【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #17
GAME1
さいたま93-64山口
シーズンも終盤に入り、残り20試合となったB3リーグ。
山口の2月最初の対戦相手はさいたまブロンコス。さいたまとは今シーズンは初対戦となる。
さいたまはここまで6位につけており、まずはプレーオフへの進出を確定させ、その後のプレーオフに挑みたいという立ち位置のチームである。
-1Q(25-11)-
金曜日の夜に行われたGAME1。
さいたまは帰化選手の2.クリークモアがコンディション不良により、GAME2も含めてロスター外となった。
序盤は互いに2Pシュートの形を作り、オフェンスを展開した。
さいたまは40.フェイゾン、00.山崎のドライブと6.ワトキンス、40.フェイゾンの高さを生かして先手を取る。
山口は32.吉川のドライブを起点に6得点、そして14.ジャクソン、11.山口のオフェンスリバウンドからの得点が生まれ、すぐに追いつく展開だった。
中盤になると、先に3Pシュートの形を作り、それを沈めたさいたまが流れを掴んだ。3Pシュートの後には、リバウンド、スティールからのファストブレイクも立て続けに飛び出し、山口に先にタイムアウトを使わせることに成功した。
タイムアウトで流れを切りたかった山口だったが、逆にさいたまがディフェンスの強度を上げて畳み掛けてきた。山口のピックを使ったオフェンスに対して、スイッチで自由を与えず、周りのヘルプの寄りも速く、素晴らしいディフェンスを展開した。
山口はオフェンスの形を全く作ることができず、タイムアウト明けは無得点で終了。タイムアウトを挟んで13-0のランを許し、25-11と大きなビハインドを背負う展開となった。
-2Q(26-23)-
2Qに入ると、山口は7.ケンドリックの1on1で状況の打開を図る。7.ケンドリックは期待に応え、連続で得点を挙げると、彼の2回目のアタックに対して、18.エショがアンスポーツマンライクファウルとテクニックファウルを犯し、退場となるアクシデントが起こる。
2.クリークモアも含め、インサイドプレーヤーを2人失ったさいたまだが、ディフェンスの強度の高さを継続し、山口にオフェンスの形をほとんど作らせない。
それでも、山口は7.ケンドリックのシュートタッチとリバウンドからのファストブレイクで何とか追い上げを見せて、オフィシャルタイムアウト明けには1桁点差の展開に持ち込んだ。
山口は何とか繋いでいる時間帯でオフェンスの形を作りたかったが、さいたまディフェンスの前に思うように展開することはできず、最終盤には再びビックランを許してしまった。
攻撃から守備への切り替えが遅いところを狙われ、さいたまがアーリーオフェンスから次々に得点を決め、51-34と点差を広げられて後半へ臨むこととなった。
-3Q(30-14)-
3Qは開始から9.重冨と25.田中のツーガードを起用して勢いをつけることを狙った山口に対して、さいたまが前半同様に圧倒する展開となった。
ポイントはさいたまのピックアンドロールに対する山口のディフェンスが全く機能しなかった点にあると思う。
前半から通して、さいたまのボールマンを一つのピックで簡単にフリーにするシーンが多く、このクォーターでは、11.秋山の連続ドライブや17.髙橋のアシストなどが生まれ、得点を重ねた。
山口は7.ケンドリックや25.田中のドライブにより、追いすがる姿勢を見せるものの、さいたまの見事なスイッチとヘルプへの寄りによって、オフェンスが仕切り直しになるシーンが多く、得点を重ねることができなかった。
攻守の両面で山口を上回るさいたまは、中盤以降に打ち出の小槌状態に突入。
このクォーターだけで6本の3Pシュートを沈め、30得点を記録。さらに点差を広げて勝負を決めた。
スコアは81-48でさいたまが32点のリードとなった。
-4Q(12-16)-
4Qはさいたまが40.フェイゾンと6.ワトキンスのどちらかを休ませながら試合を進める展開となった。
さいたまはピックを起点に00.山崎のアタックなどで形を作るが、シュートの確率が下がってきたこともあり、思うように得点を重ねることはできていなかった。
