【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #18
GAME1
山口74-64TUBC
現在4連敗中の山口。連敗ストップを目指して今節戦うのは東京ユナイテッドBC(以下:TUBC)だ。
昨シーズン4戦4敗だったTUBCとは今シーズン初顔合わせとなる。そのTUBCはプレーオフの進出を目指して戦っており、進出ラインの8位に位置している。
9位の湘南とは今節始まる前で3ゲーム差と、迫られており、一戦一戦が大切な時期に差し掛かっていると言えよう。
そのTUBCはオフェンスの軸となる32.クレイグがロスター外。
32.クレイグの他にも5.ダブ、33.宮田も欠場となり、厳しいメンバー構成で臨むアウェイゲームとなった。
-1Q(12-23)-
立ち上がりはTUBCのペース。
14.マドゥアバムがインサイドの強さで14.ジャクソンを上回ることができるため、彼のポストを起点にオフェンスを組み立てていた。
TUBCが14.マドゥアバムのダンクシュートで先制パンチを食らわせると、山口も負けじと14.マドゥアバムのポストに対してはダブルチームを中心に対応を見せる。
ただ、その山口の対応に対しても2.川島と52.グロリダのツーメンゲームによって局面を打開。2.川島が100%の確率で決めて5得点を挙げ、序盤のリードに大きく貢献した。
ディフェンスでも、9.重冨にボールを持たせない6.新号の激しいプレスに代表されるようにチームとして足をよく動かし、ローテーションを素早く行い、山口に圧力をかけていた。
山口はTUBCのローテーションに対して、8.下山をオープンにする形を作ったものの、3Pシュートが3本とも不発に終わり、リズムを作ることができなかった。
中盤以降も、大きくペースは変わらず、TUBCがインサイドでのポストを起点に3Pシュートを立て続けに沈めた。
1Qでは0.上田、2.川島、46.今林、52.グロリダ、58.山本が1本ずつ成功させチームとして5/8の確率で3Pシュートを決めるなど、23得点。山口のオフェンスも12得点に抑え、9点のリードを奪った。
-2Q(15-19)-
2Q序盤は山口が反撃に出る。
TUBCのシュートが決まらないこともあり、リバウンド確保やスティールから速い展開を作り、77.川上の得点でTUBCにタイムアウトを強いた。
TUBCのタイムアウト明けは一進一退の攻防が続いた。山口は7.ケンドリックのオフェンス力によって得点を挙げ、TUBCは14.マドゥアバムのインサイドでの強さと2.川島と52.グロリダのツーメンゲームから得点を挙げた。
試合は次第に守り合いの流れとなり、19-31でオフィシャルタイムアウトに突入した。
オフィシャルタイムアウト明け直後、山口は7.ケンドリックのフリースロー後に仕掛けたオールコートプレスが不発。11.徳川にあまりにも簡単に3Pシュートを許すと、点差を広げられる展開となった。
11.徳川のフリースロー、14.マドゥアバムのゴール下で失点すると、TUBCのゾーンディフェンスの前に、作ったオープンショットをなかなか決められなかった。
全体的に苦しいオフェンスが続いた山口に対して、勢いを見せたTUBCという構図の前半は27-42でTUBCのリードとなった。
-3Q(17-9)-
3Qに入ると、山口が猛攻を仕掛ける。
山口はロッカールームでゾーンディフェンスを用意。そのゾーンが見事に当たり、TUBCの足を止めることに成功した。
TUBCのインサイドアタックに対して人数をかけてスペースを与えず、リバウンドもしっかりと確保して、オフェンスにつなげていった。
すると、9.重冨のスピードが生きる展開となり、ファストブレイクを中心に一気呵成に攻め込んで11-0のランを作り、タイムアウトを取らせた。
ただ、TUBCのタイムアウト明けは山口のオフェンスが停滞し、ターンオーバー、オフェンスファウルにより、シュートを打ちきれないポゼッションも続いた。
TUBC側も山口のインサイドに対するディフェンスの前に苦戦を強いられた。アウトサイドからのシュート確率が上がってこないこともあり、52.グロリダや14.マドゥアバムの奮闘によって何とか得点を挙げる形となっていた。
完全なる守り合いの試合は山口が44-51と点差を詰める展開となった。
