【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #13
GAME1
山口86-84東京Z
(22-22,17-21,15-11,21-21,11-9)
バイウィークを挟んで迎える2024年の初戦。山口の対戦相手は昨シーズンB2リーグで戦っていたアースフレンズ東京Zとなった。東京Zはここまで11勝13敗で、山口とは1ゲーム差の10位となっている。
その山口はGAME1の前日に中京大所属で、地元豊浦高校出身の濱田が特別指定選手として加入することを発表した。
山口はスターターとして、7.ケンドリック、32.吉川、77.川上を起用。立ち上がりはマークマンのずれを生み出すことができずタフショットを強いられオフェンスに失敗する展開となる。
その中で東京Zに0-7のランを作られ開始3分でタイムアウトを消費する。
山口最初の得点はタイムアウト明けのポゼッション、セカンドチャンスによる7.ケンドリックの3Pシュートだった。この得点以降は両者互角の展開。山口は長いパスを使いながらのファストブレイクで得点を重ね、東京Zはピックアンドロールを根気よく使ってのツーメンゲームでずれを生み出し得点をしていた。
山口は7.ケンドリックが得点リーダーの7得点。東京Zは1.パーカーのドライブや22.近藤の3Pシュート、4.ランプキンの得点が目立った。
スコアは22-22とイーブンの1Qとなった。
2Qも両者譲らない互角の攻防が展開された。山口は9.重冨のアタックや1.エイブラムを起点としたオフェンスで得点を挙げ、東京Zは4.ランプキンの3Pやインサイドでの得点と22.近藤の要所での3Pシュートで得点を挙げた。
ディフェンス面では、山口は時よりゾーンをちらつかせながら相手のピックに対してマークを外さないように厳しくチェックすることを志向しているように見えた。東京Zは速いタイミングでビックマンがブリッツにいくなど仕掛けを見せ、山口を揺さぶっていた。
終盤に4.ランプキンがインサイドで連続得点を挙げ、東京Zが39-43と4点リードで前半を終えた。
3Qも緊迫した展開が続くが、その中で少しだけ山口がペースを掴んだ。7.ケンドリックのミドルショットで最初に得点を挙げると、9.重冨のドライブから77.川上の3Pシュート、ファストブレイクから8.下山のレイアップでリズムを作った。ディフェンスでも東京Zのインサイドアタックに対して、良い距離感のヘルプによって成功数を1本に抑えてみせた。
逆転を許した東京Zだったが、残り3分半辺りで取ったタイムアウト明けに反撃を繰り出す。2-3のゾーンディフェンスで山口に3Pシュートを打たせるとリバウンドを拾って速いオフェンスを展開。4.ランプキンの連続ポイントと13.請田の3Pシュートで再逆転に成功した。
終盤は両チームフリースローでの加点もあり、3Qが終了し、54-54の同点となった。
4Qは両チームの守り合いで幕を開ける。互いにターンオーバーを誘発する素晴らしいディフェンスから9.重冨のジャンプショットで山口が先手を取る。しかし、東京Zは1.パーカーとビックマンによるピックアンドロールを多用してシュートチャンスを作り、再逆転に成功。
残り6分3点差をつけられたところでタイムアウトを取った山口は、タイムアウト明けに2.上松と14.ジャクソンのツーメンゲームから14.ジャクソンのダンク、9.重冨のドライブから77.川上の3Pシュートで再びリードを奪い、64-62でオフィシャルタイムアウトに突入する。
ただ、どこまでいっても互角のこの試合は、オフィシャルタイムアウト明けもペースがいったりきたりとなった。
まずは東京Zの時間。1.パーカーの3アシストから13.請田の連続3Pシュートと4.ランプキンのインサイドの得点で東京Zが0-8のランを作る。
しかし、山口もその後のタイムアウト明けに77.川上と8.下山の3Pシュートで追いついてみせる。
一進一退の攻防が続く中、前へ出たのは山口。1.エイブラムのシュートのリバウンドを7.ケンドリックが競り、77.川上が拾ってゴール下の得点を決める。
残り15秒からの東京Zのオフェンスは1.パーカーのアタックによりフリースローを獲得するが、フリースローは1本の成功にとどまり山口1点リードでファウルゲームに突入。
山口の勝利は目前となったが、77.川上のフリースローも1本の成功にとどまると、残り5秒から4.ランプキンの2Pシュートが決まり、75-75の同点でオーバータイムへ突入した。
オーバータイムは1.パーカーの3Pシュートで幕を開けるものの、両チームともに重苦しい展開が続く。東京Zがリードを保つものの、山口が1ポゼッション差でついていく形となった。
オーバータイムも含めて互角の展開が続いた試合はリバウンドルーズボールの攻防で勝負が決まった。
東京Zの2点リードで迎えたポゼッションにおいて、32.吉川の執拗なディフェンスで1.パーマーからボールを奪うと、そのルーズボールを32.吉川らのフロアダイブにより、山口が確保。そこからのファストブレイクで1.エイブラムが3Pシュートを決めて、山口が逆転に成功。
その後、4.ランプキンのフリースローにより、同点で迎えた残り40秒からの山口ポゼッションでは、1.エイブラムの3Pシュートのリバウンドを7.ケンドリックが拾い、ゴール下で待つ1.エイブラムにアシスト。この1.エイブラムの得点が決勝点となった。
