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"B3 Research" 〜24-25 B3 第20節 ヴィアティン三重vs岐阜スゥープス マッチレポート〜
第21節プレビュー
前節はホームで徳島と対戦した山口。
2試合とも激闘となったが、見事に連勝を飾り、連敗を5でストップさせた。
良い流れを継続したいところだが、今節その山口に立ちはだかるのが5位の岐阜スゥープス。
年明けの成績は6勝2敗、目下4連勝中と波に乗るチームとのアウェイゲームとなる。
岐阜とは10月にホームで対戦をしており、2連敗となっている。
10月の2試合は岐阜のアグレッシブなトランジションに飲み込まれ、ペイント内のスペースを封鎖できなかったという試合だった。
そこから4ヶ月弱が経って迎える二度目の対戦となるが、直近の岐阜の試合を見てみると、持ち前のアグレッシブな戦い方だけではなく、緻密なデザインプレーにも強さを感じた。
オフェンスでは、スクリーンを使ってズレを生み出すことを試みるわけだが、その時の選択肢が非常に多く、一つダメでもその次、それがダメでも別のプランが常にデザインされている。
シュートを放つフィニッシャーも多様な人材が揃っている。
インサイドに君臨するエドソムワン、アウトサイドからのシュートも精度が高いローガン、リング下への鋭い飛び込みで相手を外す古賀や高橋、3Pシュートの確率の高い卜部。
スターターの面々は、五人のうちの誰かがフリーになれば、そこから高確率で得点を挙げることができる仕組みとなっているのだ。
特に注意したいのが、前後半の最初の岐阜のポゼッションである。
徳島も三重も最初の岐阜のデザインプレーを止められず、そのまま流れを掴まれて大敗となっており、山口としては絶対にやられてはならない。
最悪、ファウルを使ってもいいと考えているが、最初のオフェンスを岐阜の思った通りにやらせないことが重要だ。
また、ベンチメンバーが出てきた後も、緻密なデザインプレーの精度は落ちない。
ベンチメンバーの中で、要注意人物を一人挙げるのであればチームに勢いをもたらすコートだ。
彼が入ってくると、より岐阜のアグレッシブさが強調されるような印象があるが、彼からのアシストで岩松やサンブ、フォトゥなどがシュートを放ってくる。
攻撃の起点となるコートをどれだけ封じられるかが、山口のベンチメンバーの大きな役割の一つとなるだろう。
また、セットディフェンスでもマンツーマン、ゾーンとそれぞれでチームとしての明確なルールを感じる。
三重戦では、三重がローポストの外国籍にボールを入れてきた際に、躊躇なくダブルチームを仕掛けていた。
さらに、大外にフリーな選手ができても、誰がローテーションしてマークにつき直すのか、という点が明確になっており、そのスピードがとてつもなく速い。
もちろん、そういった仕掛けを外されて失点するシーンもあるのだが、うまくいくシーンの方が多い印象で、ディフェンス面の強さも光っていた三重戦だった。
山口もプレストンやコラムにボールを入れるプレーをデザインしてくるため、それに対する岐阜のディフェンスとそれを掻い潜る山口のオフェンスデザインに注目したい。
岐阜は、今シーズンのB3リーグにおいて旋風を巻き起こしているチームの一つであるが、それは決して絶好調であるとか勢いがあるとかだけではない。
シーズンが進むにつれて成熟度が増している印象で、然るべき位置にいるといって良いと感じている。
その相手にホームでのリベンジを果たすことができるか、山口の戦いぶりに注目だ。
GAME1
三重75-93岐阜
(21-22,20-15,13-28,21-28)
スターティング5
三重:宮﨑・萩原・佐脇・マクレイ・ドッド
岐阜:古賀・エドソムワン・高橋・ローガン・卜部
-1Q-
序盤から得点を取り合う両チーム。
岐阜はセットオフェンスの破壊力を見せつけ、ボールを動かしてペイント内へドライブするスペースを作り、ファウルを奪ったり、4.エドソムワンのシュートで得点を挙げる。
対する三重は1.宮﨑の3Pシュートが炸裂。
2.萩原のアシストパス、そして4.エドソムワンのパスをカットしてそのままのシュートと2本連続で沈めてみせた。
その後はマンツーマンディフェンスを採用する岐阜が三重のペイントタッチをうまく防ぎながら、アウトサイドシュートを打たせてディフェンスを成功させる展開。
そして、11.ローガンのトランジションスリーとターンからのシュートで得点を奪った。
中盤になり、メンバーを入れ替えた岐阜はゾーンディフェンスに切り替えるが、切り替えてすぐに1.宮﨑に3Pシュートを許してしまう。
それでも、ゾーンで三重のオフェンスのスペースを消し、スティールやリバウンドから速攻の展開に持ち込むことには成功。
アウトサイドシュートの確率は上がってこないものの、23.サンブや42.フォトゥのフリースローと13.岩松のレイアップでリードを奪った。
