【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #20
GAME1
八王子108-98山口
2月最後となる第20節。
対戦相手は八王子ビートレインズだ。八王子とは12月にホームで対戦しており、その時は1勝1敗だった。
現在八王子は16勝22敗で11位に位置しており、プレーオフ圏内の8位とは5ゲーム差。
残り試合数を考えれば正念場を迎えていると言え、下位の山口相手からは連勝を挙げたいところであろう。
その八王子は前回対戦でも活躍した5.サリバンが欠場となる。
一方の山口は11.山口に加えて、7.ケンドリック、14.ジャクソンがロスター外となった。10人という厳しいロスターで臨む試合となる。
-1Q(31-21)-
山口は9.重冨、8.下山、77.川上、15.濱田、1.エイブラムをスターターにチョイス。対する八王子は9.イバーヌ、23.ジュフ、31.ドブラスのビックラインナップを最初から起用した。
試合は立ち上がりから八王子ペース。ビックラインナップの圧力に加えて、素早いトランジションからインサイドを制圧。
山口がポジションを取る前に、インサイドの優位なポジションを取り、イージーシュートを決めていった。
山口は再開を素早く行う意識が見られるものの、今日の状況を考えれば決めていきたいゴール下のシュートが決まらず、少しずつ点差が広がってしまう。
中盤以降は、山口のゾーンディフェンスに対して、日本人のミスマッチを突くようになった八王子が、13.東の内外からの連続得点を中心にリードを広げる。
劣勢が続く山口は、ずっと繰り返していたガード陣のドライブから32.吉川、25.田中の得点、15.濱田の3Pシュートで少しだけ点差を詰めることに成功した。
良い入りからリードを奪った八王子が10点のリードを奪った。
-2Q(28-28)-
2Qは1.エイブラムの得点で入る山口だったが、31.ドブラスの投入から八王子が再びインサイドを支配し、リードを広げていく。
31.ドブラスの支配力を軸に、99.大金の3Pシュートや9.イバーヌをはじめとしたガード陣のドライブが効果的で山口は対応することができなかった。
インサイドを支配した31.ドブラスは2Qだけで14得点を挙げる活躍を見せた。
追い上げるために3Pシュートを放つが、それがなかなか決まらず苦しい流れの山口。オフィシャルタイムアウトの時点では48-30と大きくリードを許すこととなった。
しかし、オフィシャルタイムアウト明けに8.下山祭りが開演。チームとして彼にボールを集める決断に、見事に応えると、5本の3Pシュートを成功。苦しいムードを一蹴した。
すると、ディフェンスでも、身体をぶつけてタフショットを強いたり、スティールからのファストブレイクを繰り出したりとその他の選手も躍動。
オフィシャルタイムアウト明けは11-19と反撃を見せ、59-49と点差を広げさせずに前半を乗り切った。
-3Q(22-21)-
3Qも依然、早いタイミングでアウトサイドシュートを狙う山口。立ち上がりこそ、1.エイブラム、9.重冨のミドルショットで得点を挙げるが、その後は3Pシュートが全く入らない時間が続く。
逆に八王子は、インサイドでのオフェンスが計算できるため、31.ドブラス、9.イバーヌで着実に得点を重ねていく。
八王子が優勢に進め、再び点差は18に広がる。
しかし、77.川上を中心に再び3Pシュートが当たり始める山口。八王子も9.イバーヌ、30.髙橋の3Pシュートで応戦するが、それでも山口の勢いは止まらない。
終盤の時間帯ではディフェンスの奮闘が光り、粘り強く体をぶつけることで何とかリバウンドを確保する。
32.吉川の2Pシュートで81-70とし、再び点差を10点差付近に戻すことに成功した。
-4Q(27-28)-
4Qは1.エイブラムの立て続けの得点で良い入りを見せる山口に対して、1.エドギを中心としたセカンドユニットの活躍で流れを渡さない八王子という攻防となった。