-4Q(30-13)-
4Qに入っても山口のリズムは崩れず、押し気味に進めた。
11.山口のスティール、7.ケンドリックの連続得点で早々に追い上げ体制を作ると、1点差に迫るチャンスをターンオーバーで逸してしまうものの、2.上松のアタック、1.エイブラムのミドルショット、9.重冨の3Pシュートで逆転に成功した。
46.今林の2Pで再び同点に追いつかれるが、2.上松の3Pシュートで勝ち越して3点リードでオフィシャルタイムアウトに突入する。
オフィシャルタイムアウト明けも流れは山口。ディフェンスではTUBCのインサイドでのアタックを封じてリバウンドを確保。
良い形でオフェンスに繋げると、1.エイブラムの全くぶれないシュートタッチと9.重冨のゲームコントロールと3Pシュートで点差を広げていった。
TUBCは0.上田とビックマンのツーメンゲームで状況の打開を図るものの、山口ディフェンスにペイント内のスペースは消されており、効果的なオフェンスを繰り出すことが難しくなっていた。
山口はTUBCの反撃を最小限にとどめて、オフィシャルタイムアウト明けは危なげなく試合を進めて逃げ切りを果たした。
山口は74-64で勝利を挙げ、連敗を4で止めた。
-試合後の感想-
山口は苦しんだ序盤から劣勢を跳ね返しての逆転勝利となった。
ディフェンスでできることを続けながら、反撃の機会を伺うという展開の中、粘り強く戦い、ペースを掴んでから一気に畳み掛ける試合もそう多くはない形なのではないかと感じる。
その意味ではチームとしての底力がついてきたと言えるかもしれない。
ただ、会心の勝利とは言えず、前半の進め方には反省点もある試合だったという中では、明日のゲームに上手く繋げてホームで連勝を飾ってほしいところである。
TUBCは厳しいロスターの中、激しいディフェンスとポストアタックでペースを掴んだが、悔しい逆転負けとなってしまった。
何よりも痛かったのは2Q以降に3Pシュート確率がガクッと落ちてしまったことだろう。
1Qは5/8で決まった3Pシュートが2Q以降は2/20と完全に沈黙。
ここが決まらないために、山口はインサイドのディフェンスに絞ることができるようになり、TUBCとしては徐々にオフェンスが厳しいものとなってしまった。
ただ、山口に対するゲームのデザインはハマっていたように見えたところも大いにあったため、GAME2に向けては一定の手応えを得た試合だったのではないだろうか。
GAME2
山口69-73TUBC
9人のロスターで戦う厳しい状況のTUBCに対し、山口もGAME2は7.ケンドリック、11.山口が欠場することとなった。
-1Q(19-21)-
GAME1と同様に、立ち上がりはTUBCがリードを奪う。
2.川島、6.新号のドライブアタック、14.マドゥアバムのゴール下、52.ブラの3Pシュートで3-10と先制パンチを浴びせる。
山口は14.ジャクソンのポストアタックを厳しいディフェンスで防がれ、ドライブのコースもスペーシングの悪さやTUBCの強度の高さによって難しい状況となり、思うように得点が挙げられない時間が続いた。
それでも、5分経たないうちに14.マドゥアバムがファウル2つでベンチに下がると、1.エイブラムの連続得点や25.田中のバスケットカウントによって1点差まで追い上げる。
終わりの時間にかけては押し引きが続き、TUBCが23.小倉の3Pシュートで突き放すと、山口も8.下山、32.吉川の3Pシュートで同点に追いつく展開となった。
最後に46.今林のドライブアタックが決まったTUBCが19-21と2点のリードを奪った。
-2Q(24-19)-
2Qは重苦しい雰囲気からのスタートとなった。
互いにシュートが決まらず、山口はボールを回して14.ジャクソンのダンク、TUBCは52.ブラの奮闘による得点にとどまった。
しかし、中盤に差し掛かる辺りで様相が一変し、TUBCの23.小倉と山口の8.下山が3Pシュートを入れ合う展開となった。
その中で、山口は15.濱田がオフェンスでうまく絡み、自らのドライブやピックによって味方のシュートチャンスをクリエイトしていた。
