伊藤和夫『英文解釈教室』より

「まず、次のような語句で始まる文を考えてみよう。

(a) The house stands…
(b) In the house stands…

 各文はそれぞれ部分的にしか与えられていないが、これだけの部分からでも、(a)は全体がS+Vの文例(例:The house stands on a hill.)となり、(b)の場合はM(=修飾語)+V+Sの倒置形(例:In the house stands a man.)となることが分かる。(a)(b)の文は先頭のIn以外はまったく同じであるから、Inという語の中に解釈のこのような差を生み出す働きが含まれていることになる。換言すれば、Inという前置詞は「…の中に」という意味をもつほかに、the houseが主語でないことを示す働きをしているのである。
 主語と動詞の結びつきを見つけることが、英文を形の上から考えてゆく上で何より重要であることは、この章の前おきで述べた。英文解釈の第1課は、文にはじめて出る、前置詞のついていない名詞を、主語(主部の中心になる語:S)と考えて、これに対する動詞を探してゆくことである。動詞が見つかればSVの結びつきを中心にして全体の意味を考え、見つからなければ再び文全体を見渡して文に対する姿勢を変えることになる。」

伊藤和夫『英文解釈教室』研究社、1977年(1997年改訂版)、1〜2ページ。

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