【プライドで掴んだ1勝】 〜24-25 B3 第11節 新潟アルビレックスBBvs山口パッツファイブ マッチレポート〜
GAME1
新潟64-74山口
(11-18,19-24,16-24,18-8)
スターティング5
新潟:川村・大矢・五十嵐・青木・ハント
山口:コラム・重冨・山口・プレストン・川上
-1Q-
9.濵高・30.ラベネル・55.ネルソンの3選手が欠場となった新潟は、スターターに3.大矢と特別指定で加入した18.青木を起用。外国籍選手は22.ハント1人と厳しいロスターで臨む試合となった。
一方の山口はいつものスターターで試合に臨んだ。
先手を取ったのは山口。
比較的スペースのある中で9.重冨がジャンプショットを沈めると、4.コラムと3.大矢のミスマッチを中心に形を作り4得点。またファストブレイクから15.プレストンのレイアップが決まり、2-8の滑り出しを見せた。
新潟は22.ハントのインサイドで得点の形を作るが、いつもと違うユニットということもあり、スペーシングが悪くターンオーバーが増えてしまっていた。
ただ、山口もそれにお付き合いする形でオフェンスにミスが続いてしまい、大きなリードを奪うには至らなかった。
時間とともにプレー精度を欠いていく展開の中、22.ハントがファウル2つを犯しベンチに下がらざるを得なくなった新潟。
ただ、ゾーンディフェンスを駆使してうまく耐え忍び、被害を最小限に食い止めて1Qを乗り切った。
先手を取った山口が11-18でリードとなった。
-2Q-
2Q序盤もプレー精度が上がらない山口。
22.ハントがいない時間帯で1得点も奪えずに、
結局彼をコートに戻し、インサイドの強さを止められず先に得点を許してしまう。
悪い流れになりそうな中で、そこから一転して山口がコート上を支配することとなる。
高さの優位を生かしたディフェンスでのブリッツ、スイッチからのローテーションがようやく機能し、リバウンドの確保までつながるようになると、シュート精度が向上。32.吉川のフローター、31.富田や8.末廣の3Pシュートなどで0-12のランを作り、一気にリードを広げた。
また、24.田中のディフェンスが相手のオフェンスのリズムを崩しており、スティールからそのまま得点に結びつけるなど、大きな貢献を果たしていた。
一方の新潟はオフィシャルタイムアウト明けに、22.ハントのインサイドを強調することで流れを掴む。その22.ハントが15.プレストンや17.パクセジンに競り勝って得点を決めると、トランジションから7.五十嵐に3Pシュートが生まれ、7-0のランを作って点差を縮めた。
その後もひたすら22.ハントにボールを集めてペイント内を攻略しにかかる新潟。期待に応えた22.ハントは連続でバスケットカウントを獲得するなど、このクウォーターだけで13得点を挙げる活躍を見せた。
対する山口は新潟のゾーンディフェンスに対して、オフェンスの足を止められてしまっていたが、何とか31.富田にボールを渡して2本の3Pシュートを作り、二桁点差を維持することに成功。
30-42と12点のリードを持って後半の戦いへ臨むこととなった。
-3Q-
後半に入り、4.コラムが22.ハントのマークにつき、彼にボールを入れさせないことでペースを握ろうとする山口。
15.プレストンのスリーと9.重冨のレイアップで先に得点を奪う。
一方の新潟も0.樋口のスティールからの得点で流れを切ると、0.樋口と22.ハントのピックアンドロールで得点を重ねていく。
序盤の得点の取り合いから抜け出したのは山口。22.ハントのペイントからのシュートを4.コラムと15.プレストンが1度ずつ防ぐと、31.富田がここでも得点を量産。3本のフリースローとドライブからのフィニッシュで5得点を挙げた。
31.富田の活躍に続くように、15.プレストンのオフェンスリバウンドからの得点と11.山口の3Pシュートが決まり、0-10のランでさらにリードを広げることに成功した。
要所で畳み掛けることでじりじりとリードを広げていく山口が3Qを終えて46-66と20点のリードとなった。
-4Q-
4Qは14.冨岡がチームを引っ張る新潟。
22.ハントをうまく使ってドライブでペイント内へ進入し、ファウルをもらいながらシュートを決めていった。また、3.大矢も21.マックスウェインJr.をうまく守り、さらにはフェイダウェイから見事なシュートを沈め、攻守に活躍を見せた。
対する山口は31.富田のドライブ以外でなかなか形が作れずにオフェンスが停滞。
新潟にカムバックを許しかけるが、コートに投入された4.コラムがポストアタックから3.大矢のファウルを獲得し、フリースローで得点を挙げる。直後のディフェンスでは24.田中が3.大矢からオフェンスチャージを獲得し、何とか盛り返してオフィシャルタイムアウトへ突入した。
ただ、盛り返したと思われた山口は、14.冨岡の強烈なプレスにあい、タイムアウト明けに連続ターンオーバーで再び新潟にカムバックの機会を与えてしまう。
