これからの働き方サロンは、複業をこう考える
こんにちは、これからの働き方サロン運営担当です。
サロンの10月の勉強会テーマは「複業」。サロンには複業をされている方や企業の人事担当者などが在籍しているので、様々な立場の人の意見が聞けちゃいました。今回は特に、複業の受け入れや制度の導入を検討している企業の方、個人的に興味がある方、取り組んでいるけど悩んでいる方などに役立つ内容となっています!
メンバーの紹介
内容に入る前に、今回のテーマ起案者をご紹介します。まず本業と平行して複業を行なっている北海道在住の佐藤さんと、インドネシア在住で複業家の柳沢さんです!お二人ともTwitterで積極的に発信されているので、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
自己紹介:北海道在住の複業家。本業の現役人事のほか、他社の人事顧問・教育研修や地方自治体と連携した地域創生事業などにも取り組んでいます。夢を追う人・チームを支援する参謀役。息抜きは美味しい酒と肴と邦ロック。
自己紹介:エキサイト株式会社の現地採用社員として働いた後、現在はPT. MDKの取締役としてジャカルタで仕事をしています。複業として、インドネシア語のWEBメディアの運営や、フルリモートワークでのリスティング広告運用などを行なっています。
採用至上主義という弊害
ディスカッションの冒頭で、メンバーの複業に対する認識のすり合わせを行いました。まず複業の主体は「複業を許可する企業」「複業家を受け入れる企業」「複業をする個人」の3つに定義しました。
そしてディスカッションは「複業が増えているというネット記事や報道を見かけるわりに、実感として増えてないよね」という共通認識のもとで進んでいきます。
ーー増えてない実感って、制度として複業を許可している企業もそんなにないし、複業を受け入れる企業もほとんど増えていない実感があります。だから両方問題があると思うのですが、複業を許可する企業が増えないのってなぜでしょうか。
佐藤さん:弊社は複業を推奨していて、代表が「複業を推奨した方が離職率下がる」という考え方なんです。他の仕事とかも自由にやらせて、稼ぐのも好きにやったらいい、とした方が結局定着するだろうっていう考え方で社員に複業解禁しています。でもその考え方の社長は、このエリアでは他に誰もいないですね。笑
ーーそっちの方が本質的にそうだけど、経営者からすると自分の組織に自信が無いとできないかもしれないです、意外と。自分たちのメンバーを信頼していたり、うちの会社で楽しく働いているだろうと何かしら価値を提供しているというのが明確に思えていたら、やるんでしょうね。
佐藤さん:複業をすると、本業で得られない経験を複業で得られて、本業にプラスになるみたいな好循環が生まれています。なので複業をやった方が良いという文化になっています。
ーー絶対そういう返りはありますよね〜!では複業を受け入れる企業が増えないのってなぜでしょうか?大手は個人事業主とあまり契約しないじゃないですか。なにかあった時のリスクが取れないからなのか...それともコンプライアンス的な話なんでしょうか。
畑さん:個人の数が増えちゃうと、めんどくさいっていうのも。
宮部さん:おそらく、企業が契約する時に必ず行う信用確認で「法人である」ということが、何かしら信用が解りやすく得られやすいのではないでしょうか。コンプライアンス的に反社じゃないかとか、すごく確認します。それが個人だと今の段階では難しいのかなと思いました。
ーー例えば、柳沢さんがフリーランスだと契約できないけど、法人で1人の社長になったら契約できるのって意味がわからない。法人であることが大切、みたいな話ですよね。笑
柳沢さん:意味がわからないですね。笑
佐藤さん:社長視点でいうと、既存の社員で「その働き方ができるなら俺も抜けて複業という形で入ります。」と言う人が増えたりすることを、恐れているんじゃないかと思います。
畑さん:これから人口や生産できる人口が減っていき、リソースを共有しないと回らないとか採用できないという危機感がないと、そういう仕組みを変えようと企業側が思わないかもしれません。
ーーでも現時点でもう人は採用できていないじゃないですが、すでに。笑
だから何が原因で気付くんでしょうか。何か忙しいとなった時、本来であればアウトソーシングや自動化や省力化といった選択肢があるんですが、いろんなことを無視して「とりあえず採用だよね」ってなるのが、ほとんどのパターンなんだと思います。採用至上主義なんでしょうね。
佐藤さん:本当は地方こそ、複業家の人たちが活躍できる場所を作った方がいいと思っています。私の知人にフリーランスのマーケターがいるんですが、彼女は企業からプロジェクトを貰って、周りのフリーランスの人達でプロジェクトチームを作り活動しています。
