[書評]センスは知識から始まる
先般、山口周さんと対談本を出されていた、デザイナーの水野学さんが2014年に上梓された本。
平積みになっていたのでなんとなく買った本ではあるのだが思いのほか面白い。まだ一回読んだだけだが、筆者は「センスのある・ないというのは勉強したか、していないか。何が普通で何が良くて何が悪いのかがわかることである」という。
芸術家にはなれなくても、勉強すれば芸術の目利きはできるようになる。そういうものを「センス」と呼ぶ。このネタ一本で本になっていて、たまに?とおもうところはあっても全体的にはイイことを言っているので若者向けの本かもしれない。
たまに聞く話で考えると「親のおかげで小さいころから良いものを食べてきたので何が美味しいのかってことはわかるんですよ、作れませんけど」とか、まぁそんな話なのかなという気はする。
デザイナーの話なのでどういう風にセンスをベースにモノづくりのアイデアをだしていくかという部分が中盤のメインになってくるのだが、その辺りはジェームス・W・ヤングの「アイデアの作り方」とも似ている気はする。こちらの本も私は好きである。
ところで、貯め込んだ膨大な知識や経験の中からしかアイデアは出ないし、目的に沿って知識や経験を素早くため込んでいける人というのがセンスなのだというのであれはそれはデザイナーに限った話でもない。
クラウドやOSSを基盤に、次々と出てくる新しい考え方やソフト、機能を相手に「センスよく」システム・サービスをつくっていくのならそれはもう人一倍勉強するしかないわけで、センスのあるエンジニア=勉強し・経験を積んでいる人、というのも間違ってはないだろう。そういう意味で質のいいOSSが世の中のエンジニアのセンスを作ってきたのかな、という気もする。
服のセンスがない私だがそういえばファッション雑誌とか読むこともないわけで色々勉強が足りないのだろうな、ということで。