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"B3 Research" 〜24-25 B3 第2節 横浜エクセレンスvs岐阜スゥープス マッチレポート〜
プレビュー
前節、アウェイさいたまで連勝を達成した山口。
3勝3敗の5割に戻して、ホーム下関での戦いに臨む。
その対戦相手は横浜エクセレンスだ。
横浜は第3節が抜け番で試合が無かったため、山口より2試合消化が少なく、ここまでは3勝1敗の成績となっている。
開幕戦の湘南との一戦では敗れたものの、湘南とのGAME2、そして岐阜とのホーム開幕戦はその強さを見せつけ連勝を飾った。
1週のバイウィークを過ごした横浜は、その間に選手の動きがあった。
板橋が負傷している中で、PGとして前香川の木村啓太郎の加入を発表。
そして同日、同じくPGである平良彰吾の琉球への期限付き移籍を発表。移籍期間は約1ヶ月とのことであるが、今節に対する影響が大きいことは間違いないであろう。
さて、ここからは岐阜との2試合を視聴した感想を綴っていきたい。
今シーズンの横浜を語る上で欠かすことができないのはボイドの存在である。
昨シーズン、その得点力で福井の昇格に大きく貢献したボイドだが、期限付き移籍によってB3に個人残留となった。
岐阜との2試合でも、その力を遺憾無く発揮し、GAME1では23得点、GAME2では31得点の活躍を見せた。
ボイドの厄介なところは、流れに関係なくシュートを決めてくるところだと感じでいる。
岐阜戦でも、岐阜が良いディフェンスからの連続得点で流れを掴みかけそうなところで、少しタフな体勢からのショットをいとも簡単に決めて、流れを断ち切っていたのが印象的だった。
岐阜はボイドがボールを持つと、ダブルチームを仕掛けることを常に狙っており、それによって何回かボール奪取するシーンも作っていたが、全体的にはボイドの攻撃力が勝っていたのだから恐ろしい話である。
しかし、ただでさえ止めるのが難しいボイドを仮に抑え込んだとしても、他の選手たちのオフェンス力も強烈で、横浜のオフェンス全てを止めるのは難易度が非常に高い。
西山、増子、谷口は3Pシュートを決める決定力があり、ウィリアムスは内外多彩な得点パターンを持つ。岐阜戦のGAME1の4Qで大爆発を見せた大橋や他の選手も含め、どこからでも得点を挙げられるチームである。
山口としては、できるだけ高い位置から規制をかけながら、自分たちのオフェンスで取りこぼしを少なくし、接戦でついていくことが重要だ。
とはいえ、横浜のディフェンスは強固である。
足は良く動き、ローテーションも速い。そして、相手のペイント内へのアタックに対する寄りがかなり速く、少しでも判断が遅れてしまうとすぐに囲まれてしまう。
岐阜戦の勝因の一つに岐阜のペイントアタックをシャットアウトしたことがあったと思っているのだが、山口がアウトサイドシュート精度を上げて対抗できないと、横浜のディフェンスを崩せずに終わってしまう可能性があることは頭に入れておきたい。
最後に、ボイドにプレータイムを与えているソウシェリフと谷口の貢献度の高さに言及しておく。
岐阜戦では、ボイドが出ている時間で主にインサイドを支えているソウシェリフの活躍が非常に大きかった。
時間帯によっては谷口がその役割を担うこともあったと思うが、ソウシェリフのインサイドの強さ、とりわけオフェンスリバウンドの確保はストロングポイントになっていた。
ボイドがコートに立つ時間はウィリアムスとロートを同時にコートに送り込めないわけだが、ソウシェリフや谷口がインサイドで相手を押し込むことによって、ボイドを長い時間コートに立たせることができている。
ボイドを止めるには、むしろソウシェリフや谷口を押し込む、もしくはファウルトラブルに追い込む方が有効な対策になる可能性がある。
それも難しいミッションではあるが、どのような対抗策で山口が戦いを挑むのか、楽しみにしたい。
GAME1
横浜103-59岐阜
(28-17,19-13,25-12,31-17)
スターティング5
横浜:大橋・増子・ウィリアムス・ロート・杉山
岐阜:古賀・エドソムワン・高橋・ローガン・卜部
-1Q-
立ち上がりから両チームともに激しい攻防を繰り広げる。
