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「曖昧耐性」について
「曖昧(あいまい)」という言葉は、あまり良い意味で使われていないと思います。
しかし、果たして本当にそうでしょうか。曖昧さは完全に無くした方が良いのでしょうか。
確かに、慎重さや確実性が必要な仕事では曖昧さは無くすべきでしょう。しかし、多くの仕事は不確実性を持っていて、対応するには柔軟さの方が必要になります。
そのような時に、「ちゃんと決まってないと動けません!」などと言ってはいけません。明確に決め過ぎると、決まった範囲で既得権益が生まれ、狭い範囲の仕事を好むようになります。
敢えて言うなら「『決めないということ』を決めている」のです。
曖昧さを許容しないといけません。曖昧さを許容して適応できる能力が「曖昧耐性」です。
曖昧さを受け入れられないのは、承認欲求が原因です。これは、ルールが明らかな方が承認を得やすい為です。変化によって、得られる結果が不明確になることを恐れた結果、現状維持バイアスが強まります。最終的には、現場の「決まってないこと」を見つける粗探しのような行動に陥ってしまいます。
曖昧耐性があれば、不確実な状況でも判断や行動が鈍ることがありません。
また、曖昧さを許容しないと堅苦しくなり官僚政治的になります。良い意味での遊びを持った環境は、「与えられるもの」だけではなく、自分たちで許容して作り出していくものでもあります。
何かを決める為に議論をすることになりますが、相手を黙らせたからといって、その人を説得できたわけではありません。相手に理解してもらうことが大切になりますが、お互いに全てを理解するのは無理でしょう。そのようなことからも、決まってないという曖昧な状況を受け入れる必要があります。
最後に補足すると、「全てが曖昧であれば良い」ということではありません。曖昧が過ぎると不誠実と思われ、信頼を失うこともあります。気を付けましょう。
適切な曖昧さを許容して、柔軟性を設けつつ、その上で芯を持って行動しましょう。
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