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リモートワークの基本を意識していますか。

こんにちは。これからの働き方研究所です。
前回は「アメリカのIT化が労働生産性とテレワークにもたらした効果」について考察し、テレワーク・リモートワークいずれも基本的に大切なことはIT化された労働環境ということが判明しました。
今回はその内容を受け、テレワーク・リモートワーク を推進しようとしている日本の「IT化の現状」をみていきたいと思います。

・いつでもどこでも繋がれる日本

日本のIT化は1970年代を始まりとしています。(一般財団法人|日本ネットワークインフォメーションセンター)
その後インターネットが登場し、スマホなどの登場とともに幾多の技術革新のなかでLTEなどの移動通信方式が飛躍的に進歩を遂げました。その結果インターネットへのアクセスが「いつでも・どこでも」可能となった現在、世界でみた日本のインターネット利用率・モバイルブロードバンド普及率は世界で1位,2位を誇ります。(平成30年|内国官房情報通信技術(IT)総合戦略室|「戦略の策定に向けた基本データ集<デジタル化の現状と課題>)

(平成30年|内国官房情報通信技術(IT)総合戦略室|「IT戦略の策定に向けた基本データ集<デジタル化の現状と課題>)

しかしこうした「いつでも・どこでも」インターネットにアクセスできる環境がありながら、なぜ日本の労働生産性はこの20~30年ほど低水準に止まり、働き方改革も思うほど進んでいないのでしょうか。

働き方改革の本質は「社員の労働生産性の向上」にあります。
この本質をベースとすると、業務効率化も欠かせない要素のひとつとしてあげられます。そのなかで重要なことが、IT化です。

日本企業のIT投資は最新の日銀短観(2018年6月調査分)によると、中堅企業でソフトウェアへの投資意欲があがっているものの、世界でみるとまだ低い水準にあります。そして研究所の第2弾でも述べましたが、日本の労働生産性は世界でも低い水準に位置しています。 

(平成30年|内国官房情報通信技術(IT)総合戦略室|「戦略の策定に向けた基本データ集<デジタル化の現状と課題>)

日本企業がIT投資を含めた働き方改革に向き合わないのはなぜでしょうか。
働き方改革の本質である業務効率化にとってIT化が欠かせないことは先述しました。そのなかで業務効率化に取り組む大前提として「ペーパーレス化」が課題となります。
それでは、ペーパーレス化への取り組みはどうなっているのでしょうか。

・紙依存大国

日本での「ペーパーレス化」への取り組みは1998年の電子帳簿保存法から本格的に始まり、2005年のe-文章法そして2001年の電子署名法で法整備がされました。当初は規制が厳しく承認件数も少なかったため2016年〜2017年にかけて改正が行われました。これにより技術的要件が緩和され、その後承認件数は急増しています。
また民間企業によるクラウドサービスも年々急増していて、平成28年版情報通信白書によると、利用していると答えた企業が2014年末より5.9pt増加の44.6%にのぼります。こうして官民一体となってペーパーレス社会への土壌作りがなされてきました。

          (出典:総務省|平成28年版情報通信白書)

ただし紙の消費量でみてみると2009年まで減ることはなく、リーマンショック以降ようやく微減傾向をみせていますが、2016年時点でまだ80万トンもの紙が消費されています。
また国民1人当たりの消費量は208.7kgで世界トップクラスの水準になります。

              (出典:日本製紙連合会)

・消費量-21kg、紙からの脱却革命

ペーパーレス化の取り組みはアメリカでも同時期に取り組まれはじめましたが、紙の消費量を減らすという結果を出しています。
はじまりは1999年にUniform Electronic Transaction Act(UETA)、2000年にElectronic Signatures in Global and National Commerce等の法整備により電子署名の契約・電子記録の有効性を法的に保証したことでした。
また同時期にIT化投資が加速したことも相まってペーパーレス化が加速するとともに、働き方そのものの発展も遂げ、人々はオフィスという物理的制約から解放されたのです。(出典:マイナビニュース「ペーパレスではじめる働き方改革(3))

これらの施作により1人あたりの紙の消費量は、2010年240kgから2016年218.6kgと約6年間で-21kgの削減に成功しています。
また2014年にウォールマートが電子レシートを導入したことや、電子処方箋などの開発が進んでいてアメリカでのペーパーレス化はますます加速して行く様相を呈しています。

・企業の取り組みファースト

ここまでアメリカの事例を交えて働き方改革の基礎である労働環境のIT化、ペーパーレスについてみてきました。
日本では土壌が一定の水準で整っているのにも関わらず、ペーパーレスが依然として課題があることがわかりました。要因として紙に依存した業務プロセスがその一因として考えられるでしょう。紙に依存している以上オフィスから離れることはできません。
またテレワーク導入を検討する際の障壁として多かった回答に「適した職種がない」があります。人事・経理業務の内部管理部門でのIT化は日本でも割合既に普及が進んでいますが、それ以外の業務・職種では進んでいません。
これらの職種でペーパーレス化されることで、問題も緩和の方向に向かうのではないでしょうか。(出典:中小企業庁「中小企業・小規模事業者のIT利用の状況及び課題について」)
働き方改革に取り組む際には、まずは紙からの脱却を図るという一歩から始めてみてはいかがでしょうか。


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