【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #23
GAME1
福井110-74山口
前節ホームで1勝1敗だった山口。
今節はアウェイに乗り込んでの連戦となる。
対戦相手は今シーズン初対戦となる福井ブローウィンズ。
今シーズンにB3に参入した福井は開幕前から話題をかっさらっていた。
かつての長崎、A千葉のように、B1で活躍をしていた選手、HCを迎え、巨大戦力を持ってB3を駆け抜けようとしていたからだ。
そして、シーズンに入っても期待以上の結果を残しB3の中心チームとなっている。
B3記録となる31連勝を飾り、今シーズンは38勝4敗で独走体制を築いている。
前節、2位の香川に敗れ、その連勝記録が止まったものの、今節の結果次第ではレギュラーシーズンの1位が確定する状況だ。
山口としては、このビックチームを相手にどれだけ力を示せるのかが試される。
-1Q(30-19)-
試合は福井の強烈なディフェンスでの圧力から幕を開けた。
0.細谷、16.渡辺、21.満田のプレッシャーの前に、山口は思うようにボールを運ぶことができない。特にB1でも上位のディフェンス力を持つ渡辺のアプローチは恐ろしさを感じるほどだった。
やっとの思いでボールを運んでもゴール下には34.ローソンが最後の壁として立ちはだかり、次々とブロックショットを繰り出す。
山口は余裕がない状態でのアタックの中、ゴール下の34.ローソンとまともにやり合っていたことで、ペイント内からの得点が全く挙げられない状況となっていた。
ただ、私の印象に残った福井の素晴らしいところは、自分たちの強みを発揮するだけでも十分勝負できると思うが、山口のウィークポイントをきっちり突いてくるところだった。
山口の戻りが遅い部分を狙い、守→攻のトランジションで一目散に相手コートに走り、そこに目掛けてタッチダウンパスを通してポイントを重ねていた。特に序盤はこのプレーで得点を挙げていたのが印象的だった。(福井の試合をこれまで見たことがないので、このプレーが彼らの日常という可能性も否定できない)
立ち上がりは2本の3Pシュートを決めてついていっていた山口だったが、次第に福井のディフェンスの圧力の前にシュートを打たせてもらえなくなり、逆に福井の1.ボイドのオフェンス力に屈する形となった。
やはり福井の強さの前に抵抗は難しいのかと思われる序盤の展開だったが、山口もここから持ち味を発揮できるようになる。
ベンチから出てきた32.吉川、11.山口が福井ディフェンスを攻略。彼らを起点にペイント内でシュート打てる形を作れるようになり、山口が少し盛り返して30-19で1Qを終えた。
-2Q(25-21)-
2Qは山口が32.吉川のドライブから7.ジュールズの得点、相手のオフェンスを止めてブレイクを繰り出し2.上松が3Pシュートを決めて0-5のランで入ることに成功。
しかし、福井も的確にペイント内を攻略し4得点。さらに34.ローソンの高さで守った後のブレイクから得点を挙げ、逆にリードを広げる。
それでも、山口も1.エイブラムの3Pシュートから再び息を吹き返し、7.ジュールズのオフェンスリバウンド、9.重冨のアタックで点差を縮めた。
その後は、1.エイブラムのシュート力で得点を挙げる山口だったが、福井が自力を発揮。チーム全体で冷静にボールを回しながらペイント内へのアタックを繰り返し、ファウルをもらってフリースローを確実に決めていった。
終盤は山口のオフェンスが停滞したこともあり、結果的には福井が4点を上回るクウォーターとなった。
-3Q(25-23)-
3Qは最初のプレーで8.下山の3Pシュートを作り、先制した山口だったが、その後は福井のペースで進む。トランジション、インサイドの高さ、1.ボイドのドライブで確実に得点を挙げる。
一方の山口は3Pシュートの形を作るものの、思うにように決まらない時間が続いてしまう。