すると、3.大矢の3Pシュート、14.冨岡のドライブで獲得したフリースローで得点を挙げ、新潟が追い上げムードを作る。
ただ、ここでファウルの笛に嫌われてしまった新潟。ギリギリのプレスがファウルの判定となり、追い上げムードに水を刺されてしまう格好となった。
苦しい時間を耐え忍んでいた山口は、フリースローの失敗、ターンオーバー、強引なシュートとクロージングでのプレーは褒められるものではなかった。ただ、大量リードと新潟の最後のところでのシュート精度に助けられ逃げ切ることに成功。
64-74で粘る新潟を振り切って、先勝を飾った。
-試合後の感想-
新潟に欠場者が多く、難しい試合となった山口だったが、その中で要所を締めて勝利を掴んだことは良かった。
得てしてこういう試合はロスターが厳しいチームの方が開き直って良いプレーをすることもあるが、現地で見てみるとそれを対戦相手として受けるチームの方に難しさを感じた。
その難しさとして、新潟のポジションバランスがアウトサイドに偏らざるを得ない中で、それに合わせる山口の方もポジションバランスを崩してしまうことが挙げられる。
新潟のツーメンゲームに対して、高さの優位を生かしてブリッツやスイッチからのローテーションで守ることを試みていた山口は、それによってシュートの形を作らせず、難しい状況を強いている時間をも作っていた。
ただ、序盤の方はローテーションした後のポジション取りがあまりうまくいっておらず、オフェンスリバウンドでハントに対してサイズのミスマッチが発生していたシーンもあったように感じた。
また、3.大矢に対して山口の外国籍選手がマークをつく中で、3.大矢がアウトサイドでポジションを取っている際に、マークについている外国籍選手がリバウンドのポジションを取れず、ペイント内の勢力争いで負けてしまうシーンもあったと思う。
そのように、厳しいロスターの相手に合わさざるを得ない中で、いつもと違う感覚でプレーをしないといけないということも対戦相手となるチームにはあるのではないかと感じた試合だった。
その中で勝利を掴んだ要因としては31.富田の大活躍、そしてディフェンスでアジャストできた時間帯での畳み掛け方にあった。
4Qは14.冨岡、3.大矢に翻弄されてしまったためその点を修正して、明日のゲームに臨んでほしい。
GAME2
新潟75-67山口
(21-11,20-12,20-24,14-20)
スターティング5
新潟:樋口・川村・大矢・五十嵐・ハント
山口:コラム・重冨・山口・プレストン・川上
-1Q-
新潟は55.ネルソンがエントリーとなったが、10.パプ月瑠がロスター外となり、依然厳しい台所事情で臨む試合となった。
※結局55.ネルソンは欠場となった。
先制したのは新潟。22.ハントのインサイドの強さ、そして1.川村のポストアップからのジャンプシュートで連続得点を挙げる。
一方の山口は攻め方が統一できず、良いシュートを放つことに苦戦。4.コラムと3.大矢のマッチアップのところでは状況の打開ができているものの、それを徹底するわけでもなく、コート上で混乱しているように見えた。
出だしで躓いた山口は、その後訪れたクリーンなシュート機会でもそれを決め切ることができなかった。
対する新潟は、ガード陣の決断の良さが目立ち、0.樋口、7.五十嵐の積極的なドライブと0.樋口の3Pシュートで得点を重ねた。
終盤になっても得点ペースが落ちない新潟は、22.ハントのインサイドと1.川村のジャンプシュートでさらに得点を重ね、21-11と大きなリードを奪う1Qとなった。
-2Q-
ディフェンスからリズムを取り戻したい山口だが、スイッチを多用する中でヘルプに寄りすぎているようなきらいがあり、クリーンなシュートを打たれるという状況は変えられず、32.池田に3Pシュートを献上する入りとなった。
対する新潟は1Qの継続で得点を重ねる。22.ハントのインサイドとガード陣の思い切りの良いドライブで山口のディフェンスを翻弄していた。
山口はスイッチをすることで生まれる一瞬の隙を突かれているような印象で、新潟のオフェンスに制限をかけることができていなかった。
それでも、少ないオフェンスリバウンドのチャンスを確実に得点に繋げ、何とか食らいつく山口だが、フリースローも含めて、とにかくシュートを決められず流れを掴む機会を逃し続けてしまう。
すると、1.川村のフリースローと14.冨岡の3Pシュートで点差を広げられ、14点のビハインドに。14.冨岡のスリーのところも22.ハントとのツーメンゲームに対して、スイッチするのかしないのかが曖昧になり、あまりにも簡単にシュートを打たせてしまっていた。
畳み掛けるチャンスがきた新潟は3.大矢が4.コラムを完璧にディフェンスする値千金の活躍を見せる。オフェンスでも14.冨岡のスピード、22.ハントの強さ、正確なフリースローで得点を重ね、オフィシャルタイムアウト明けのスコアを13-6と上回り、41-23とさらにリードを広げて前半を終えた。