山口は、早い時間でチームファウルが5つとなってしまい、フリースローで少しずつ得点を挙げられてしまう。
それでも、77.川上の3Pシュートで11点差のまま、勝負はオフィシャルタイムアウト明けの攻防へ。
早速、山口が25.田中のフリースローで9点差まで追い上げる。しかし、この後が続かなかった。
9.重冨、2.上松、15.濱田(途中から23.石橋)がコートに立ち、3Pシュートは77.川上に託すといったメンバー構成だったが、核の1.エイブラム、77.川上が厳しいチェックに合うと、彼らのシュートが決まらず時間だけが過ぎていってしまう。
チームとして、オフェンスリバウンドに絡む姿勢は見せるものの、リバウンドを拾うことができず、その勢いを裏返されて、トランジションから八王子に得点を許す形となってしまった。
最終盤に31.富田を投入し、3Pシュートが決まるようになるも、時すでに遅し。時間をコントロールしながら、インサイドで着実に得点を重ねた八王子が1Qで奪ったリードを守り切り、108-98で先勝を飾った。
-試合後の感想-
厳しいロスターで挑んだ山口だったが、できることは全て出し尽くしたような、そんな試合だった。
立ち上がりからフルスロットルでボールを運び、ミスマッチの中で、何とかリバウンドにも絡んで十分に八王子を苦しめたと思う。
2Qと3Qにそれぞれ18点まで差がつき、そのまま試合が決まってもおかしくない状況で、執念を見せて、最終盤まで戦う姿勢を崩さなかったチームは素晴らしかった。
勝敗という意味では、八王子が試合の入りから、きっちりビックラインナップで高さの優位を生かして先制パンチを食らわせたこと、そして山口以上の意識でトランジションから簡単な得点を重ねたことが大きかった。
セットオフェンスから高さを生かす攻撃だけであれば、山口に勝利が転がっていたかもしれないが、チームとしてトランジションからの得点を意識できていたことで、点差をキープしたまま試合を進められたのだと思う。
山口としては悔しい敗戦となったものの、一方で八王子の見事な試合運びが光った試合となった。
GAME2
八王子84-85山口
-1Q(23-18)-
山口は前日と同じスターター。対する八王子は欠場となった23.ジュフに代えて8.上江田を起用した。
1Qは前日と異なり、山口が八王子のオフェンスに対して抵抗することができていた。
31.ドブラスのピック、オフェンスリバウンドに対しての対応には苦慮していたものの、インサイドでのポストプレーに対しては周りのヘルプが素早く、複数回のスティールに成功していた。
オフェンス面では9.重冨の2本のドライブと77.川上のアタックで序盤の得点を作った。
しかし、中盤以降は徐々に八王子ペースに。
前日に続いて守備から攻撃へのトランジションで山口を上回ると、積極的なアタックでファウルやバスケットカウントを獲得。
オフェンスリバウンドと併せて流れを掴みリードを奪った。
山口は、1.エイブラムが2つのファウル、9.重冨の負傷など、さらに厳しい状況になってしまったが、8.下山、2.上松の3Pシュートで何とかつなぎ、23-18と最低限の得点差で1Qを凌いだ。
-2Q(15-24)-
2Qの序盤は山口が躍動。
2.上松と1.エイブラムのピックアンドポップから1.エイブラムの3Pシュート、
32.吉川のドライブからフローター、
ゾーンディフェンスでスティールを奪い、ファストブレイクから1.エイブラムのフローターで同点に追いつき、八王子にタイムアウトを取らせることに成功した。
八王子は山口にセットされた際のオフェンスに苦戦。13.東のジャンプショットで得点を挙げるものの、中をこじ開けようとするあまり、3秒バイオレーションを取られるシーンが何度かあった。
その後も山口がやや優勢に進める時間が続く。
八王子はタイムアウト明けから31.ドブラスを投入すると、31.ドブラスの高さとピックから得点を奪う形は見られるようになった。
