【遂行力を取り戻して掴んだ逆転連勝】〜24-25 B3 第16節 山口パッツファイブvs金沢武士団 マッチレポート〜
GAME1
山口98-87金沢
(21-23,27-18,25-20,25-26)
スターティング5
山口:山口・プレストン・マックスウェインJr.・富田・吉川
金沢:グリーン・市橋・ペトロフ・國分・髙橋
-1Q-
山口はコンディション不良によりロスター外の9.重冨に代わり、32.吉川がスターターとして起用された。
金沢はインジュアリーリストに登録中の12.小西、25.田中が欠場となった。
まず、プレビューで注目に挙げた金沢7.グリーンに対する山口のディフェンスは、21.マックスウェインJr.ではなく、11.山口がマークにつく方法を採用していた。
序盤は狙い通り7.グリーンにシュートを打たせずにいた山口だが、インサイドの22.ペトロフを自由にしてしまい、ペイント内での得点や3Pシュート、アシストにて活躍を許した。
さらに、22.ペトロフに活躍される中で15.プレストンがいきなり2つのファウルを犯してしまい、先が思いやられる展開となった。
ただ、オフェンス面でスターター起用の31.富田、32.吉川が活躍。
最初の得点を31.富田のコーナースリーで挙げると、32.吉川がフローターでの4得点とスティールからのレイアップで得点を挙げ、チームを引っ張った。
序盤に22.ペトロフで得点を重ねた金沢は徐々に7.グリーンや30.髙橋のエンジンがかかってくる。30.髙橋は3Pシュートを1本成功。7.グリーンはドライブでファウルを獲得し、フリースローで得点を重ねていった。
山口は4.コラムの2本のロングシュートや77.川上、24.田中のドライブで得点を挙げるものの、敵陣でのゾーンプレスからのセットディフェンスへの移行がうまくいっておらず、7.グリーンのドライブや18.市橋の3Pシュートを許し、21-23と2点のビハインドで1Qを終えた。
-2Q-
2Q立ち上がりは、15.プレストンと4.コラムが2つのファウルを抱えている山口に対し、金沢が22.ペトロフと42.コッツァーのインサイドアタックで優位に立ち、連続得点を挙げるスタートを切った。
リードを広げられた山口は、77.川上、21.マックスウェインJr.のフリースローで得点をつなぐと、このクウォーターも32.吉川の活躍でリズムを取り戻す。
ドライブインから柔らかいタッチでのシュートやミドルジャンパーで得点を挙げると、ツーメンゲームから21.マックスウェインJr.のジャンプショットをアシストし、6得点を作った。
同点で迎えたオフィシャルタイムアウト明けは山口がオフェンスの精度で金沢を上回る展開となった。
金沢のゾーン気味のディフェンスに対して4.コラムのフローターや21.マックスウェインJr.のジャンプショット、31.富田のスリー。
そして、トランジションから4.コラムの3Pシュートと立て続けにシュートが決まり、得点を重ねた。
また、この時間帯は7.グリーンのマークについていた8.末廣とビッグマンのマークをしていた4.コラムのディフェンスでの対応が素晴らしかった。
うまくマークを受け渡しながら7.グリーンに自由なアタックをさせない連携と7.グリーンのマークを捨て、ダブルチーム気味に手を出して二度のスティール機会を作った8.末廣の判断で金沢のオフェンスをストップしていた。
さらに、良いディフェンスからオフェンスに繋げることもできており、アウトサイドでフリーを作って32.吉川のスリーや速攻から8.末廣のレイアップで得点を挙げ、一気にリードを奪った。
金沢の方は7.グリーンが激しいマークに合う中で、彼自身がその山口ディフェンスを上回ってドライブで得点を挙げるシーンを作っていたものの、8.末廣にうまくファウルを使われていたこともあってチームとしてオフェンスにリズムが生まれていない印象だった。
2Qは山口が上回り、48-41と7点をリードする前半となった。
-3Q-
後半立ち上がりは山口のペース。
31.富田のスクリーンをうまく生かしてペイント内に進入した15.プレストンに32.吉川が完璧なパスを送り、アリウープダンクを決めると、11.山口が7.グリーンへ簡単にボールを持たせない厳しいマークで金沢のオフェンスを守り切る。
すると、15.プレストンの圧倒的なオフェンスリバウンド力で4得点。そして、トランジションから31.富田のスリーで9-0のランというスタートとなった。
その後も躍動する15.プレストンはブロックショットにインサイドでの得点と印象的なプレーを連発。山口が3分強でリードを18点に広げた。