最終スコアは86-84。オーバータイムへもつれる接戦を山口が制した。
どちらにも大きな流れがいかない接戦の試合では、細かい差で勝負がつくことになる。今日の試合では最後の2つのポゼッションでのルーズボールとリバウンドの行方が勝敗を分けることになった。
やるべきことを遂行し、1つ1つのプレーの積み重ねと最終盤での粘り強さで勝利を手繰り寄せたこの経験は、今後のチームにとって大きな大きな成功体験となるのではないだろうか。
GAME2
山口83-84東京Z
(29-27,21-13,17-20,16-24)
GAME2は両チームともにスターターを変更。山口は8.下山、2.上松、東京Zは7.アレンと28.井手を起用した。
1Qは互いにやりたいオフェンスを展開する中で得点を重ねた。言い方を変えればディフェンスで相手のオフェンスに制限をかけることができていなかった。山口は14.ジャクソンのインサイドを使いながら、7.ケンドリックのアシストで2.上松や8.下山が3Pシュートを沈めた。
東京Zはピックを使ってフリーを作り、13.請田、22.近藤の3Pシュート攻勢をみせた。
時間が進んでも両チームのシュートは精度を失うことなく、山口は7/8、東京Zは5/6で3Pシュートを成功させ、29-27で山口が2点リードを奪う1Qとなった。
2Qの立ち上がりは山口がペースを掴んだ。前日と同様、32.吉川が1.パーカーに対して激しいディフェンスを仕掛けるところから相手のオフェンスを制限し、失点を防ぐと、9.重冨のジャンプショットや11.山口、32.吉川の3Pシュートが決まり、開始から11-0のランを作った。
13.請田の3Pシュートが決まり、オフィシャルタイムアウトに突入することでオフェンスのリズムを取り戻した東京Zだったが、1.エイブラムの3Pシュートやオフェンスリバウンドによるセカンドチャンスポイントを山口に与えてしまい、点差を詰めることはできず、50-40と10点差で前半を終えた。
3Qは山口の強引なショット選択により、前半よりもシュート確率が下がる出だしとなった。ただ、その山口も1.パーマーから始まるオフェンスに対し、ずれを作らず守ることができており、両者ともに得点ペースが落ちていた。
フリースローによる得点で少しずつ押し返していた東京Zに対して、32.吉川が4つ目のファウルでベンチに下がらざるを得なくなったタイミングで、流れが東京Zに渡った。
1.パーマーに対するマークが31.富田に代わるが、31.富田がディフェンスを高い位置から行うことができず、1.パーマーにプレッシャーをかけることが難しくなった。東京Zは彼自身の3Pシュートやフリースローでの得点があり、最小で4点差まで迫ることに成功した。
それでも、9.重冨の度重なるミドルショットで点差をキープした山口が67-60と7点のリードとなった。
4Qも1.パーマーに手こずる山口。2.上松がマークにつくものの、高い位置でプレッシャーを与えることができない。6得点1アシストを許し、開始2分で3-10のランを作られ同点に追いつかれてしまう。
その後、山口が1.パーマーに対しての2.上松と1.エイブラムのダブルチームでターンオーバーを誘発したことと、9.重冨と1.パーマーを休ませる両チームの判断により、試合は大きく動かず同点のままオフィシャルタイムアウトへ突入した。
タイムアウト明けもじりじりとした展開は続く。互いに審判の笛にもアジャストできない中、81-81の同点のまま残り1分を切った攻防へ。
山口は後半唯一、形を作ることができている9.重冨のミドルショットを選択。強い気持ちでシュートを決め切り山口が先行。
残り17秒での東京Zの最後のポゼッション。1.パーマーのドライブから選択したのは3.サンバの3Pシュートだった。前日も含めて1本も決まっていなかったが、ここぞという場面で決め切り、東京Zが逆転。
残り4秒での山口のラストポゼッションも9.重冨に託すが、東京Zのダブルチームにあい、満足な状態でシュートを放つことはできずに試合終了。
東京Zが前日のリベンジを果たし83-84で接戦を制した。
東京Zは2Qでペースを掴まれたものの、フリースローで着実に迫り、相手のファウルトラブルにつけ込んで勝利を手繰り寄せた。
前半は日本人選手の長距離砲で得点を挙げ、終盤は1.パーマーを中心に4.ランプキンの強さも活かしたオフェンスを展開し、得点を重ねていたのが印象的だった。
山口は32.吉川のファウルトラブルの後、1.パーマーへの対応が遅れてしまったことが痛かった。3Q終わりまでは仕方が無いにせよ、4Qの出だし2分でも対応ができずに一気に同点に追いつかれてしまったのは痛恨だったように思う。
個人的には、25.田中や11.山口を1.パーマーにつけ、高い位置からプレスをかけることもありだったのではないかと感じた。
また、一度リズムを失ったオフェンスについても、最後まで立て直すことができず、3Q後半からは9.重冨頼りになってしまっていた。彼がシュートを決め続けていたことで1ポゼッションを争う試合になったものの、そこだけになっていたこともあり、最後のポゼッションは東京Zが的を絞ることができ、見事に守り切られた。
流れが悪くなった後でオフェンス、ディフェンスともになかなか突破口を見出すことができなかったという一戦だったように思う。