【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #14
GAME1
岐阜83-77山口
(20-20,25-12,21-13,17-32)
山口の今節の相手は岐阜スゥープス。岐阜にとってはこれが2024年の初戦となる。岐阜は他のチームより早く13節を消化しており、先週がバイウィークとなっている。
岐阜はここまで8勝18敗の星取となっており、新年最初のホームゲームで巻き返しの足がかりを掴みたいところだ。
両チームともに得点の取り方に苦労するクウォーターとなった。互いにディフェンスの仕掛けが相手のオフェンスを上回っており、せっかく作ったオープンショットも決まらないという展開だったと思う。
岐阜はトラップからのダブルチームやフリースローの後のゾーンディフェンスなど、ディフェンスでも積極的な仕掛けを見せ、主導権を握ろうとしていた。
その中で岐阜が次第にオフェンスの光明を見出すようになり、2.ブラマーの身体能力を活かしたリングへのダイブ、終盤はインサイドでの押し込みから得点を奪った。
山口は11.山口の時間ギリギリの3Pシュートはあったが、なかなか形を作ることはできずファストブレイクで何とかつないだ展開だったと言える。
1Qは20-20のイーブンとなった。
2Qは15.濱田と23.アンドレのミスマッチをついてインサイドでの得点を重ねた岐阜がペースを掴んだように見えた。また33.荒川のドライブアタックも効果的で、彼のアタックにビックマンがダイブすることでセカンドチャンスの得点も生まれていた。
立ち上がりこそ、1.エイブラムのバスケットカウントや11.山口の3Pシュートで得点を奪った山口だったが、オフェンスの形を作ることができないため、時間が進むにつれ、完全にペースを失ってしまった。
オフェンスは気持ちが強すぎるのか単独へのリングアタックが多く、ゴール下のタフショットを沈められないシーンが多かった。
オフェンスの終わり方が悪いため、肝心のディフェンス面でも、岐阜のファストブレイクを止められず、岐阜のシュートが外れても、リバウンドやルーズボールを確保できないという悪循環に陥ってしまった。
結局、オフィシャルタイムアウト明けは2得点しか挙げられず、45-32と大きなリードを許す2Qとなった。
3Qの入りも流れは変わらず、7.ケンドリックのアタックで4得点を奪うものの、チームとしての形はなかなか見られず、岐阜のインサイドアタックでリードを広げられる展開になった。
とはいえ、時間とともに11.山口の3Pシュートやインサイドアタックでの得点から7.ケンドリックのオフェンスリバウンドでの奮闘で得点を挙げることはできるようになった。
それでも、岐阜のオフェンスに対して山口のディフェンスは対抗ができず、気持ちよくプレーを続けさせてしまった。
岐阜のオフェンスはローポスト起点のアタックや、5.高橋とビックマンのピックアンドロールなど、山口に的を絞らせず、効果的に得点を重ねていった。
66-45と岐阜がさらにリードを広げることに成功した。
4Qになると、山口がペースを掴むことに成功する。32.吉川のフローターで最初のポゼッションで得点を挙げると、彼の粘り強いディフェンスや7.ケンドリックのリバウンドでの奮闘、1.エイブラムのブロックショットと岐阜のオフェンスを止められるようになった。オフィシャルタイムアウトまでで4-16のランを作り、1桁点差の試合に持ち込んだ。
オフィシャルタイムアウト明けもペースは山口のまま。岐阜の11.スティールのポストアタックに対して粘り強く守り、チーム全員でリバウンドを確保すると、7.ケンドリックのアタックとオフェンスリバウンドを中心にファストブレイクもおり混ぜながら、2点差まで詰め寄る。
しかし、最終盤で試合を決めたのは岐阜のエース5.高橋だった。時間を使ってゲームをコントロールしながら、ドライブからのフローターと3Pシュートで5得点。この5得点が山口の反撃を打ち砕いた。38分間は2得点だった5.高橋だったが、最終盤の5得点で試合を決め、83-77と岐阜が先勝を飾った。
山口は試合の入り方に失敗し、4Qが始まるまで反撃に時間を要したことが敗因となった。
その中で、気になったのはリバウンドの取られ方。
岐阜のインサイドの選手の外側からのダイブをあまりにも簡単に許してしまい、競り合いに持ち込めずにオフェンスリバウンドを確保されるシーンが多かったように思う。
外側からの進入はガード陣のポジショニングやボックスアウトも重要になると思うが、それがどれだけできていたのかは気になったところである。4Qの反撃は32.吉川がリバウンドを確保するシーンがあったように、相手のオフェンスリバウンドを封じたことが大きなキーだったと思うので、40分間それを遂行し続けたい。
正直、3Qの入りでも流れを変えられなかったことで、このまま終わってしまうのではないかと感じていたところもあった。それでも、4Qに大きく流れを変えることができたのは明日につなげられるはずだ。
試合の入りからフルスロットルで相手を圧倒するプレーを期待したい。
GAME2
岐阜92-78山口
(21-14,17-17,27-18,27-29)
GAME2は山口が14.ジャクソンに代えて1.エイブラムをスターターとして起用。この変更はオフェンス面での修正が狙いになるであろう。岐阜は10.コートに代えて高さのある22.増本を起用した。