1.宮﨑のシュート以外なかなかオフェンスの形を作ることができていなかった三重は、終盤に連続スティールから15.粂の5得点で反撃する。
最後は岐阜13.岩松の3Pシュートと三重3.川田のフリースローで得点を取り合い、21-22とほぼイーブンと言える1Qとなった。
-2Q-
2Qは三重が25.マクレイと35.ドッドにボールを入れ、ローポストアタックからの打開を図る。
岐阜はペイント内をうまく攻略し、得点を重ねるものの、23.サンブのフィニッシュがうまくいかないシーンもあり、流れを掴むには至っていなかった。
スターターをコートに戻した岐阜は11.ローガンの矢のようなパスに合わせて2.古賀の得点、そしてボールを回して24.卜部の3Pシュートで得点を挙げる。
対する三重はオフェンスリバウンドから35.ドッドの押し込み、そして25.マクレイのレイアップによって得点を挙げ、同点でオフィシャルタイムアウトへ突入した。
タイムアウト明けも互角の攻防が続く。
三重はやはりインサイド、35.ドッド、25.マクレイがそれぞれ得点を挙げ、岐阜は10.コートのドライブや2.古賀の飛び込みで得点を挙げる。
終盤にかけては若干三重のペースに。
岐阜の3Pシュートが立て続けに外れる中でリバウンドから速攻を繰り出し、7.佐脇のシュートや1.宮﨑のフリースローで連続得点を挙げ、リードを奪った。
-3Q-
岐阜ボールで始まった3Q。
4.エドソムワンから2.古賀への受け渡しに7.高橋がスクリーンで関わり、2.古賀がそのままレイアップでシュートを放つという完璧なデザインプレーで幸先良く得点を挙げる。
最初のセットオフェンスで流れを掴んだ岐阜は11.ローガンとのツーメンゲームから7.高橋のレイアップ。
そして、7.高橋のスティールから、後半最初と同じデザインプレーを発動させ、今度は2.古賀がジャンプショットを沈めて連続得点となった。
勢いに乗った岐阜はディフェンスでも敵陣でのゾーンプレスからマンツーマンへのチェンジングで三重に攻撃の形を作らせなかった。
苦しいオフェンスを強いられる三重は、何とかファウルをもぎ取りフリースローでスコアを動かすと、岐阜のローテーションを上回るボール回しで35.ドッドのインサイドで6得点を挙げる。
ただ、11.ローガンの2本の3Pシュート、2.古賀のフローターで失点を重ねると、終盤にオフェンスが沈黙。
10.コートのペイントタッチから13.岩松、42.フォトゥに3Pシュートを許し、ターンオーバーから10.コートにそのままドライブをされてしまい失点が続く。
さらに42.フォトゥのスクリーンを使った2.古賀のドライブを止められず、大量28失点となってしまった。
出だしのデザインプレーから流れを掴んだ岐阜が、攻守に渡って勢い良くプレーを続け、13-28と大きく上回るクウォーターとなった。
-4Q-
4Q立ち上がりの岐阜は23.サンブの壁によって三重のドライブを完全に止め、10.コートが素早く持ち上がりオフェンスを展開する。
13.岩松の3Pシュート、オフェンスリバウンドから42.フォトゥのロングツーで得点を挙げた。
対する三重はボールを回して15.粂のコーナースリーで得点を挙げると、岐阜のアンスポを活かして、フリースローと25.マクレイのフックシュートで連続得点となった。
その後は岐阜の10.コートのアシストなどで得点を取り合う展開となるが、25.マクレイのインサイドシュートをストップした後、13.岩松が3Pシュートを決めて岐阜が15点のリードでオフィシャルタイムアウトに突入した。
タイムアウト明け、25.マクレイと35.ドッドの強さでインサイドから得点を挙げる三重だったが、岐阜の勢いを止めることができない。
11.ローガンのアシストから7.高橋と4.エドソムワンのインサイドの得点。そして、スティールから7.高橋のフィニッシュで連続得点を挙げ、とどめを刺した格好となった。
大きく点差はついたものの、最後まで強度を落とさず戦い続ける両チーム。
岐阜は24.卜部のスリーや7.高橋、23.サンブの得点。三重は25.マクレイ、35.ドッドの両選手でお馴染みの得点を作った。
後半の勢いが圧巻だった岐阜。終わってみれば75-93と大差をつけての勝利となった。
-ひとこと-
前回の山口との対戦時はトランジションバスケの印象が強かった岐阜だが、前節の徳島戦、そしてこの試合の計3試合は、それだけではないセットオフェンス、セットディフェンスの強力さを見せつけられている。
特にスクリーンを使ったセットオフェンスは脅威的で、こんなにも簡単に得点を取ることができるのかと感心しかない。
このゲームも3Qの最初のセットオフェンスが完璧に決まったところで勝負有りだったのかもしれない。
GAME2
三重66-90岐阜
(17-25,15-20,11-22,23-23)
スターティング5
三重:宮﨑・佐脇・粂・マクレイ・ドッド