対する山口は、さいたまのシュートが落ちることもあって、前のクォーターよりは形を作ることができるようになってきたが、オープンシュートを沈めることができず、点差を詰める展開にはならなかった。
試合を通してさいたまのペースを乱すことができず、93-64でGAME1は完敗となった。
-試合後の感想-
さいたまの圧勝で終わった試合は、ピックアンドロールに対するディフェンスの強度が好対照だった印象を受けた。
ディフェンスの練度と強度の違いによって、山口はシュートの形を作ることができず、さいたまは良い形を次々に作り、簡単にシュートを決めていった。
個人で見ると、さいたまの6.ワトキンス、11.秋山、32.野口、40.フェイゾンの4選手は3Qまでで17得点以上を挙げる活躍となった。
それだけさいたまが自由にオフェンスを展開できていたのだと言える。
GAME1は完敗となった山口だが、GAME2にかけての修正力は今年のチームの長所である。
GAME2の開始までは約15時間と非常に短いインターバルであるが、何とか勝機を見出して一矢報いることを期待したい。
GAME2
さいたま-山口
さいたまは前日退場となった18.エショがロスター外。インサイド陣は6.ワトキンスと40.フェイゾンの2人に負担がかかる形となる。
一方の山口は前日の得点リーダーの7.ケンドリックが欠場。こちらもインサイド陣は1.エイブラムと14.ジャクソンの2人に期待がかかる試合となる。
-1Q(18-19)-
前日のリベンジを果たしたい山口は、無闇にペイントタッチを行わず、ピックで相手を外してスペースがあれば、アウトサイドから積極的にシュートを狙う姿勢を見せた。
ただ、シュートの確率自体は高くなく、8.下山の3Pシュートの1本にとどまる立ち上がりとなった。
一方のさいたまは前日同様、ピックアンドロールを中心にペイントタッチからの展開を見せた。ガード陣では00.山崎と15.濱田のドライブ、そして40.フェイゾンの強さを生かしたポストプレーから得点を挙げた。
序盤はシュートタッチに苦しんだ両チームだが、時間とともに少しずつ改善が見られ、さいたまは32.野口、11.秋山の3Pシュートが決まり、リードを奪う。
しかし、早めに6.ワトキンスをベンチに下げ、8.五十嵐を投入したさいたまに対し、山口は14.ジャクソンのポストアタックを徹底。
ミスマッチを突いてアタックを続けた14.ジャクソンは1Qだけで10得点を挙げ、逆転の原動力となった。
前日から一転して緊迫した試合展開の中、山口が18-19と1点のリードを奪った。
-2Q(20-24)-
2Qに入ると、先に流れを掴んだのは山口。9.重冨の3Pシュート、ファストブレイクから1.エイブラムのダンクでさいたまにタイムアウトを使わせる。
さいたまは35.ベニがフリーなって立て続けにシュートを放つもののそれが決まらず、リバウンドから山口に走られる展開を作ってしまった。
開始2分でタイムアウトを取ったさいたまは40.フェイゾンをコートに戻し、反撃を試みる。
28.川邉のランニングプレーで山口のランを止めると、40.フェイゾンと6.ワトキンスの高さを生かして、1点差まで追い上げることに成功した。
ただ、山口も2.上松の3Pシュートと14.ジャクソンのポストアタックが決まり、さいたまを再び突き放して25-31でオフィシャルタイムアウトへ突入する。
タイムアウト明けのさいたまは17.髙橋と40.フェイゾンのツーメンゲームから得点を量産。彼のアシストから32.野口の3Pシュートも生まれ、攻勢を強めた。
一方の山口は14.ジャクソンのポストプレーをここでも徹底。彼のシュートが確率高く決まることもあり、終盤には14.ジャクソンからアウトサイドで待つ選手にパスが通り、1.エイブラムや11.山口の3Pシュートが生まれた。
一進一退の攻防の中、山口がシュート確率でやや上回り38-43とリードを広げた。
-3Q(28-19)-
3Qは点の取り合いの様相を呈した。
先手を取ったのは山口。14.ジャクソンのポストアタックで得点を取ると、1.エイブラムの3Pシュートが炸裂。3Qで3本決めて13得点とチームを引っ張った。
