Alison Hui【香港尋味】
《上架書のご紹介》Alison Hui「香港尋味」。著者は旅行大好きのイラストレーターです。海外にはあちこちに行ったりしますが、自分の街の香港にもうろついていて、手描きで街の風景を記録している。今回の「香港尋味」はタイトルの通り、香港の独特の食文化の図鑑だ。
香港といえば、茶餐廳は有名ですね。この図鑑にはそれはもちろん、大排檔、冰室、茶樓、そして蛇羹(蛇スープ)まで紹介されている!
本書にはおいしそうな食べ物のイラストだけじゃなく、それらの歴史、沿革、老舗、作りのコツ、「老闆」のインタビューなどの盛りだくさんの内容が入れ込まれた。例えば、茶餐廳でよく使われている広東語単語(”孖春”とか”飛邊”とか)や茶樓の點心運ぶ用の道具の進化が細かく載っている。
店主に一番感心しているのは涼茶舖だ。店主は子供の時に旺角(モンコク)に住んでいた。その時の旺角には涼茶舖や蔗汁舖(サトウキビジュース屋)だらけだった。蔗汁舖にはサトウキビジュース以外はおやつとして「齋鹵味」も売られていた。それは大豆で作られたベジミートの「鹵味」だった。現在まだ経営が続いている涼茶舖は僅かだが、本書にはいくつかがピックアップされ、紹介されている。一番有名なのが「公利」と「恭和堂」でしょう。
それぞれが美味しいと思いますが、店主にとってはいずれも「齋鹵味」がないのがちょっと寂しく感じる。
この本はイラスト図鑑にしてもいいし、ディープなガイドブックにもなる。これを持って読みながら香港で食べ歩きするのがいかがでしょうか。
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