これが地方に普及すればいいのにと思って。浮いているプロジェクトや、やらなきゃいけない仕事が山ほどあるのにリソースがないから進められていないというのは、絶対たくさんあるだろうなと思ってます。
ーーそういうことはいっぱいあるんだけど、そのなかでどうやったら進むのか、という話ですよね。何が問題なのか...問題はいっぱいあるんだと思うんだけど、どっちかっていうと、問題のほとんどは企業が抱えていると僕は思っているタイプです。
柳沢さん:複業を受け入れる企業が増えないのって、ディレクション能力が高い人が少ないからじゃないかなという(個人的な)仮説があります。どういうことかというと、外部の人材活用をする上でリソースを束ねながらやっていくのって、一言で言うとめんどくさいじゃないですか。だからディレクション能力が高い人が企業内に少ないと、複業家などの外部を活用する企業が増えないんじゃないかという仮説を持っています。
ーーディレクション能力というか...もしかするとディレクション能力を高めましょうみたいな話、世の中的に言うと「業務を切り分けて・明確にして・外に出す」というのが、僕は結構できないと思っています。
これは能力の問題だから。人の能力は簡単には上がらないし、全体平均が上がるとも思わないので、ディレクション能力がない人でも、外に業務を出せるようにするにはどうしたら良いのかを考えた方がいい気がします。
畑さん:そういうのが自分でもイメージが沸かないです。なのでもっと複業についての情報が外に出てきたらそれだったら自分でもできるなとか、会社側もそれだったら業務を外に出せるかなが増えてくると思います。
本業の仕事が複業になる
では、個人の複業家が増えないのは何故でしょうか。佐藤さんは自分が複業している話をすると「なぜそんなに頑張るの?」と言われることがあるそうです。個人が複業をする理由を考えるうちに、そもそも複業とはどういうものを指すのかについて考えることになりました。例えば、街中で見かける「自転車で出前を届ける仕事」が果たして複業なのかどうか。
ーー複業の定義によりそうですが、あれは複業っていうよりは...掛け持ち?笑
こういう空いている時間にちょっと稼ぐ、掛け持ちに近い手段は幾らでもあると思うんですが、「複数の仕事をしていこう」「同じ仕事をやりながらスキルを上げるために複業をやろう」ってなった時の選択肢があまり無いんじゃないですか。
柳沢さん:複業の始め方がわからないというのはあるかもしれないです。「明日から複業やろう」ってなった時に、どこにどうアプローチをしたら案件もらえるんだっけみたいな。それと、一部の人を除いて、自分のスキルを売買するサービスって最初の頃は価格がずっと低いんですよ。どっかのタイミングで跳ね上がるけど、そこまでの下積み期間が長い。
ーー価格を発注者側に決めさせてはいけないんです。男と女、地方と東京といったことには、もともと価格のアービトラージがあるんですよ。だから発注者側に決めさせると、どんどん安くなってしまいます。プラットフォーマーが絶対的に価格の決定権を持つべきです、特に下限は。
佐藤さん:本業があると価格決定権とか調整とかこっち優位にできちゃうのは大きいと思っています。こちらが提示した金額でもっと安くしてよって言われても、「じゃあ本業あるのでやらなくていいですよ」と言えますから。
それと「いま自分が本業でやっている仕事が複業になる」っていう感覚が無いと思うんですよ。
ーー自分がやっている仕事と同じような仕事をしている人は他の企業にもいて、ということは自分の仕事のスキルは他の会社でも需要があるってことだからね。うちとかで「複業したいけど値付けが分からない、複業したいけど何したらいいのかわからない」人に対するサービス、始めてみようかな!
佐藤さん:それニーズありますよ。笑
自分で決められないですもん、これできるから幾らって。
もしかしたらサロン発の新しいサービスが生まれるかも?!しれません。
さて、ここまでを通して「複業を許可する企業」「複業家を受け入れる企業」「複業をする個人」の3主体いずれも増えていない現状は、漠然とわからないという心理的なものが要因として共通していました。国のモデル就業規則の改定により複業が解禁されてからまだ日が浅いため、企業も個人もまだ手探り状態にあるのかもしれません。
また石倉は「選択肢を選択したい人が、選択できないことが問題」とも述べています。誰でもライフイベントは、いつ起こるのか予測不可能です。だからこそそれが起こった時に、イベントに合わせて柔軟に働き方を変化させ、無理することなく長く生き生きと働ける選択肢を選択できる環境作りが、求められているのかもしれません。
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