山口ペイトリオッツ 挑戦の軌跡 #5
前節連勝を果たした山口の今節の対戦相手はアイシンアレイオンズとなった。アイシンは昨シーズンのB3チャンピオンに輝いたチームである。今シーズンは昨シーズンのほどの成績を現時点では残せていないようだが、力のあるチームであることは間違いないはずである。そんなチーム相手にどう戦うのか、アウェイでの戦いを振り返る。
GAME1
アイシン78-82山口
(18-33,17-7,24-18,19-24)
-互いに1回ずつ流れを掴んだ前半の戦い
前節連勝の勢いか、山口が素晴らしい入りを見せた。スターティング5は前節と同じ5名、10.原田、11.山口、1.山下、12.サンプソン、7.エヴァンス。アイシンは81.石川、33.藤田、10.村岸、40.フェイゾン、11.スパイクスというメンバーだった。アウトサイドからのシュートが全く入らず、40.フェイゾンのインサイドアタックでしか得点を奪えないアイシンを尻目に、アウトサイドからのシュートをことごとく決めていく山口という展開だった。中でも11.山口と12.サンプソンのツーメンゲームが威力を発揮し、2人で一気に14得点を奪ってしまった。その後も、1.山下や8.土居のスリーポイントやスティールやターンオーバーからの速攻で0.山田や64.井手が得点を重ねていった。アイシンも81.石川がスリーを沈めたところから少しずつリズムを掴んで行ったものの、チームとして6本のスリーポイントを沈めた山口が18-33と素晴らしいスタートダッシュを見せたクウォーターとなった。
山口は1Qの終わりから12.サンプソンと7.エヴァンスをベンチで休ませるメンバーで臨んだ。その中で25.田中のドライブや0.山田のランニングから94.延原がゴール下で合わせるプレーで時間をつなぎアイシンの反撃を最小限に抑えていた。アイシンはミスマッチのインサイドを起点にしつつ、ダブルチームにきた山口の逆を取るプレーで得点を重ねていった。そして、残り6分あたりから山口はスターティング5を満を辞して投入し、アイシンを突き放しにかかった。しかし、これが上手く嵌まらず大失速、アイシンに12-0のランを許し、たちまち点差は4となってしまった。1Qと同じようなタイミングでショットを放つもののそれがが決まらず、リズムを失いターンオーバー。オフェンスがうまくいかない中でアイシンに走られるという展開だった。結局2Qで7得点しか奪えず、35-40で前半を折り返すこととなった。
-緊迫の攻防、試合を決めたのは・・・
3Qは一進一退の攻防。アイシンが走るバスケで得点を挙げ一気に追いつき1点リードを奪うと、そこからはリードチェンジを繰り返す展開となった。アイシンは40.フェイゾンと11.スパイクスのインサイドアタックに81.石川や37.渡邊とのツーメンゲーム、24.卜部のスリーポイントで得点を重ねていく。山口は7.エヴァンスのフックショットをはじめとした彼のシュートタッチによる得点や11.山口がタフショットを沈めついていった。59-58とアイシンが逆転して最終クウォーターへ。オフェンスの流れとしてはアイシンの方が良く見えたため、その辺りが最終クウォーターにどのように繋がるのかを注目したい。
4Qも3Qの流れを継続する緊迫した試合となった。先に11.山口のスリーポイントで前に出た山口が常に前を行く展開だった。64-64からオフェンスリバウンドを拾った山口が12.サンプソンのスリーポイントでオフィシャルタイムアウトに突入すると、0-7のランを12.サンプソン1人でやってのけ64-71とリードを奪う。ここの0-7のランが試合を決めた。その後、40.フェイゾンを中心に追いすがるアイシンであったが、7.エヴァンスのミドルショット、25.田中のスリーなどで突き放し78-82のスコアで3連勝を飾った。
-タイムシェアは中断明けのテーマなのか
好対照な1Qと2Q、一進一退の攻防が続いた3Qと4Q。痺れる展開が続く中で、4Qの中盤で突き放し接戦を制すことができた。これは前節から取り組んでいるように見えるタイムシェアが身を結んでいると言えるのではないだろうか。7.エヴァンスと12.サンプソンがファウルトラブルになることが一つの負けパターンだった山口にとって、タイムシェアを行いながらファウルをコントロールし終盤で勝負する流れを作ることができた成功体験は大きいと感じる。7エヴァンスが13得点、12.エヴァンスが20得点を挙げる活躍を見せたが、彼らに力を発揮させたベンチワークとベンチメンバーの活躍を見過ごすことはできない。そして、11.山口が19得点の活躍を見せたことも大きな原動力となった。
GAME2
アイシン78-67山口
(23-15,25-11,17-14,13-27)
-ターンオーバーからのアーリーオフェンス
4連勝を目指す山口はGAME2もスターティング5は変更なし。アイシンは6.長澤と24.卜部を起用した。立ち上がりは一進一退の攻防。両チームともアウトサイドからのシュートが多かった印象である。アイシンは6.長澤、40.フェイゾン、81.石川が立て続けにスリーポイントを沈めた。山口も12.サンプソンがスリーポイントを2本、7.エヴァンスもミドルショットにスリーポイントを決めるといった流れだった。ただ、7.エヴァンスがミドルを決め14-15となってからはアイシンが流れを掴んだ。オフェンスリバウンドから40.フェイゾンがレイアップを決めると、その後の山口のポゼッションで7.エヴァンスから64.井手へのバックカットを狙ったパスがターンオーバーとなる。そのプレーからアイシンに走られ5.ダブにイージーショットを沈められアイシンペースに。最終的には9-0のランとなり23-15でアイシンがリードを奪う1Qとなった。
2Qはアイシンのディフェンスが光る展開となった。ボールマンに対して近い距離を保ち、パスコースを制限した上で手を出していくことで山口のターンオーバーを誘発。手元の集計で山口は少なくとも8本のターンオーバーとなった。そして、アイシンは相手のターンオーバーを誘発してから素早い攻撃で得点を重ねていく。10.村岸や40.フェイゾン、5.ダブなど得点者もバリエーション豊かな完璧なクウォーターだったといえる。アイシンが山口を突き放し、48-26で折り返すこととなった。
-最後に火がついたものの
3Qもアイシンの勢いは継続。激しいディフェンスから山口に自由を与えない展開。2Qに比べてシュート確率がやや落ちたか、点差をさらに離すことはできなかったもののスタメン起用の6.長澤がそれに応える活躍を見せた。山口は0.山田が連続得点で気を吐くものの点差は詰められず65-40で最終クウォーターに突入した。
4Qでついに山口に火がつく。11.山口のスリーポイントで先に得点を奪うと64.井手がチームを勢いに乗せた。ディフェンスリバウンドを奪ってから積極的にリングへアタックすると、一人で4つ以上相手のファウルを誘発する。アイシンはオンザコート1の山口に対してインサイドで何とかポイントを奪っていく。最後は11点差まで迫ったものの、オフィシャルタイムアウト明けに点差を広げたアイシンが危なげなく逃げ切り、ホームでGAME2を取り返した。
*文中敬称略
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