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香港永久居民外国人用、中国にパスポート不要で入国可能な内地通行証を入手した


香港永久居民外国人も内地通行証発行が可能に

中国政府は2024年7月10日から香港とマカオ在住の外国人(非中国国籍者)で永久性居民身分証(Permanent ID)保有者に、「内地通行証(Mainland Travel Permit)」、いわゆる「回郷証」を発行し、中国への入国を簡素化すると発表しました。専用のIDカードが発行され、中国入出国時はイミグレでこのカードで出入りできるようになります。VISA不要、パスポートも不要で中国に出入りできるのです。

ちなみに香港人の方々は基本的に同類の回郷証を持っているので普段から中国の入出国は自由です。

この内地通行証を取得すれば、日本人でも中国へ90日間滞在できます(投資、親族訪問、観光、ビジネス、セミナー、交流など。就労や留学はVISAが必要です)。中国入国時のイミグレも外国人用ではなく中国人用を使えます。この内地通行証の有効期限は5年です。

この「内地通行証」を取得したので今回はその記録です。オンラインで書類申請から受領まで、自分はトータルで43日間かかりました。

7月17日 香港入境事務処に書類申請(オンライン)
7月26日 書留書類到着(受領時不在、7月29日郵便局で受領)
7月30日 CTSに内地通行証申請(CTSにて)
8月28日 CTSで内地通行証受領(CTSにて)

さて前提として内地通行証は香港​永久性居民身分証(Hong Kong Permanent ID)所有者だけが申請可能なので、一般的な旅行者などは申請できません。今回の内容も香港在住者向けです。

なお自分は1998年11月に日本の会社の駐在員として香港に居住開始(会社のVISAで)し、香港居民身分証(Hong Kong ID)を取得(義務。VISAで取得するので自動的に取れる)。3年で会社を辞めましたがその間に結婚して、奥さんがすでに​永久居民だったので家族VISAに切り替え。そして滞在7年に晴れて自分の永久居民に切り替えました(なので今はVISA不要で香港に住んでいるわけです)。

このように香港は合法的に居住して、7年で永久性居民身分証が取れます。

内地通行証取得の申請方法

申請は以下の流れ。

香港入境事務処から「Notice of Application for Access to Information」の書類を取得
 ↓
内地通行証を発行するCTSに申請
 ↓
約1か月後に受領

(1)オンラインで「Notice of Application for Access to Information」を取得

香港入境事務処のオンラインサービスを開いて、Notice of Application for Access to Informationを申請します。これは自分の香港居住に関する情報の開示申請。申請完了後、10日以内に書留で書面が届きます(郵便局員による対面配達)。費用は無料です。

Notice of Application for Access to Information申請ページ

特に難しい内容はないと思います。ここを開いて「わからない」って人は、がんばってくださいw(まあ香港に住んでいてこれくらいできないと生きていけないはず)。

2024年7月17日:Notice of Application for Access to Information申請
最初にAcrobatリーダーうんぬんとありますが不要なので「Submit」から先へ進んでいきます。

最初のStep1で氏名などを入力。住所の入力が手入力ではなく部屋と階を入力した後、住所は番地から入れていくと選択肢気になるので後から送られる書留の住所が間違っていた、なんてことはなさそう。

下方にこの欄があるので、Apply for Mainland Travel Permit Applicationと記載しました。

次のStep2のページで、これが出ます。

自分の情報にアクセスだからいらないよなと思い「No」を選択(結果として、Noが上にあるしこれでよかった)。画面下の「Sign」を押すと、マウスでサインする画面が出るのでサイン。そのまま先に進んで申請が完了したらページをPDFに保存。申請番号などが記載されています。

さてその後毎日ポストを見たのですが、書留の不在通知がなかなか入ってきません(我が家は入り口まで配達員がこれないので、EMSや書留は不在通知が入る)。

7月26日:書類の再申請(結果として不要だったので、この日の部分は飛ばしてよいです)

前夜に友人と食事したら、彼は「申請後、受付したとのメールが届いた」とのこと。まさか自分は書類で「No」を選んだので通っていない?心配になって7月26日の11:45に再度申請を行いました。そしてStep2で今度は「Yes」を選択。するとドキュメントをアップロードしてとあるので、IDカードの写真をアップしました。そのあとは7月17日と同様に、Signでサインして先へ進みます。

今回が前回と違ったのは、申請終了後30分すると、「申請受領しました」のメールが来ました。ってことは前回は申請されていなかったのかなあ?