しかし、山口のディフェンスの強度が高く、タフショットを強いられるシーンやオフェンスファウルとなるシーンも多かった。
すると、77.川上、1.エイブラムのアタックから獲得した計4本のフリースローを決めて山口が逆転に成功する。
終盤には77.川上、1.エイブラムの3Pシュートが要所で決まりリードをキープ。
相手のミスによって獲得した残り3秒からのラストポゼッションも1.エイブラムが見事なジャンプショットを沈め、38-42で前半を終えた。
-3Q(17-15)-
3Qの立ち上がりはこう着状態が続いた。
山口はスペーシングの悪さ、八王子は不用意なターンオーバーによって得点を挙げられないポゼッションがあった。
その中で、山口はコートに戻ってきた9.重冨と1.エイブラムのツーメンゲームから、八王子はオフェンスリバウンドから得点を挙げていた。
じりじりとした展開の中、8.下山が連続シュートで5得点、さらには31.ドブラスが連続ファウルで個人4つ目となり、山口が抜け出すかに思われた。
しかし、31.ドブラスに代わって投入された1.エドギが試合を繋いだ。ポストアップ、そしてジャンプショットから怒涛の6得点。
ベンチから投入されたシックスマンの活躍で、山口がオープンの3Pシュートを3本外している間に八王子が同点に追いつく。
同点に追いつかれた山口は、31.富田の執念のドライブで再度勝ち越しに成功。3Q終わって55-57と2点リードとなった。
-4Q(29-28)-
4Qの出だしは点の取り合いとなった。
最初のポゼッションで31.富田の3Pシュートと15.濱田のレイアップで5点を奪った山口に対し、八王子も14.伊藤の3Pシュートと9.イバーヌのバスケットカウントで6点を挙げる。
その直後、ボールを回して2.上松の3Pシュート、スティールから31.富田の3Pシュートで山口が再び点差を広げれば、タイムアウトの後、14.伊藤が3Pシュートを決めて、八王子もついていく形となった。
その後は互いに失敗するポゼッションも出る中で、山口の25.田中、31.富田といったプレータイムの少ない選手たちのドライブアタックが素晴らしく、66-72と山口がリードを広げてオフィシャルタイムアウトに突入した。
オフィシャルタイムアウト明けは1.エイブラムの2本のシュートが落ちる山口に対し、八王子は9.イバーヌと31.ドブラスのコンビネーションでペイント内を攻略。
山口のファウルトラブルもあってフリースローを着実に決めながら、同点に追いついた。
しかし、勝利への執念を見せる山口は、ショットクロックが迫る中で、粘り強くボールを回し、1.エイブラムのダンクシュートを2つ、さらには31.富田がタフなドライブアタックをねじ込んで、再びリードを奪う。
ファウルゲームにもつれ込んだ最終盤は、31.富田の4本のフリースローに助けられながら、何とか山口がリードをキープして進んでいった。
最後は9.重冨の2本のフリースローが失敗になるも、残り4秒から八王子はシュートを打ちきれず、山口が84-85と1点差で逃げ切りを果たした。
-試合後の感想-
八王子サイドからすれば連勝がマストであった2連戦。この敗戦はダメージが大きなものとなった。
敗戦を振り返る際には、21まで積み上がってしまった不用意なターンオーバーやアウトサイドからのシュート精度の低さなど、自チームのプレーにフォーカスが当たるのであろう。
しかし、この試合は山口のプレーにフォーカスを当てたい。勝利への執念とディフェンスの強度が八王子のプレーを上回ったのだと胸を張って言える試合だった。
山口がかけるプレッシャーがあったから、八王子のターンオーバーが生まれ、山口のリバウンドでの奮闘があったから八王子の落ちたシュートが山口のポゼッションにつながったのだ。
昨日からの80分間、フルスロットルで戦う姿勢を見せ続けたアウェイチームが勝つべくして勝ったGAME2だった。