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【あまりにも盤石な試合運び】〜24-25 B3 第19節 山口パッツファイブvs岩手ビッグブルズ マッチレポート〜
GAME1
山口72-87岩手
(19-32,13-16,19-20,21-19)
スターティング5
山口: コラム・山口・プレストン・富田・吉川
岩手:石川・山際・門馬・ムボジ・マウンス
-1Q-
21.マックスウェインJr.が欠場の山口。
ベンチには特別指定で新加入の18.上間が早速入った。
最初のポゼッションは岩手。
6.山際のペイント内への進入からのジャンプショット、そしてキックアウトからの22.門馬の3Pシュートで得点を挙げる。
対する山口もスクリーンプレーから31.富田のスリー、そして15.プレストンへのダブルチームを交わして大外の31.富田にパスを送りクリーンな3Pシュートが決まり、こちらも連続得点を挙げた。
この31.富田のスリーの後、早々にタイムアウトを取った岩手。ただ、試合は落ち着かず両チームともに100%の確率でシュートを決めていく。
岩手は61.マウンスと99.オディジの外国籍選手の得点。山口は31.富田の2本のスリーと32.吉川のドライブと日本人選手の得点となった。
この点取合戦から先に脱落したのは山口の方だった。
岩手のリング下でのローテーションディフェンスの巧みさでタッチが乱れてシュートがリングに嫌われてしまうと、22.門馬の連続スリー、61.マウンスのシュートで0-8のランを許す形となった。
リードを奪った岩手はその後もゴール下の堅いディフェンスを中心にスティールを奪いながら、高いシュート成功率で得点を重ねていく。
61.マウンスのフェイダウェイシュート、0.関谷のドライブ、32.臼井、10.仁平の3Pシュートと多くの選手が得点を挙げていた点も素晴らしかった。
山口は横浜戦で採用していたゾーンディフェンスを途中から繰り出す場面もあったが、試合開始から見せていた岩手の61.マウンスとボールマンのツーメンゲームに対するスイッチディフェンスが全く機能せず、岩手の自由な攻撃を許してしまっていた。
岩手が大量32得点を挙げ、19-32と大きなリードを奪った。
-2Q-
2Qも岩手がディフェンスからじりじりと圧力をかけていく展開となる。
その中で、山口は4.コラムの強引なファウルドローンからのフリースローや18.上間からゴール下に飛び込んだ8.末廣へのアシストによるバスケットカウントで得点をつないでいった。
対する岩手は、オフェンス成功率の高さが全く変わらず、99.オディジのインサイドからのフィニッシュや6.山際の2本のドライブアタック、2.石川の3Pシュートで着実に得点を積み重ねていった。
ただ、大黒柱15.プレストンのインサイドの連続得点でついていく山口は、4.コラムへのダブルチームを交わして大外の77.川上までボールを届け、3Pシュートを射抜く。
岩手へ流れを持って行かせず、11点差としてオフィシャルタイムアウトへ突入した。
タイムアウト明けは、山口の方のディフェンスも効果を発揮し始めるものの、0.関谷の精度の高いミドルジャンパーと31.ムボジのオフェンスリバウンドからのファウルドローンで岩手が連続得点を挙げる。
山口は岩手の鉄壁のディフェンスを攻略できず、ペイント内に誘い込まれてターンオーバー、外角からのシュートは決まらないという厳しいオフェンスになっていた。
岩手の方も立ち上がりと同じ成功率とはならなかったものの、10.仁平の3Pシュートが良いところで決まり、32-48とさらにリードを広げて前半を終えた。
-3Q-
後半最初の得点を31.富田のジャンプショットで挙げた山口だったが、流れを変えることはできず岩手の攻守に渡る圧力を受けてしまう。
6.山際のドライブ、61.マウンスのスリー、99.オディジのインサイドでの強さ、2.石川の3Pシュートを止められず大量失点となると、
オフェンスでも3Pシュートを決め切れず、得点をなかなか伸ばすことができなかった。
中盤以降は、岩手の長いパスやスクリーンプレーに対してスイッチでズレを作らずにスティールを奪えるようになった山口。
速攻から31.富田のレイアップなどで簡単に得点を挙げるシーンを作れるようになると、11.山口のタフスリーから流れを掴み、速攻から11.山口のレイアップ、オフェンスリバウンドから4.コラムがシュートを決めて点差を縮めた。
ただ、最後の最後で山口4.コラムにタフショットを強いて、リバウンドから6.山際で速攻を繰り出し、61.マウンスがアリウープダンクを決めた岩手。
スタートダッシュと持ち前のディフェンスで51-68とリードをキープした。
-4Q-
4Qは99.オディジと4.コラム、両チームの外国籍選手の3Pシュートからのスタートとなった。