2.上松のシュートタッチは素晴らしいが、それに続く日本人選手がなかなか現れず、点差を広げられることになってしまった。
それでも、7.ジュールズがインサイドで力を発揮し、オフェンスリバウンドなどで試合をつないでいた。
一見福井が圧倒しているように見えるが、いくつかのターンオーバーに山口が付け入る形で
このクウォーターも福井が2点を上回るにとどまった。
-4Q(30-11)-
粘る山口だが、4Qは25.田中、32.吉川の連続のターンオーバーで厳しい出だしとなる。
流れを失った格好となった山口は、ここで力尽きた形になり、福井がリードを広げていく。
1.ボイドのアタックと34.ローソンの高さに加え、6.長谷川、73.田渡に3Pシュートが生まれ、15-4と圧倒してオフィシャルタイムアウトに突入する。
勝負を決めた福井はセカンドユニットをコートに送るが、セカンドユニットの選手たちも疲れの見える山口のスターターを圧倒。
55.サイモンや73.田渡の得点で得点を重ねていった。
4Qは30-11と大きな差がつき、最終スコア110-74で福井が大勝となった。
-試合後の感想-
このゲームは現地で見ていて色々なものを感じた。 そのため、2試合通じて感じたことを最後に書き残す形としたい。
明日に関してだけ言うと、山口は今日の通り、開き直って3Pシュートを打ち続けるしか勝ち筋はないように思う。
福井相手に対抗できる選手がこのゲームに関しては限られてしまっていたので、GAME2はさらに体力的な面が心配であるが、全員の意地で再び福井相手に勝負を挑んでほしい。
GAME2
福井121-81山口
-1Q(40-28)-
ゲーム序盤、最初の流れを掴んだのは福井。
30.エリスのポストアタックで得点を挙げると、昨日と同様に山口の戻りの遅さを突き、タッチダウンパスから連続得点。
山口はゴール下の34.ローソンにまともに挑みまんまとブロックされており、福井のブレイクを引き出してしまっていた。
しかし、素早いタイムアウトから山口も怒涛の反撃に出る。1.エイブラムのシュートと8.下山の3Pシュートで息を吹き返すと1.エイブラム、7.ジュールズ、そして25.田中、2.上松の活躍もあり、1ポゼッション差の展開に持ち込むことに成功した。
福井が山口のトランジションの弱さをつき、ボール運びを早くしていることもあり、異常なまでのハイテンポで進んでいく。
両チームともにアウトサイドのシュートが好調なことも重なり、かなりのハイスコアゲームとなっていった。
その中で光を見せたのはやはり1.ボイドだった。昨日はペイント内へのドライブが強烈だったが、この日は3Pシュートを次々と沈めていく。
あまりにも簡単に2/2で決めた1.ボイドの活躍で最終盤に一気に点差を引き離した。
チームとしても0.細谷の2本など7/9で3Pシュートを決めた福井。最終盤の13-0のランで40-28とリードを奪った。
-2Q(21-16)-
2Qも止まらない1.ボイド。ステップバック3Pシュートを決めて気持ち良くプレーをしていた。
しかし、山口も簡単には引き下がらない。1.ボイドのドライブアタックを1.エイブラムが完璧なブロックショットで止めると、7.ジュールズのインサイドの強さ、9.重冨のミドルショットでオフィシャルタイムアウトまではイーブンに持ち込む。
オフィシャルタイムアウト明けは一転して守り合いの構図に。0.細谷、21.満田、24.小川で高い位置からプレスをかけて、山口に形を作らせない福井。
一方の山口は11.山口を、1.ボイドのマークにつけて対抗する。ただ、守り合いでは福井に分がある展開となる。
それは、守り合いの中でも、福井は高さの優位を生かし、簡単に55.サイモンのインサイドでの得点を作れる一方で、山口はインサイドで簡単にはスペースを作ることができず、アウトサイドでオープンショットを作り、それを決める必要が出てくるからだ。
山口は11.山口の3Pシュートが思うように決まらない中で、得点ペースで福井を下回り、少しずつ点差が広がっていった。