7月26日:書留不在通知が届いていた
まあこれで今度こそ大丈夫だろうと思って翌日ポストを覗いたら、7/26 10:57の日時が書かれた書留の不在通知を発見。つまり昨日再申請していたときは、すでに書類は届いていたわけで、7/17の申請は通っていたのでした(Step2で「Yes」にする必要はなかった)。ということで、申請日から9日目に書類は届いたことになります。

7月29日:郵便局で書類受領
朝イチに郵便局に行って無事受領。Notice of Application for Access to Informationの書類はこのような内容。片面が英文で証明、もう片面が中文での証明になっています。

(2)オンラインでCTSに予約申請

Notice of Application for Access to Informationの申請を行って、その到着を待たずに先にCTS(中国旅行社)で申請の予約をいれたほうがいいです。というのも申請場所によっては混雑していることがあるから。

予約日はNotice of Application for Access to Information申請した日から10日後(書留が届く予定日)以降がいいですね。自分はすっかり忘れていて7月29日に書類ゲットしたのでその日にすぐ予約を入れましたが、近場は結構混んでいました(後述)。

7月29日:CTSへオンライン予約

CTSの予約ページ:辦理證件 Mainland Travel Permit Application


途中で勤務形態、勤務先の名称(自分はSelf-enployed)、勤務先住所(自分は自宅)も記載が求められます。香港の連絡先は友人(誕生日、住所、香港IDカード番号またはパスポート番号の入力必要)。中国の連絡先は空欄にしました。

すべての入力が終わったら最終確認ページ。その次のページで日程の予約を行いますが、今回(7月29日)の状況だと旺角は8月14日が最短。場所によって結構混雑具合が異なります。以下は7/29時点での状況。

家からやや近い九龍西中心は2日後の7/31が空いてますが、夕方遅い時間のみでした。一方遠いけど新界中心は当日夕方もOK、翌朝空いていたので1日も早い方がいいとこちらを選びました。7/30 09:00-09:20を選択、予約が完了すると予約番号が表示されます(メールでも届きます)。

(3)CTSで内地通行証を申請

7月30日:CTSで内地通行証の申請
朝8:50に屯門中央広場に到着。中に入るとCTSは27階と案内があるのであがります。エレベーターに乗ると27階を目指す人が4名。朝から人が多そう。

フロアに到着してCTSに向かうと、もう入り口は開いており多くの人がいました。入口のスタッフにメールで届いた「内地通行証申請」の画面を見せると12番のインフォメーションカウンターに並んでくださいとのこと。

カウンターでは3人待ちで、すぐ自分の番に。ここでは
・通行証の申請番号(メール画面を見せた)
・Notice of Application for Access to Informationの書類
・パスポート
をスタッフに渡します。PCで確認作業などが行われ、書類、パスポートの返却と共に整理番号が渡されました。Q002だったので(内地通行証申請者の)2番目ということのよう。そして「奥で写真を撮ってください」と言われたので証明写真機へ(よくあるやつ)。スタッフがいるので手助けしてくれます。費用はHK$50でした。

さてフロアにはベンチがたくさんあり、少しずつ席が埋まっていきます。8:57にQ001の人が呼ばれ、どうやら9時ちょっと前からもう業務を開始するようです。他の方から結構待つと聞いていたのですが、9:02にはQ002の番号が呼び出しディスプレイに表示されたのでカウンターへ。

*このことから、実際は予約時間より前に行っても大丈夫ような感じです。

カウンターでは、
・Notice of Application for Access to Informationの書類
・パスポート
・IDカード
・パスポートのコピー(写真ページ)
・IDカードのコピー
を渡しましたが、さらに以下のコピーが必要とのことでした。コピーは1枚HK$3。カウンターでコピーしてくれます(なので自分でコピーを持参しなくてもお金を払えばやってくれます)。
・Notice of Application for Access to Informationのコピー
・パスポートの表紙のコピー

あとは得に何か質問されるわけでもなく、ただの申請って感じです。なお写真は証明写真機で撮った4枚つづりのものをそのまま渡しましたが、そこにあるQRコードも読み取っていました。香港の証明写真って撮影日とかがQRコードで保存されているのでしょうかね?なので自分で撮影した証明写真が使えるかどうかは不明です。

スタッフがPCに必要事項を入力して申請用紙を印刷。それを渡され「記載内容は合っていますか?」と確認を求められたのでチェック。問題無ければ返します。

そしてここで支払い。クレジットカードはだめで、
・Alipay
・WeChat Pay
・Union Pay
・BoC Pay
・EPS
・現金
のみ。なおAlipay HKで払えました。