苦しい金沢は、山口のオフェンスを二度のスティールで防いでから徐々にリズムを戻していく。
22.ペトロフのディープスリーと7.グリーンの仕掛けによってフリーになった23.國分のコーナースリーで連続得点。その後、この試合好調の32.吉川に2本のフローターシュートを決められるものの、7.グリーンのドライブや30.髙橋のスリーで少しずつ得点を返していった。
山口は7.グリーンのマークについていた11.山口が4つ目のファウルでベンチに下がった後から7.グリーンの対応に苦戦が見られ、失点が嵩んでしまった。
また、オフェンスでは長めのパスが多くなる中でターンオーバーが増えてしまった印象だった。
ただ、8.末廣が7.グリーンのマーカーとしてコートに戻ってきてからは再び金沢のオフェンスをストップできる機会が増え、トランジションから21.マックスウェインJr.の得点などで二桁点差を維持して3Qを乗り切った。
-4Q-
4Qの序盤は、反撃に出たい金沢がディフェンスで積極的にトラップを仕掛けてくる展開となる。
一度はそのトラップに引っ掛かってしまい、点差を詰められた山口だったが、直後のオフェンスでは32.吉川と4.コラムでうまくいなして11.山口の3Pシュートを成功させ、リードをキープした。
ただ、トランジションからの得点を狙う中で、ボールコントロールができずにターンオーバーとなると、イリーガルスクリーン、トラベリングと三連続ターンオーバーで金沢に反撃の隙を与えてしまう。
追い打ちをかけるように11.山口がファウルアウトとなり、リードは保っているものの、嫌な雰囲気でオフィシャルタイムアウトに突入した。
タイムアウト明けは金沢が7.グリーンを中心に反撃を見せる。
7.グリーンのアシストから30.髙橋のバスケットカウントによる3点プレーと7.グリーンのドライブで獲得したフリースローによって4得点を挙げた。
しかし、この局面で冷静さを保った山口は、7.グリーンをオフェンスの目標に定めて得点を作っていった。
4.コラムがインサイドで7.グリーンを押し込んで得点を挙げると、4.コラムの逆サイドへのパスから77.川上のドライブ、さらには15.プレストンが7.グリーンをインサイドで押し込んでの得点と6-0のランで一気に金沢を突き放すことに成功した。
試合の展開としてはここで決着がついた感があった。
しゅうばんのクロージングは前回対戦した東京Zのような盤石なものとはいかず、22.ペトロフや7.グリーンのスリーで6点差まで追い上げられてしまった山口だが、残り時間に助けられながらフリースローの成功で逃げ切りを果たした。
98-87で勝利した山口が連敗を5でストップした。
-試合後の感想-
7.グリーンに対するディフェンスの考え方が注目だった中で、日本人選手をマークにつける選択をした山口。
11.山口、31.富田、8.末廣を中心に手を替え品を替え対応にあたっていたが、この選択は比較的うまくいっていたのではないかと感じた。
特に11.山口と8.末廣の対応には7.グリーンも嫌がっているような感じを画面越しに受けた。
結果的に、7.グリーンの対応には個人ファウルを目一杯使うことになったものの、簡単にシュートを決めさせずにフリースローラインに立たせるという山口の抵抗が、金沢がリズムに乗り切れない要因の一つとなったように思う。
スタッツを見ると、7.グリーンのフリースローは12/18本となっており、単純計算ではシュート3本分をファウルによって削ったと言える。
この3本分が思ったより大きく作用して山口の勝利を繋がったのではないだろうか。
もちろん、7.グリーンに27得点を許し、チームとしても87失点を喫していて、決してディフェンスの勝利と言える数字ではない。
ただ、それはオフェンスでのミスから無駄なポゼッションやトランジションの機会を与えているという側面が大いにあったと思う。
GAME2はこの部分の改善とディフェンスで見られたミスコミュニケーションを1つでも多く減らすことが重要となるだろう。
GAME2
山口94-75金沢
(22-33,21-18,21-10,30-14)
スターティング5
山口:山口・プレストン・マックスウェインJr.・富田・吉川
金沢:グリーン・市橋・ペトロフ・國分・髙橋
-1Q-
前日のゲームから金沢の2.東野が新たに欠場となったGAME2は立ち上がりから互角の攻防が繰り広げられた。
山口はこのゲームも11.山口を7.グリーンのマークにつける選択。その11.山口は見事なフェイスガードで7.グリーンにボールを持たせず金沢のオフェンスに制限をかけていた。