対するさいたまは11.秋山、17.髙橋と40.フェイゾンのツーメンゲームを軸に得点を重ねる。40.フェイゾン個人のドライブも止められることはなく、効果的に得点を重ねた。
山口が突き放しにかかると、さいたまが追いすがるという攻防が続いていたが、終盤、2分半を切るところで遂にさいたまが大きな流れを掴む。
32.野口の2本の3Pシュートと28.川邉の3Pシュートで一気に逆転を果たした。
ここでポイントとなったのが28.川邉だった。彼は3Q序盤で火がついた1.エイブラムに対してマッチアップする形となったが、ここで彼をインサイドに仕向けながら、タフショットを強いるディフェンスを見せ、攻守にキーとなる活躍を見せた。
逆転後は40.フェイゾンがドライブからバスケットカウントを奪い、畳み掛ける形を見せ、66-62でさいたまのリードとなった。
-4Q(17-11)-
4Qも出だしはさいたまのペースとなった。
17.髙橋のドライブ、40.フェイゾンから6.ワトキンスへのパスで2ポイントを重ね、点差を広げた。
立ち上がりになかなかシュートが決まらない山口。試合を決められかねない流れだったが、相手のオフェンスファウルの後、1.エイブラムが立て続けにシュートを決めて粘りを見せる。
さいたまのシュートが落ちるシーンではゴール下のリバウンド争いで奮闘し、32.吉川から14.ジャクソンへタッチダウンパスが通るシーンを作るなど、73-69の4点差でオフィシャルタイムアウトに突入した。
オフィシャルタイムアウト明けの山口はゾーンディフェンスでさいたまのオフェンスを防ぎにかかるが、自分たちのオフェンスがうまくいかず、速いタイミングでのシュートによって点差を広げられてしまった。
さいたまは14.ジャクソンのフリースローが決まらないと見るや、彼にゴール下でボールを持たれた時には、簡単にシュートをさせないように、ファウルすることを徹底。この徹底ぶりが見事的中し、山口は自分たちのポゼッションで1点ずつしか取ることができず、点差を詰めることに失敗した。
終盤は焦りが見られたか、ターンオーバーを連発。自分たちでポゼッションを放棄してしまい、勝負に持ち込むことすらできなかった。
35分間は一進一退の攻防でさいたまを苦しめた山口だったが、最終盤で地力を見せたさいたまが貫禄の勝利。GAME2を83-73で勝利し、ホームで連勝を飾った。
-試合後の感想-
GAME2はさいたまが勝負強さを見せた。
40.フェイゾンにはいつもやられている気がするが、それだけではない日本人ガード陣とのツーメンゲームが特に強力だった。
目の前で印象に残ったのは17.髙橋。今日のゲームは2.上松とマッチアップするシーンが多かったが、ピックを上手く使ってキレのあるドリブルを見せ、得点を演出していた。
他にも00.山崎、11.秋山、15.濱田とペイント内へ進入できるガードが多く、山口のディフェンスを苦しめた。
32.野口の3Pシュートもよく効いていて、ディフェンスの意識がペイント内へ向いた時に、すかさず決めてくるシュート力は相手からすると面倒だった。
また、今日の試合に関して言えば、3Q中盤以降の28.川邉の活躍は見逃せない。火のついた1.エイブラムとマッチアップする中で、上手くインサイドへおびき寄せ、タフショットを強いて山口の流れを止めてみせた。
それだけにとどまらず、逆転の3Pシュートも自ら決めて、試合後にHCから名前を挙げられるに相応しい活躍だった。
山口はオフェンスの形を作らせてもらえなかったGAME2から14.ジャクソンのポストプレーに活路を見出し、さいたまを苦しめることには成功した。
ディフェンスも完璧に抑えるところまではいかなかったが、リバウンドでは奮闘を見せ、うまく速い攻撃に繋げられていたと思う。
勝負という面では、1.エイブラム、14.ジャクソンに続く選手が出てこなかったことが、さいたまのガード陣の活躍と比較すると、痛かった。
今日は1.エイブラム、14.ジャクソンの2人で56得点。そのほかの選手で17得点とかなり偏りがあった。
それを見越してか、さいたまは山口のインサイド陣の得点をファウルなどもうまく使って抑えていた。それが逆転勝利の要因の一つだったと言える。
全体的には悪くない試合だったが、シーズンの佳境に入った際の上位陣の勝負強さも痛感する一戦となった。