その後は互角の攻防が続く中、山口が8.末廣の3Pシュートと9.重冨の2本のジャンプショットで少し点差を縮める。
3Qの中盤以降の山口は、ディフェンスで相手にそのままついていくところとスイッチするところのアジャストがうまくいくようになり、岩手のオフェンスに対して制限をかけることができていた。
本来ならば、一桁点差が見えてきてもおかしく無い展開であったように思えるが、そこはさすが岩手。ディフェンスでズレを作らないことと、ダブルチームのうまさ、そして日本人選手がゴール下でかけるプレスの巧みさで、山口に得点を重ねさせなかった。
99.オディジのインサイドで加点もしながら、15点差をキープして試合を進める岩手。
山口の最後の反撃を受け、4.コラムの3Pシュートと15.プレストンのインサイドで得点を許すが、残り1分半からのポゼッションで0.関谷が時間をフルで使い、彼からのパスを受けた13.蒔苗がタフショットの3Pシュートを沈め、とどめを刺した。
攻守が噛み合った時間でリードを広げ、オフェンスの流れが若干悪い時間でもディフェンスで凌ぐという盤石の試合運びを見せた岩手。
72-87のスコアでGAME1を完勝で飾った。
-試合後の感想-
序盤は横浜戦GAME2を思わせるようなシュート精度だったが、やはり岩手のディフェンスの壁は高かった。
ディフェンスゲームでは岩手に一日の長があるとは言え、最低レベルのディフェンスができないと試合にはならず、その意味で1Qはコート内で混乱しているように見えた。
クウォーターごとのレポートにも書いたが、スクリーンプレーに対するスイッチをここ数試合のディフェンスよりも増やした中で、61.マウンスのところのミスマッチを全く止められず、自由にシュートを打たれているように見えた。
岩手のシュート精度が高かったこともあったが、山口側にもそれ相応の理由があると言える1Qの32失点だった。
ただ、時間とともにそれがアジャスト出来るようになり、3Q以降は十分に対抗していた試合内容だった。
通常の対戦相手であれば、反撃の流れを生み出すことができていてもおかしく無いプレー水準だったが、岩手のディフェンスが最後まで素晴らしく、その隙を与えてくれなかったというゲームだった。
やはり二桁以上の差をつけられてしまうと反撃が難しくなってしまうため、明日のGAME2は立ち上がりから今日の後半のようなディフェンスで試合に入ってほしいところである。
GAME2
山口63-79岩手
(10-15,18-19,20-27,15-18)
スターティング5
山口: コラム・重冨・プレストン・上間・富田
岩手:山際・仁平・門馬・ムボジ・マウンス
-1Q-
岩手は2.石川に代え10.仁平をスターターで起用。
一方の山口は9.重冨をポイントガードに据え、18.上間を自由にプレーさせてあげるためにツーガードの形を取った。
18.上間のスターター起用のもう一つの狙いは6.山際のマークに彼をつけることだったかもしれないが、序盤からこの二人の激しいマッチアップが展開される。
この狙いは早速コート上で表現された。
6.山際に対する18.上間と15.プレストンのトラップディフェンスを掻い潜られ、31.ムボジの先制点は許すものの、6.山際に対するプレスからボールを奪い、18.上間が速攻で持ち運び、31.富田のスリーを作って山口も最初の得点を挙げる。
その後も互角の攻防が続き、山口は9.重冨のドライブでバスケットカウントを獲得し3点プレーを成立。さらに岩手のオールコートプレスを交わして15.プレストンのダンクで得点を挙げる。
対する岩手は61.マウンスのフェイダウェイシュート、6.山際の3Pシュートといずれもタフなショットを決めて得点を挙げる。
終盤にかけては徐々に岩手が押し込んでいく展開。山口は外角のショットを決め切れず、岩手の圧を受け、ターンオーバーを出してしまう形となり、フリースローの失敗も相まって、スコアを動かせない時間が続いた。
ただ、岩手の方も、8.月野のドライブやピックアンドロールから99.オディジの得点を挙げるシーンは作るものの、一気に攻め切るには至らず、10-15と5点リードの1Qとなった。
-2Q-
2Qの序盤は岩手のペース。
99.オディジのポストアタック、4.コラムのシュートのリバウンドからの速攻、8.月野のドライブで6得点を連取する入りとなる。
タイムアウトを取った山口は、再開後のスローインで一気に攻め入って15.プレストンのダンクで得点を挙げると、32.吉川が6.山際に対する見事なディフェンスを見せ、岩手のオフェンスを止めて、4.コラムのジャンプショットと11.山口のトランジションスリーをやり返し、流れを引き戻した。
ここで前半2回目のタイムアウトを取った岩手だが、6.山際のスリーが決まらず、山口のディフェンスの圧を受けスコアを動かすことができない。