結局、ディフェンスで圧倒する福井は2Qの終わりまで同じメンバーで戦い抜いた。
山口が嫌がっているとみるや、同じメンバーを起用し、ディフェンスで圧をかけ続けてくる辺りは伊佐HCのしたたかさを強く感じた。
2Qは自力を見せた福井。17点差をつけて前半のうちに大きなリードを奪った。
-3Q(26-18)-
後半になると、0.細谷の輝きが増し、福井がさらにリードを広げていく。3Pシュート2本、ドライブからの2点、34.ローソンへのアシストと1人で10点をクリエイトし、勝負を決定づける活躍を見せた。
その後は余裕を持った福井が山口のディフェンスをプレッシャーと感じずに、次々とシュートを決め続ける展開に。5分強で20点を積み重ねて勝利を確実なものとした。
山口は次第に1.エイブラムや11.山口の3Pシュートが決まるようになり、得点は挙げられるようになるが、ディフェンスが全く通用せず、苦しい時間が続いた。
福井にレベルの差を見せつけられて87-61と大差をつけられた3Qとなった。
-4Q(34-19)-
4Qは15.濱田のドライブで1.エイブラム、11.山口のオープンな3Pシュートを作る山口だったが、それを決め切れず、逆にトランジションから簡単な得点を立て続けに許してしまう。
この時間になっても素早く山口のコートまで運ぶことを一貫している福井は、先手を取ってオフェンスを展開できていた。
山口のディフェンスが通用していないのは、この福井の姿勢にも要因がありそうだった。
オフィシャルタイムアウトを前にして100点に到達した福井。ディフェンスでも最後まで強度を落とさずにプレッシャーを与え続け121-81で完勝。
圧倒的な強さでレギュラーシーズンの1位とリーグ戦ホームゲーム無敗を達成した。
-試合後の感想-
昨日の試合が終わった時、そして今日の試合の前半が終わった時には、ここが通用したとか、ここが課題であるとか、色々なことを感じていたのだが、
最後の20分を見せられた後には、そんなことがちっぽけに感じるほど、根本的な違いを一つ突きつけられたように思った。
それはディフェンスの差である。
チーム力に大きな隔たりがある中で、これまでのディフェンスが全く通用しなかった。
相手のボールマンへの距離感がまず異なっていた。
山口のオフェンスファウルになるような、激しいディフェンスを福井は当たり前のように実行してくる。
対する山口は、相手選手を離したところからディフェンスが始まるため、福井に先手を取られ、自分たちが思うよな形に持ち込むことができていなかった。
相手選手を離している要因には、一つトランジションの遅さが挙げられる。私自身がずっと感じていたことであるが、福井との勝負になるとそれがより強調された感じがある。
この戻りの遅さは、タッチダウンパスを許して簡単にゴール下の得点を許すプレーだけではなく、ディフェンスを始める場所の低さにもつながっているように感じた。
相手の選手を捕まえるのが遅いため、相手コートからあまりにも簡単に自コートまで運ばれていて、ノープレッシャーで3Pラインまで進入を許しているように見えた。
そこまで近づかれてしまうと、福井相手には勝負が決まっているような感覚にもなるほどで、福井の選手たちに次々とシュートを決められていた。
また、福井の日本人選手たちはB1を戦ってきた選手も多く、スイッチをして相手の外国籍選手との1vs1になったとしても、簡単にはシュートに持ち込ませないことができる点も、両チームの差として痛感するところだった。
このように、チームとしても個人としても大きな差を感じた2日間となった。
個人的には、もっと序盤にこのレベルの福井と対戦できていたらと思うが、今のチームの全てを出して戦ってくれたことは間違いなく、ここで感じたことを残り6試合、そして来シーズンにつなげてほしい。
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