-3Q-
ロッカールームでディフェンスを整理した山口。速いタイミングでのスイッチを諦め、自分のマークマンに責任を持って対峙することを選択した。
それによって新潟はズレを生み出しづらい形になっていたが、ギリギリの対応がファウルの判定となり、フリースローで得点を取られてしまう流れが続いていた。
オフェンスは、最初のプレーで8.末廣がクリーンな3Pシュートを決め切ったことで、前半よりは良い流れに。9.重冨と15.プレストンのツーメンゲームからのドライブや9.重冨の3Pシュート、4.コラムのポストアタックで得点を重ね、点差を詰めることに成功した。
11点差まで詰められた新潟はタイムアウトで流れを変える。9.重冨のオーバーヘルプを咎めた7.五十嵐のスリーが決まると、14.冨岡のスピードで山口ディフェンスを翻弄し、彼や22.ハントの得点、さらには1.川村のフリースローでそれ以上の追随を許さなかった。
山口が差を詰めきれなかったという印象の3Qが終わって61-47と新潟が14点リードとなった。
-4Q-
4Qに入っても同じ守り方を継続する山口は、寸前のところでファウルとなってしまうシーンが何度かあれど、新潟に得点を許さず乗り切ることに成功する。
その中で、77.川上が3Pシュートやドライブに力を見せ、6得点の活躍で一気に点差を縮める。
後半は終始あと少しのディフェンスを見せていた山口だが、ここでようやく成果を出すことができた。最後まで厳しいチェックで相手を離さず、クリーンなシュートを防ぎ、速攻につなげていった。
結果的に、4.コラムのポストアップや32.吉川のフローターで6点差まで追い上げてオフィシャルタイムアウトに突入した。
ただ、タイムアウト明けは山口のシュートセレクションが悪くなり、ペイント内を攻略できない状態で放つシュートが外れる流れに。
それでもディフェンスで踏ん張り、少しずつ点差を詰めていくが、フリースローの失敗と返しの7.五十嵐の3Pシュートで新潟が8点差をつけ返しすことに成功。この攻防で新潟が上回り、決着がついた形となった。
その後の山口はシュートまでに時間がかかってしまい、追いつくまでのポゼッションを確保することに失敗。新潟は時間を使ってボールを回しながら、この日好調の22.ハントと1.川村のシュートを作り、確実に得点を挙げることで逃げ切りを果たした。
新潟が見事なまでのカムバックを果たしたGAME2は75-67とホームで意地の1勝を挙げた。
-試合後の感想-
厳しいロスターの中で、ホームでの連敗は許されなかった新潟だが、非常に素晴らしいプレーを40分間披露した。
チームとしてオフェンス面で思い切りの良い選択が目立っていたが、7.五十嵐や0.樋口、14.冨岡のドライブは山口を苦しめていた。
ディフェンスでも、4.コラムと3.大矢のマッチアップをどう止めるかという点において、ダブルチームの仕掛けなども見せ、全体的にはうまく封じていた。
その中で3.大矢は殊勲の活躍を見せた。ファウルをフルで使いながら、終盤もうまく4.コラムをペイント内から遠ざけて、失点を防いでおり、ディフェンス面での勝利の立役者となった。
そして、何といってもこの試合は1.川村の活躍が大きかった。試合後のインタビューでも「点を取りにいこうとしていた」と答えていたが、何かを背負った時の凄まじいプレーをここで披露した。
山口視点では、守りきれそうなところで彼にボールを入れられて、うまくファウルをもらわれてしまった部分はかなり痛かったと思う。
山口に流れを生ませないという点でも1.川村のシュートやフリースローでの得点はこの試合を左右した要素だった。
会場のブースターも、昨日以上にここで負けられないんだという圧を作っており、新潟全体のプライドがものをいった勝利だったと感じた。
山口としては、前半のディフェンスが敗因の大きな部分を占めるものだったと感じる。
昨日の試合の感想でも書いたが、スイッチからのローテーションディフェンスが、全体的にうまくいかなかった2試合だった。
特にこの試合では、スイッチをしている間に新潟が素早くオフェンスで仕掛けてきていて、後手に回り続けている印象だった。
ポゼッションによってはそのスイッチによって22.ハントに対して日本人選手がつくことになっているシーンもあり、せっかくシュートを外させてもリバウンドで不利を取るシーンもあった。
後半は、クロックダウンの状況でのスイッチはあれど、基本的にはマークマンについていく形を取り、新潟に自由を与えず守ることができていたと思う。
これが前半のうちに修正できればと思うところではあるが、1Qと2Qの間の2分間では、準備してきたものを捨てる決断は非常に難しいのだろう。
後半からの挽回では間に合わないように、前半のうちに畳み掛けた新潟が勝利に値したという試合だった。