岐阜:古賀・エドソムワン・高橋・ローガン・卜部
-1Q-
GAME2の立ち上がりは三重が岐阜の速攻の勢いをうまくいなしながら、また11.ローガンに対してもうまく手を出して三度のオフェンスを失敗させる入りを見せる。
そして15.粂のフローターと1.宮﨑のレイアップで連続得点を挙げるスタートを切った。
珍しく入りがうまくいかなかった岐阜だったが、11.ローガンのドライブで三重のリズムを止めると、強烈なゾーンプレスから流れを掴み取った。
スティールからファウルを獲得し、24.卜部のフリースロー、そして7.高橋とのツーメンゲームから11.ローガンの3Pシュートが決まり、早々にリードを奪った。
ただ、三重の方も、岐阜のゾーンプレスを交わし、35.ドッドのドライブで得点を挙げると、リバウンド後の速攻から35.ドッドのフィニッシュ、そしてスティールから25.マクレイの左手の柔らかいシュートで再びリードとなった。
その後、15-14となった局面から岐阜の猛攻がスタート。ここも勢いをつけるのは10.コートだった。
鋭いドライブで三重のディフェンスを切り裂き、自分自身のフィニッシュとキックアウトのパスで13.岩松と42.フォトゥの3Pシュートを作り出した。
2-11のランで試合をひっくり返し17-25とリードを奪う1Qとなった。
-2Q-
2Q序盤は8.田中と42.フォトゥのツーメンゲームを中心にオフェンスを組み立てる岐阜。
8.田中の3Pシュートと42.フォトゥのドライブで4得点を挙げる滑り出しとなった。
その後はスティールからの得点を挟み、見事な二度のゾーンアタックから得点を積み重ねる岐阜。
三重の得点を25.マクレイと4.マドゥアバムのフリースローなどと最小限に抑えながら、24.卜部の3Pシュートや7.高橋のジャンプショットでさらにリードを広げた。
荒れ模様の中盤以降は、岐阜にフリーな形をなかなか作らせず、ターンオーバーを奪って三重がうまくディフェンスに成功する。
ただ、レイアップや3Pシュートを決め切れず、反撃に転じることができないでいた。
ようやく9.溝口の2本のスリーとワンパスから9.溝口の得点が生まれ、12点差まで詰め寄るものの、時間が残されていなかったことと、セカンドチャンスから23.サンブに3Pシュートを沈められてしまい、一桁まで点差を持っていくことはできなかった。
序盤のビックランで三重を突き放した岐阜が32-45と13点のリードを奪った。
-3Q-
後半の入りは互いのインサイドのディフェンスが強烈でなかなか得点が入らない展開となる。
その中で岐阜がルーズボールから2.古賀のスリー、そしてトランジションから4.エドソムワンのインサイドの得点で6点を挙げ、リードを広げる形となった。
三重のタイムアウト明けも、インサイドへのパスをスティールし、10.コートが素早く運んで、42.フォトゥの得点を作る岐阜。
三重は1.宮﨑のジャンプショット、4.マドゥアバムのスリーで反撃を試みるが、直後のポゼッションで2.古賀にスリーをやり返され、流れを掴むことができない。
頼みの綱の1.宮﨑のスリーも確率が上がってこず、難しい状況が続いていた。
そんな中で23.サンブのインサイドでの強さ、10.コートのドライブ、42.フォトゥの内外からの決定力で得点を重ねた岐阜。
11-22で上回り、点差を24まで広げたクウォーターとなった。
-4Q-
4Qも完璧な入りを見せる岐阜。
10.コートのアシストから13.岩松のコーナースリー、スティールからの速攻で23.サンブのダンクを成功させた。
さらに8.田中と23.サンブのピックアンドロール、10.コートのドライブに23.サンブのタップが決まり、0-9のランとなった。
ホームゲームで意地を見せたい三重は二度のタイムアウトでネジを巻き直し、反撃に転じる。
ディフェンスの強度を上げ、密着マークでターンオーバーを誘発。オフェンスでは25.マクレイのミドルショットの後、4.マドゥアバムの強引なポストアップから4得点を挙げ、スコアを動かせるようになった。
ただ、メンバーを落とさない岐阜も11.ローガンや7.高橋、4.エドソムワンで着実に得点を重ね、リードを保っていった。
オフィシャルタイムアウト明けは互いに点を取り合う展開。
三重は4.マドゥアバムの3Pシュートの他、岐阜のファウルが溜まっていることもあり、25.マクレイ、4.マドゥアバムの押し込みでフリースローを獲得し、得点を挙げていく。
岐阜は4.エドソムワン、23.サンブのインサイドで最後まで得点を重ねていった。
GAME2も岐阜の強さが光り、66-90で快勝となった。
-ひとこと-
GAME2は13.岩松の3Pシュートも良く決まっており、岐阜が負けるゲームではなかった。
自分たちの展開を押し付ける強さを持っているという印象を受けたゲームだった。
トランジションのみならず、セットディフェンス、セットオフェンスともに警戒が必要なためプランニングが難しい。