ピエール・アド『生き方としての哲学』より
「まとめてとして、二つのことを挙げたいと思います。一つは、解釈の努力をしながら分かったことですが、古代哲学を解釈しようと思うならば、何よりも著者の思考の動きと紆余曲折に従ってゆく努力をしなければならないこと。それは結局、哲学者が弟子に実践させようとする弁証法的または精神的な修練であって、たとえば論題をさまざまな異なった出発点から取り上げて見ることであって、アリストテレスに見るように、必ずしも厳密に一貫性をもつとは言えない連続的な訓練なのです。そしてもう一つは、エピクロスやストア派の哲学者のある種のテクストのように体系的な構想を目指す場合は、精神的修練の実践はいわば記憶術(mnémotechnique)とも言えるもので、それは生き方を定める教理をよりよく同化し、自分自身のものとして確実に所有させることを目的とするものなのです。」
ピエール・アド『生き方としての哲学』小黒和子訳、法政大学出版局、2021年、155~156ページ。
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