーは引き継ぎの時のスタートの仕方がフラットレース(普通のタイム測定レース)とは違う。フラットレースでは、スタートの合図まで制止していなければならないが、リレーでは前の泳者がタッチする瞬間に足の一部が残っていれば良い。つまりスタート動作をほんのわずか早く始められる。
そのため合計タイムは単純な4人のタイムの合計よりも速くなるのは当然なのだが、それでもきっちりベストを上回ったのは立派。それで届かなかったのなら仕方ない。
まだ競技が残っているので、最もタイムがいい選手を選べなかったと言うことはあるが、それは他のチームも同じこと。池江選手を含め、よく頑張ったと思う。お疲れ様でした。とにかく拍手。