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    中編や2-3話程度の作品などのまとめです。

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    『"〇"月の恋』中編シリーズ|"12"の恋 のまとめです。 5期生11人+α(予定)の合計12種類の恋愛物語です。

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    長編『愛という感情』のまとめです。

  • "君"とは…(完結済)

    長編『"君"とは…』のまとめです。 Episode 0〜Final Episode(計14話)

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    シリーズ『"センター"と"センター"』のまとめです

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"君"とは… Episode 0

1番近くにいて、1番遠い存在…。 それは時として、人生に酷を突きつける。 今日は高校生活最後の始業式。 これからの行事全てに"最後"と付くのは何だか癪に触るが。 高校最後のスタートラインに立つと、みんなとも"君"とも居れる日はそう長くないことを自然と感じられる。 進学校とされる自分の通う高校では、なおさら志望校の受験に向けて動いていく。 笑っていられるのも今のうちかもしれない。 君は僕のことをどう思っているのか…? そう思い始めたのはいつだったろうか。 君…

    • 気づいた瞬間。

      なんでだったかは覚えていない。 蒸し暑い夏の日。 祭りに出掛けた。 男1:ひっさしぶりだなぁ、祭り来るの。 ●●:まあ、去年は受験だったし?コロナもあったしな。 男2:男3人寂しく、楽しもうじゃないか。 男1:それは言わないお約束。 正直、誘われても祭りなんかに出かけるタイプではない。自分でも分かっている。 それでも、高校時代の親友との再会と祭りの華やかさに心は踊った。 男1:なあ、向こうのエリア行かね? 男2:ええ…あの人の多い橋渡るの? ●●:まあま

      • アンビバレンスを流してくれ。

        秋風でススキが揺れる河川敷。 放課後のいつもの場所。 なぜか川に飛び込みたくなった。 今日は帰っても誰もいないし叱られないだろ。 ●●:…冷た…。 「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」 冷たい水が心に沁みる。 河川敷の道から小学生たちが指を差している。 そんなことは関係ない。 ●●:……。 水面に反射する光に眩んで。 無意味なことを考えてしまう。 それを考えたくなくて。 息を止めて、一気に沈む。 山下:●●!何してるん? ●●:山

        • 立ち止まる時間はない

          今日もバイトだ。 忙しなく準備をして、真夏の世界へと飛び出す。 汗を拭きながら、向かう。 電柱に貼ってある紙を横目に。 ●●:お疲れ様です。 チーフ:お、●●くんお疲れ。今日は18時まで…で合ってるね? ●●:はい。今日、特に気にする事項ありますか? チーフ:夏祭りで今日は、多分18時までがピークで18時越えるとお客さん減ると思うから、それぐらいかな。 ●●:分かりました。 チーフ:じゃあ、今日もよろしく。 制服を着て、備品の洗浄や売り場の整理。 いつも

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        記事

          同調だけが全てじゃない

          アラームで目が覚める。 パンの焼けている匂いが鼻をつく。 リビングに出る。 〇〇:おはよ、理々杏。 理々杏:あ、おはよ、〇〇。寝癖、すごいよ笑。 〇〇:嘘?じゃあ、直してくる。 理々杏:ご飯もうすぐできるから! 〇〇:いつもありがと。 洗面所の鏡を見る。 あまりの髪の暴れ具合に笑ってしまう。 大学で出会った、理々杏は本当にいい子。 俺なんかにもったいないと思ってしまうぐらい。 だからこそ、絶対手放したく無い。 苦い記憶が脳裏を掠める。 〇〇:お待た

          同調だけが全てじゃない

          葛藤と花火と約束と…

          朝から猛烈な光と暑さが体を支配する。 向こうを見るとアスファルトが歪んで見える。 夏休みだというのに予定は夏期講習ばかり。 家でも塾でも一応、涼しい環境に身を置いている。 だからせいぜい、この道を歩いている時ぐらいしか汗なんてかかない。 …こんなのただの引きこもりじゃないか。 なんて思っては、君のことが浮かんでくる。 ●●:おはようございます。 先生:お、おはよ。●●はいつも早いな。意欲的だから助かるよ。 ●●:いえいえ。 いつも通り、自習室に入る。 一

          葛藤と花火と約束と…

          Sissy…

          アラームが鳴る。 見た夢は瞬間的に忘れてしまった。 幸せな気持ちだけがほのかに残っている。 体を起こすとその幸せはすぐに消え、現実と共に憂鬱な気持ちが立ち込める。 暑苦しい、夏の温度のせいではない。 それは分かっている。 賀喜母:遥香〜。ご飯できてるから早く降りてきなさい。 賀喜:…は〜い。 いつも通り忙しなくご飯を食べて、準備する。 ーーー 日差しが照りつける通学路。 大体いつもこの辺りで。 遠藤:かっきー! 賀喜:さくちゃん!おはよ。 遠藤:今

          Sissy…

          "7月"の恋

          夏休み前最後の金曜日。 学校に行く足取りはどこか軽く、重い。 浮き足立つ気持ちもあるようで。 もう今日が早く終わって欲しいという思いもある。 正門近くの空き地にはスイセンノウが鮮やかに咲いていた。 教室に着いても、クーラーはついていない。 窓からは熱を帯びた風が押し寄せる。 男1:暑過ぎる…〇〇、なんとかしてくれ… ●●:いくら学級委員でもそんな権限は…我慢してくれ…。 男1:ふざけんなよ…。 ●●:ほら、サッカー部は朝練頑張ってるんだし。 窓からグラウ