すると、77.川上のドライブと4.コラムの押し込みで山口が連続得点を挙げ、試合を振り出しに戻す。
10.仁平のスリーを許し3点ビハインドとなるが、岩手にペースを渡さずにオフィシャルタイムアウトへ突入した。
タイムアウト明けはオフェンスリバウンドから11.山口が3Pシュートを決めるが、すかさず2.石川が3Pシュートを決め返し、さらに61.マウンスのドライブで岩手がリードをキープする。
そして山口が外角からのシュートを決められずにいると、2.石川がトップの位置から2本目のスリーを沈め、岩手が再びペースを握りにかかる。
ただ、ここはタイムアウトで流れを切った山口。
17.パクセジンのディフェンスリバウンドから速攻を繰り出し、15.プレストンのダンクで得点を挙げると、61.マウンスを速攻は止められなかったものの、ラストプレーで17.パクセジンの得点を作ることに成功した。
2Qは岩手が1点上回り、28-34で前半を終えた。
-3Q-
後半の立ち上がりは岩手の2.石川が試合を動かす。
32.吉川の上からディープスリーを沈めると、ドライブで内側に切れ込んでジャンプショットを成功させた。
流れに乗った岩手は99.オディジのインサイドと0.関谷のジャンプショットでさらに得点を追加し、引き離しにかかる。
山口はフリースローの失敗や32.吉川のドライブが決まってこず、なかなかオフェンスのリズムを掴むことができなかった。
岩手は17.パクセジンを31.ムボジが押し込んでオフェンスリバウンドで圧倒し、さらに山口をファウルトラブルに追い込む。
フリースローを確実に決めながら、61.マウンスのドライブやフェイダウェイシュートでリードを二桁まで広げていった。
山口は11.山口の3Pシュートや15.プレストンのフェイダウェイシュート、18.上間のオフェンスファウルドローンによって瀬戸際で踏ん張っているが、岩手の勝負所でのディフェンス力と61.マウンスのシュート力に阻まれてしまい、点差を縮めることができなかった。
終盤も山口のアタックを抜群のコース取りによってオフェンスファウルに仕向けて防いだ岩手。ラストプレーで6.山際が3Pシュートを沈めリードを13点に広げることに成功した。
-4Q-
4Qは最初のプレーで岩手が幾度ともなくオフェンスリバウンドを獲得し、時間を使いながら99.オディジのゴール下で得点を奪う。
その後は岩手のスクリーンプレーに対して粘り強くついていき、自由なシュートを打たせない山口だったが、ディフェンスリバウンドを確保することができず、点差を縮める機会を掴めなかった。
4Qの岩手は圧倒的なオフェンスリバウンド力でセカンドチャンスから99.オディジの7得点を作り、さらにリードを広げた。
15点差で迎えたオフィシャルタイムアウト明け、再開してすぐに岩手が試合を終わらせた。
ボールを回して10.仁平のジャンプショットが成功すると、ディフェンスリバウンドの確保から速攻を繰り出し、99.オディジのゴール下で得点を追加。点差を19に広げ勝利を決定づけた。
反撃をしたい山口だったが、岩手の狡猾な試合運びを前にそのチャンスを得られず、そのまま試合が終わってしまう形となった。
終盤は24.シュウがコートに立って得点を挙げ、層の厚さも見せた岩手。GAME2も63-79で山口を下し、アウェイで見事な連勝を飾った。
-試合後の感想-
スターターの変更からディフェンスを強調し、起用できる選手にうまく役割を与えて試合に入ることに成功した山口。
前日の試合は少し荷が重いプレーとなってしまった18.上間だったが、2試合目となる今日の試合は、与えられた役割の中で、6.山際にうまく制限をかけながら、自分のプレーを表現してくれたと思う。
彼をはじめとして、チームとしてもこのGAME2はできることはやり切っていたように感じるため、これが岩手との力の差ということとなるだろう。
強いて挙げればフリースローの成功率になるが、全部決めていても1ポゼッション、2ポゼッションのビハインドであるため、決めていれば勝てた試合だったかと言われれば、そうではないという感想である。
昨日も試合も含めてとにかく岩手が強かった。
強いプレスやダブルチームを仕掛ける中でもファウルにならない技術、ペイント内でのヘルプの巧みさなどなど、あらゆる点で一枚も二枚も上手だった。
オフェンス面でも61.マウンスや99.オディジの得点源の選手だけではなく、2.石川や10.仁平の決定力の高さは印象的だった。
GAME2は圧倒的なリバウンド力で山口の反撃の機会を奪い、盤石の試合運びで危なげなく試合を終わらせてしまった。
改めて、上位陣との4連戦は力の差を見せつけられ4連敗となってしまったものの、チームとして悪い内容だったかと言われれば全くそうではない戦いを披露していた山口。
ここで下を向くのではなく、チームとしても個人としてもそれぞれがステップアップできることを信じてやり続けてほしい。