その一方で、ディフェンス面では15.濱田や23.石橋などいつもと違うメンバーがコートに立っていることによって、ローテーションがうまくいかない場面が数回あり、TUBCにフリーを作られてしっかりとシュートを決められていた。
29-36とTUBCリードで迎えたオフィシャルタイムアウト明けは、濱田劇場で山口が大きな流れを掴んだ。
山口の他の選手とは異なる関わり方でTUBCディフェンスのズレを生み出し、アシストにドライブからのレイアップにと得点を生み出していた。
オフィシャルタイムアウト明けのオフェンスでは、ほぼ全てのポゼッションに絡み、4得点2アシストで山口の逆転の原動力となった。
TUBCは6.新号や46.今林のドライブで得点を挙げたものの、15.濱田の動きにディフェンス面でアジャストができず、失点を重ねてしまった。
オフィシャルタイムアウト明けは山口が14-4と圧倒し、43-40の3点リードで前半を終えた。
-3Q(13-13)-
ファウル2つのために2Qでは起用できなかった1.エイブラムと14.マドゥアバムをコートに送り出した両チーム。
山口は1.エイブラムの連続のミドルショット、TUBCは山口の弱点であるトランジションオフェンスから14.マドゥアバムと52.ブラのインサイドでの圧力によって得点を挙げる出だしとなった。
3分が経過するところで1.エイブラムが3つ目のファウルを犯すと、流れがTUBCに渡る。52.ブラが15.濱田を押し込んで得点機会を作って逆転を果たした。
山口はこの時間帯ではTUBCの強度の高いディフェンスを前にペイントタッチができずに、タフショットを続けて打たされていた。
それでも14.ジャクソンのオフェンスリバウンドからのダンクシュートと15.濱田の3Pシュートで山口が再逆転を果たすと、終盤は一進一退の攻防が繰り広げられた。
互いにターンオーバーを繰り返すなど、ディフェンスが上回る守り合いの展開となり、スコアがなかなか動かない時間が続き、13-13のタイスコアで最終第4Qへと向かうこととなった。
-4Q(13-20)-
4Qはコートに戻ってきた1.エイブラムの長距離砲が炸裂し、山口が先手を取る。
立て続けに2本のシュートを決めて5得点を挙げた。
しかし、TUBCも負けじと反撃に打って出る。山口のスイッチディフェンスの裏を突くハイロープレーから14.マドゥアバムのゴール下で7得点を挙げた。
山口は1.エイブラム以外のシュートが全く決まらず、逆に6.新号に3Pシュートを決められ、61-63と逆転を許してオフィシャルタイムアウトに突入した。
オフィシャルタイムアウト明けも流れはTUBC。前日から含めてロスターが厳しい中、この時間帯でも強度の高いディフェンスが継続し、ずれを作らず、山口にタフショットを強いていた。
山口はアウトサイドからのシュートシーンが多く、フリースローも含めてシュートを決めきれずに、TUBCに0-11のランを許した。
11.徳川の3Pシュートが決まり7点のリードを奪い、逃げ切り体制に入るTUBC。
フリースローの失敗やターンオーバーがあり、盤石の形とはいかなかったものの、52.ブラの値千金のオフェンスリバウンドや山口のアンスポーツマンライクファウルによって時間を消化した。
TUBCがプレーオフ進出への強い気持ちと意地を見せ、勝利をもぎ取った。
-試合後の感想-
山口は今節も連勝を果たすことができなかった。
7.ケンドリック、11.山口が欠場となる中、15.濱田の活躍もあって、リードを奪う時間も多かったが、最後のところで結果を逃してしまった。
4Qでの失速は、TUBCのディフェンスの前に良い形でのシュートをクリエイトすることができずに、アウトサイドからのタフショットを強いられてしまったことが大きかった。
このような局面ではタイムアウトを取って、14.ジャクソンのポストアタックをデザインし、状況を打開してきた試合もいくつかあったと思うが、この試合ではその機を逃してしまった感が否めない。
TUBCのシュートもハイペースで決まっていたわけではなく、オフィシャルタイムアウトが迫っていたこともあり、タイムアウトを取るタイミングは難しかったと思うが、コート上の選手たちの状況判断も含めて、劣勢の展開で、勝負手を放てなかった試合だったと感じた。
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