          "7月"の恋

          フクエンノアリカタ

          一過の感情に任せた結論。 その一瞬と感情は何度もフラッシュバックする。 そして思う。 積み重ねた思い出よりも忘れることが難しいのだと。 また目が覚める。 変わらないこの空っぽな部屋。 身支度をして、いつも通り駅へ向かう。 毎回、玄関で少し立ち止まってしまうのは何故だろうか。 机に置かれた月のネックレスと目が合う。 1人呟く。 〇〇:…いってきます。 電車に乗る。 イヤホンをつけて、喧騒をシャットアウトする。 今日の時間割に目を通して、準備ができている

          フクエンノアリカタ

          "6月"の恋

          目を開けると、太陽はとうに山の上にあった。 梅雨だというのに雲ひとつない今日。 その日差しがカーテンを超えて部屋に届く。 〇〇:なんでこういう日に限って晴れなんだか…。 思わず独り言が出てしまった。 というのも今日は大学が休み。 最近は雨が続いていたから憂鬱だった。 部屋の掃除とか洗濯をしてゆっくり過ごそう。 そう思って遅めの朝ご飯を食べていた時だった。 昨日ゲームしたままで、マナーモードを解除したままのスマホが音を立てて震える。 桜L:昼から行く! 〇

          "6月"の恋

          想いの涯には何が待っているか?

          街から灯りすら消え、闇に包まれる頃。 理由なんか無いのに、行き先なんて無いのに…また外へと出てしまう。 心の微かな痛みがそうさせているのか。 〇〇:はぁ…。 イヤホンから流す、いつもの曲の言葉の節々が刺さって、嫌になる。 こうなるぐらいなら、出会わない方が良かったかもしれない。 〜〜〜 何ら変わらない日。 学校に行くと、いつも通り声をかけてきた。 蓮加:おはよ、〇〇! 〇〇:おう…相変わらずだな…笑。 蓮加:いつも通りテンション低いなぁ…笑。 〇〇:だ

          想いの涯には何が待っているか?

          "5月"の恋

          ●●:今がチャンスかな…。 友1:そうだな、今のうちに帰るか。 予報通りではない雨。 部活の練習は中止で他の部活との兼ね合いの結果、休みになった。 今日という日に限って折り畳み傘を忘れるという失態を犯した。 暇だというのに帰れない状況。 小雨になってきたので、この程度ならおそらく家まで持つだろう。 急いで必要の無かった道具を持って、教室を出る。 友1:じゃ、気をつけて。また明日。 ●●:ん、また明日。 ーーー 校門で友達と分かれ、小走りで向かう帰り道。

          "5月"の恋

          愛という感情 Episode 0

          誰にも苦い過去や忘れられない過去というものがある。 それが時に人生にとって、人格の形成にとって大きな影響を与えることもある。 一方で新しい環境は、新たな自分を作るきっかけにもなったりする。 ーーー 高校生になって、はや1ヶ月。 生徒大会が行われている。 開いている窓からは心地よい風が入り込む。 山下:かっきー、リラックスして大丈夫だからね。まず選ばれたんだから、自信持って! 賀喜:美月さん…頑張ります…。 山下:うん、笑顔でね! 司会:続きまして、会長就任

          愛という感情 Episode 0

          アンチ・ロマンス

          ●●:あ〜、疲れたぁ…。 友1:今日は暑かったしな、尚更な。 ●●:ほんと…春はどこへ行ったんだよ…。 桜が散ったばかりだというのに、真夏のような暑さが続く日々。 夏の大会に備えゆく日々。 校門前の花壇に咲く花も何だか萎れている気がする。 友1:あ、明日単語テストじゃね? ●●:うわぁ、帰ったらしないと…。 友1:学年主任が英語の担当は終わってる。 ●●:顧問になんて言われるか分かんないからな。 友1:じゃ、俺はここで。 ●●:おう、また明日な。朝練、忘

          アンチ・ロマンス

          "4月"の恋

          どんな人にだって新生活はある。 と言っても自分は変わらず実家暮らしで、地元の高校に通うのだが。 それまでのコミュニティだけでは過ごせない。 新しい人と出会い、付き合っていくことが増える。 そして俺は初めて…一目惚れというものを知った。 五百城:初めまして。兵庫県から来ました、五百城茉央です! 五百城茉央さん。 15年以上、関東に住む人間にとってイントネーションが違う、関西弁というだけで特別感を抱くのだが…。 身長も高くてスタイルが良く、可愛い。 愛嬌もあって

          "4月"の恋

          "君"とは… Final Episode

          迎えた卒業式。 山口:〇〇、大丈夫か?笑 ●●:人生で1番緊張してる。 川﨑:●●がそんなこと言うなんて珍しいね笑。 ●●:あ〜…なんか動いてないとやってられない笑。 池田:●●が変な人になってる。 担任:お〜い、みんな準備はできてるか? クラスメイト達:(口々に)はい! 担任:高校生、最後の大舞台だからな。先生も名前呼ぶ時に噛まないように気をつけるからな笑。 山口:それだけはやめてくださいね笑。 担任:もちろん笑。よし、じゃあ廊下に並ぼうか。●●、頑張れ

          "君"とは… Final Episode