今回自分が払った金額は、
・内地通行証申請費用 HK$260
・コピー2枚 HK$6
合計HK$266(約5200円)。これに写真代HK$50を加えると、総支払い額はHK$316(約6200円)でした。

10分弱で申請が終わり、最後に受理証を渡されます(書類、パスポート、IDカードも返却)。そこには申請番号や受領日が明記されています。自分は8月27日でした。なお受領はその日から1か月以内に行う必要があります。下の写真は受理証の上半分。

(4)申請時に必要な書類のまとめ

上に書いた、申請時に必要な書類をまとめます。
・Notice of Application for Access to Information(原本)
・パスポート(原本)
・IDカード(原本)
・Notice of Application for Access to Informationのコピー
・パスポートの写真ページのコピー
・パスポートの表紙のコピー
・IDカードのコピー
・証明写真1枚
証明写真は屯門中央広場の場合、CTS内にある写真機でHK$50。なおビルの外には数か所、証明者写真を撮ってくれるところがあり、そちらはHK$40などちょっと安めです。

(5)申請にかかる費用

再度書いておきます。
・申請費用 HK$260
・コピー代 HK$3 / 枚(コピーを持っていかなかった場合)
・写真代 HK$50(屯門中央広場CTSの証明写真機)

(6)CTSで内地通行証受領

8月27日:CTSへ向かうも受領できず(注:翌日受け取れた)

7月30日の申請後、特に連絡はなく8月27日を向かえました。今回も朝イチで屯門中央広場へ。


CTSへ行くと今回は人が全然いません。入口に立っているスタッフに内地通行証の受理証を見せると、また12番のインフォメーションカウンターへと言われたので並びます。自分の番が着てすんなりもらえると思いきや、スタッフがPCをたたいてなにやら首をかしげています。

そして別のスタッフに事情を説明。その別のスタッフが言うには「申請が多くて発行が間に合っていない」とのこと。そして「発行され受領可能になったら、前日までに電話かメールで連絡が行く」とのことです。実はこの日、そのまま広東省・東莞に行く予定だったのに(2泊3日)それもできず。ちなみによく見ると受理証の受領予定日の下に「遅延が無い場合」と書いてありました。

ここで何をいったところでどうにもならないので仕方なく帰宅。といっても屯門は遠いから戻るのもまた1時間です。まだ午前中だし旺角のスタバに行って仕事をしていました。

すると14時くらいにスマホに着電。普段は迷惑電話だと思って出ないのですが、恐る恐る出ると「こちらはCTSです、Yamaneさんですか?」と。そして「通行証は明日受領できます」とのこと。これ今朝行ったから急に慌てて確認したのか、それとも本当に1日遅延だったのか不明ですが、まあこれでようやく受領できることになりました。

おそらく、自分が申請した7月30日はCTSに多くの客もいたことから、実際にその前後は申請する人が多かったのではないかなと思います。

8月28日:CTSで無事ゲット

8月28日の朝、再び屯門へ向かいました。そしてCTSに行き12番カウンターへ。受理証とIDカードを出すと、今度は問題なく事が進み、「4番の自動発券機へ」と指示されました。

CTSの中にはIDカード発行機がいくつかあり、その4番へ。最初に受領証のバーコードをスキャン、次に香港IDカードをスキャンさせると、読み取りのあとにカードが出てきました。ようやくゲットです。

内地通行証を見ると、有効期限は2024年8月21日から2029年8月29日までとなっていました。申請したのが7月30日なので、実際の発行日はそれから約3週間後で、そこから1週間で受領できる、ということのようです。

(7)内地通行証受領後、深センに入り自動入国ゲートの指紋認証登録は後日

これで中国にパスポート不要で自由に入出国できるようになりました。なお中国のイミグレには指紋認証による自動ゲート、E-channelがあります。そのため中国で指紋登録も必要です。このあたりは本日すぐ深センに入れていないので、数日以内に追記します。

ちなみに皇崗のイミグレの場合は、中国入国後にそのまま外に出て、地鉄駅のほうへ向かう通路の歩道橋の手前、売店が並んでいるエリアがあり、ここに中国移民管理局の指紋登録所があります。自分はここで登録するかわかりませんが写真を載せておきます。

ここが外国人用内地通行証の指紋登録をする場所って表示が出ていますね。

今回は全文無料なのでここまでです。E-channelの指紋認証を行ったら、引き続きnoteに書く予定です。

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