ただ、金沢のシュート精度、とりわけ23.國分のシュートタッチが素晴らしく、山口のディフェンスに押される中でのシュートであっても、タフ気味のミドルショット、そして3Pシュートを次々と射抜いてチームを助ける活躍を見せた。
山口はセットディフェンス自体は良かったものの、トランジション時に、ファウルで止めるべきシーンでファウルを使うことができず、そのまま金沢にシュートを決められるシーンを作らせてしまっていた。
その中で、徐々にオフェンスのリズムを失い、リードを奪われてしまうことになった。
立ち上がりからのシュート精度の高さで山口のゲームプランを破壊した金沢は、トランジションでのシュートを中心に、22.ペトロフや7.グリーンの3Pシュート、30.髙橋のミドルジャンパー、7.グリーンのドライブアタックなどで23.國分に続き、1Qで大量33得点を挙げた。
山口のオフェンス面は前日に続き、32.吉川のドライブやミドルジャンパーは精度高く決まっていたが、中盤辺りの時間はペイントタッチができずにアウトサイドからのシュートに託すシーンが多かった印象で、その精度が金沢より低かった分、リードを許す形となってしまった。
-2Q-
2Qも良い流れを継続する金沢は、山口のトラップディフェンスをものともせずフリーな選手にボールを回してシュートを放ち続けた。
このクウォーターは18.市橋が2本の3Pシュートを成功させチームを引っ張っていた。
山口はディフェンスから立て直すという意識が空回ってしまい、ドライブに対するオーバーヘルプによってフリーでアウトサイドシュートを許したり、強くいき過ぎてファウルになってしまったりして失点を止めることができなかった。
ただ、オフェンスではトランジションオフェンスを繰り出すことでクリーンなシュートシーンは作り出しており、パスミスによるターンオーバーは増えてしまったものの、15.プレストンのインサイドや11.山口のジャンパーで得点を挙げることはできていた。
金沢14点リードで迎えたオフィシャルタイムアウト明け、7.グリーンをコートに戻した金沢に対して、山口が牙を剥く。
金沢のシュート精度がいよいよ落ちてきたこともプラスに作用すると、1Q立ち上がりに見せていた11.山口の7.グリーンへの激しいフェイスガードで攻撃を制限することに成功。
1Qに立ちはだかった23.國分がコートに立っていないことも生かしてまともなシュートを打たせない時間が続いた。
そして、良いディフェンスから速いオフェンスにつなげ、15.プレストンのインサイドの強さを生かして得点を量産。8-0のランを作って一気に点差を詰めることに成功した。
金沢は山口のディフェンスの歯車が再び噛み合った中で、苦しいオフェンスが続いてしまった。一度タイムアウトを取った局面で23.國分をコートに戻す選択もあったように思った。
終盤はボーナスフリースローによって金沢が加点をしていったが、山口が43-51と反撃体勢を整えて前半を終えた。
-3Q-
後半もディフェンスの継続を目指す山口に対して、7.グリーンがアシストを行うことで打開を試みる金沢。
しかし、1Qとは異なりオープンスリーが全く決まらずにオフェンスが失敗となると山口に反撃を許してしまう。
山口は15.プレストンのインサイド、32.吉川のストップジャンパー、トランジションの流れから11.山口の3Pシュートで一気に1点差まで詰め寄ることに成功した。
山口が追い上げを見せた後は、一進一退の攻防が長く続く。
金沢は7.グリーンのドライブや3Pシュート、42.コッツァーとのツーメンゲームから18.市橋のレイアップ、23.國分のカッティングで得点を挙げ、
対する山口は31.富田のジャンプショットや15.プレストンのインサイド、21.マックスウェインJr.のドライブで得点を挙げた。
最後まで抜きつ抜かれつの展開が続いたが、21.マックスウェインJr.の3Pシュートが決まった山口。5人で10分間を戦い抜くという選択が功を奏し、64-61と逆転に成功した。
-4Q-
4Qも31.富田に代わって77.川上が入っただけで、同じメンバーで同じディフェンスを継続しようとする山口。
金沢のオープンスリーが入らないことを生かしてディフェンスを成功させ、15.プレストンのフリースローと32.吉川のフローターでリードを広げる。
しかし、金沢の方も、15.プレストンのインサイドアタックを人をかけることで防ぎ、23.國分のドライブや7.グリーンのスティールからの得点で抵抗を見せる。
