亀の恩返し
子どもにせがまれて、生き物を飼ったことありませんか。
私は子どもが小さい頃、夏祭りで金魚すくいをして持って帰ったので、その金魚を飼いました。
金魚すくいをした人たちは、あの金魚をどうしているのでしょう。
袋に入ったまま捨てられているのを見かけたこともあります。
すくった金魚を救う「金魚救い」のバケツでも置いておけばいいのにと思いました。
さて、友人のMさんは息子さんにせがまれて、ペットショップで亀を買ったのですが、息子さんはすぐに飽きてしまい、Mさんが面倒を見る羽目になったそうです。
20年以上経った今も亀は元気で、Mさんが面倒を見ているとのこと。
「これが、なかなか大変なのよ。」
とこぼすので、
「犬と違って散歩しなくていいし、狂犬病の注射やらなくていいから、金もかからなくて、いいじゃないですか。」
と私。
「水槽がすぐクソだらけになっちゃうから、掃除がたいへんなのよ。」
「生き物だから、食べれば出ますよね。」
などと話していたら、この亀が恩返しをしてくれた、と言うのです。
以下、Mさんと私の会話。
「何年か前の年末、部屋がやけにすーすーするなと思ったら、サッシの鍵の所が割れていて、鍵が外れていたんだよ。間違いなく、泥棒が入ろうとした跡だ。泥棒は、なんで中に入らなかったと思う?」
「わかりません。」
「まんねんだよ。亀の名前、まんねんっていうんだけどね、いつも、水槽を爪で引っ掻いて、カチカチやってるんだ。
泥棒は入ろうとしたけど、カチカチ音がするから、誰かいると思ったんじゃないかな。」
というわけです。
本当のことはわかりません。
亀をせがんだ息子さんは結婚して他県に住み、Mさんの奥様は亡くなったので、Mさんは一人暮らしです。
とても明るい性格なので、寂しい感じはしませんが、亀が癒しになることもあるのではないでしょうか。
綺麗な女の人になって恩返しに来る鶴も、若い頃ならいいですが、歳をとってからはは、手のかからない亀の方がいいかもしれませんね。