1Qの入りは岐阜のペース。前日同様、多彩なオフェンスが山口のディフェンスを上回っていた。5.高橋とビックマンのピックアンドロールからズレを生み出し、11.スティールのインサイド、2.ブラマーの機動力を活かしたドライブアタックで得点を重ねた。
山口はリバウンドの意識を感じるものの、最初のオフェンスを止められず13-6で先にタイムアウトを取らされる展開となった。
それでも、タイムアウト明けにディフェンスを修正。インサイド陣のポストアタックに対してダブルチームを仕掛けることで、岐阜のオフェンスに制限をかけ、失点を防ぐことに成功すると、ファストブレイクを繰り出しながら点差を詰めた。
ただ、チームで作った3Pシュートが全く決まらず、次第にオフェンスが個人でのドライブアタック中心になった。難しいショットを決められず、岐阜の23.アンドレ、42.ダールメンにインサイドでの得点を許し、再び点差を広げられた。
21-14で岐阜のリードとなった。
2Qは1.エイブラムのミドルショット、8.下山の3Pシュートと外からの得点が増え始めた山口だったが、ペースを掴んだかというと、そんなわけではなかった。
オフェンスで得点が計算できる形を作ることができず、ドライブで相手を抜いても最後のフィニッシュが決まらず、スコアを動かせない時間が続いた。
とはいえ、ディフェンス面ではポストに対するダブルチームを徹底し、岐阜を嫌がらせることには成功していた。ファストブレイクで得点は挙げられていたが、岐阜の3Pシュートが全く決まらないこともあわせて、少しずつ糸口を見出しているように見えた。
オフィシャルタイムアウト明けは山口が7.ケンドリックにうまくドライブのスペースを作り、得点を挙げていく。3Pシュートのアテンプトがないこと、フリースローが2本揃わないこともあり、大きく点差を詰めるわけではないが、じりっじりっと詰め寄る形となっていた。
しかし、岐阜の最後のポゼッションで2.ブラマーがファウルをもらいながら3Pシュートを決め、38-31と岐阜が点差をキープして2Qを終えた。
3Qの序盤は岐阜のペース。5.高橋の得点とファストブレイクにより、6-3のスコアでリードを広げた。
しかし、その後は流れが山口に渡り、前半見せたインサイドに対するディフェンスに加え、岐阜のファストブレイクを素早いチェックによって封殺し、逆にファストブレイクをやり返して一気に同点に追いついた。
同点に追いつかれた岐阜はタイムアウトでその流れを切り、10.コートのフローターショットと1.岩松の連続3Pシュートで再び流れを握り返す。
流れというのは恐ろしいもので、途端に岐阜のアウトサイドシュートが決まるようになり、リバウンド、ルーズボールも岐阜に溢れるようになる。すると、再び岐阜にファストブレイクによる得点も生まれ出して、点差をさらに広げていった。
同点に追いつかれた後に、岐阜が19-3のランを作り、65-49と大きなリードを奪った。
4Qは一進一退の攻防となった。先に山口が7.ケンドリックのドライブアタックと9.重冨の3Pシュートなどで点差を詰めるものの、岐阜はすかさず33.荒川の3Pシュートとファストブレイクから11.スティールのダンクでやり返す。
その後も互いに取って取られての展開となり16点差のままオフィシャルタイムアウトへ突入した。
オフィシャルタイムアウト明けの山口は速いタイミングでのオフェンスで執念の粘りに出る。
77.川上、11.山口のアタックによるフリースローや1.エイブラムの3Pシュートなどで得点を重ねる。
しかし、岐阜も5.高橋のジャンプショットや11.スティールのインサイド、ファウルゲームによるフリースローで着実に得点を挙げて点差をキープ。
結局4Qは山口が点差を2点縮めるにとどまり、92-78のスコアで岐阜が連勝を飾った。
山口視点で振り返ると、3Qに同点に追いついた後の岐阜のビックランが悔やまれるところだ。ただ、あの時間帯は岐阜のシュートが打ったら入る状況となっていて、どうしようもないと言える流れだったと感じる。
強いて挙げれば、10.コートの勝ち越し点の後の1.エイブラムの単独攻撃によるミドルショットが外れたポゼッションになるかもしれないが、その直後に3Pシュートを沈めた1.岩松を褒めるべきでもあり、彼のショットで勝利を挙げる試合も多いため、個人的には責められない。
そうなると、リードを許してしまった前半の戦いが敗因になるかもしれない。ただ、前日よりもディフェンスは効いており、修正したい部分は遂行できていたと思う。
以上を踏まえると、個人的には岐阜のファストブレイクを止められなかった点が直接的な敗着だったと感じる。
今節の岐阜はオフェンスが困った時間帯を打ち破る手段として、また自分たちに向いた流れを掴むための手段として、ファストブレイクを意図的に繰り出していたように見えた。これを2日間通して止めきれなかった部分があったと思う。
この試合の3Qの同点に追いつく時間帯は岐阜のファストブレイクがシャットアウトできていたこともあり、その後の岐阜のビックランの時間帯も、ファストブレイクだけは止めることが必要だったのではないかと感じた。
もちろん、この2日間の岐阜のプレーが山口を上回っていたことは間違いなく、内容を見れば順当な結果だったと言えよう。その点は最後に付け加えておきたい。
プレーオフが遠ざかる痛恨の連発となったが、気持ちを切り替えて、この後の上位陣との戦いでの反撃を期待したい。