その後、77.川上とのピックアンドロールから15.プレストンがバスケットカウントを獲得し3点を追加する山口だったが、15.プレストンの連続ターンオーバーから30.髙橋、7.グリーンという千両役者に3Pシュートを許し、試合を振り出しに戻されてオフィシャルタイムアウトに突入となった。
タイムアウト明け、32.吉川のフリースローで勝ち越された金沢は、30.髙橋を休ませるものの、その間のつなぎに失敗し、その選択が裏目に出てしまうことに。
7.グリーンのタフスリーと0.花田のドライブが決まらず、15.プレストンの連続得点を許し、6-0のランを作られてしまう。
たまらず30.髙橋をコートに戻して4点を確保した金沢だったが、火がついた山口のオフェンスは止められず、21.マックスウェインJr.と77.川上に立て続けに3本のスリーを決められて二桁のビハインドとなってしまった。
1Qの金沢のお株を奪うように、高いシュート精度で一気に金沢を置き去りにした山口。勝負どころの3Pシュートの嵐で試合を決めてみせた。
試合終了にかけても21.マックスウェインJr.のスリーは落ちる気配がなく、さらにリードを広げてクロージングに成功。
2Qの中盤以降でディフェンスの遂行力を取り戻し、94-75と逆転勝利を果たした。
-試合後の感想-
このゲームも山口のディフェンスの勝利であると思う。
試合の入りから素晴らしいセットディフェンスを見せており、相手のキーマンである7.グリーンを激しいフェイスガードで制限していた11.山口に引っ張られるように、チームとしてよく足が動いていた。
1Qはその中でタフなシュートも決め続けた金沢がただただ見事でディフェンスを破壊されてしまったものの、2Qの後半からそのディフェンスの遂行力を取り戻したことで逆転につなげることができた。
この二日間は得点こそ伸びなかったものの、7.グリーンに圧をかけ続けていた11.山口と短いプレータイムの中でうまくファウルも使いながら7.グリーンを止めた8.末廣のディフェンスでの貢献はMOM級だった。
オフェンス面では32.吉川の奮闘でゲームをつなぎ、15.プレストンのインサイドの支配力、21.マックスウェインJr.のシュートタッチの良さで試合を決めた。
15.プレストンは39分の出場で36得点19リバウンドと凄まじいスタッツを残し、MOMに相応しい活躍を見せてくれた。
課題を挙げるならば1Qのトランジションでのやられ方である。
金沢のシュート精度があまりにも高い部分は仕方がなかったが、良いリズムで攻められている中でトランジション局面でのファウルストップは必要だったように思った。
例えば、二人がオフェンスリバウンドに飛び込んでしまって数的不利でのディフェンスになったシーンでもファウルをする素振りがなく、味方の選手が戻ってくる前に22.ペトロフにフリーで3Pシュートを許したシーンは、特に気になった。
それでも、ずるずる行きかねない展開の中で、遂行力を取り戻して逆転勝利につなげられたことは大きな前進である。
連勝が求められる試合で、きっちり連勝を果たしたチームは見事だった。
金沢は2Q以降、徐々にシュート精度が落ちてしまい逆転を許すことになったが、ここは山口の立ち上がりからのディフェンスがボディブローのように効いていたからだと見たい。
結果論としてもったいなかったのは4Qのオフィシャルタイムアウト明けで30.髙橋を休ませた判断だ。
たった1分7秒であったが、ここで山口に作られた6-0のランが、重くのしかかった印象だった。
30.髙橋は3Q以降出突っ張りだったため、ここでの判断は仕方がない側面はあるが、もっと前の段階でベンチに下げられるシーンがあったかどうかは振り返るべき点なのではないだろうか。
それでも1Qから2Q前半にかけての恐ろしいほどのシュート精度の高さは肝を冷やした。力がある部分も見せていたため、次週以降の戦いぶりにも期待をしたい。
※追記
最後に金沢の選手起用にコメントする形となったが、この試合では2.東野が欠場となっていた点を見逃していた。
本来のローテーションでは、いの一番に交代で出てくるのが2.東野である。彼がシックスマンとしてベンチの信頼度が高い選手であるが、その選手が欠場となっていたことはこの試合の選手起用を難しくさせたはずだ。
おそらくその難しさを抱えた中で、この試合の30.髙橋のプレータイムが増えてしまったのではないだろうか。
それでも最終盤に向けて休ませるという選択を取ったが、その選択が結果的には裏目になってしまった。
そういった意味では2.東野の欠場は、勝敗を分けた要因の一つであったと言えるだろう。