横浜はペイント内に進入した岐阜の選手への寄りが非常に早く、ゴール下からのシュートやキックアウトのパスを防ぐディフェンスを見せる。
対する岐阜は高い位置からのプレスで13.大橋を捕まえ、8秒バイオーレションなどのターンオーバーを複数回誘発していた。
オフェンス面では13.大橋のおしゃれなアシストと21.増子のシュート決定力の高さを中心に得点を重ねる横浜。
岐阜はブレイクやピックアンドロールから4.エドソムワンのダンクシュートを作り得点を挙げていた。
先にタイムアウトを取った岐阜であったが、オフェンスがペイントへのアタックに若干寄ってしまった感があり、横浜が待ち構えているところで止められる回数が多かった。
ディフェンスから流れを作った横浜は22.ウィリアムスのオフェンスリバウンドからの3Pシュート、1.ボイドが相手を引きつけてフリーでパスを受けた8.西山の3Pシュートと得点を重ねていく。
12-0のランを作り、一気にリードを奪った。
終盤になり、ようやく岐阜も13.岩松、24.卜部で3Pシュートでの得点が生まれるが、1.ボイドの1on1や15.谷口のクイックスリーでの得点で横浜も流れを渡さず、28-17と先手を取った。
-2Q-
2Q序盤は岐阜が横浜に襲いかかる。
7.高橋のアシストから23.サンブが3Pシュートを決めると、ダブルチームを仕掛け1.ボイドからスティールを獲得。13.岩松がイージーレイアップを決めて点差を詰める。
しかし、岐阜にスティール寸前まで持ち込まれほぼ失敗に終わったポゼッションで1.ボイドがタフスリーを沈めると、47.平良の見事なディフェンスから再び1.ボイドが3Pシュートを決めて、流れを奪い返した。
流れを奪い返した横浜は、16.ソウを中心にオフェンスリバウンドを確保し続け、1.ボイド、8.西山、15.谷口らが3Pシュートを狙い続ける形を作っていた。
オフィシャルタイムアウト明けは守り合いの展開。横浜はペイント内での高いディフェンス力を継続し、岐阜は時より見せるハイプレスやダブルチームが横浜に圧をかけている印象だった。
その流れを打ち破ったのはやはり横浜1.ボイドだった。
狭いスペースをすり抜けるドライブアタックから連続得点を挙げると、スティールから33.杉山の得点をアシストし、岐阜を突き放す。
タイムアウト明けの岐阜の得点を0に抑え、残り2分を切ってから8-0のランを作った横浜が47-30と大きなリード奪う前半となった。
-3Q-
3Qの立ち上がりも横浜がゲームを掌握。
岐阜のインサイドアタックを前半同様に封じ込めると、8.西山のドライブアタック、オフェンスリバウンドから22.ウィリアムスの3Pシュート、スティールから33.杉山のイージーシュートと7-0のランを作る。
その後もペースは横浜。22.ウィリアムスがドリブルから3Pシュートを決めると、ここでもオフェンスリバウンドから31.ロートがゴール下の得点を挙げる。
岐阜はゾーンディフェンスに移行しながら何とか状況の打開を図るも、横浜のディフェンスの圧の前にターンオーバーを出してしまい、またアウトサイドからのオープンなシュートも決まらなくなり、点差が開いていく一方となってしまった。
終盤は岐阜のゾーンディフェンスも有効にはたらき、横浜の得点を抑えることに成功するも、思ったように得点を重ねることができず、流れを掴み返すことは難しかった。
横浜が攻守に岐阜を圧倒し、72-42とさらにリードを広げるクウォーターとなった。
-4Q-
4Qも横浜はオフェンスリバウンドを軸に1.ボイドのドライブで得点を挙げる。
岐阜はようやくツーメンゲームからペイント内でシュートを放てるスペースを作ることができるようになっていた。
ただ、横浜に傾いた流れを変えるには至らず、13.大橋の2本の3Pシュートや、1.ボイドのスティールから始まったファストブレイクを22.ウィリアムスの得点で完結させるなど、横浜がさらにリードを広げていく。
岐阜も高い位置からのディフェンスを続け、戦う姿勢は崩さないものの、横浜の強度の落ちないディフェンスを前にどうしても得点を重ねることができずに時間だけが経過してしまった。
クロージングに入った横浜は13.大橋が大活躍。
3Pシュート4本を含む18得点を4Qだけで積み重ねた。
攻守に岐阜を圧倒した横浜が103-59で先勝を飾った。
-ひとこと-
横浜が攻守に素晴らしいプレーで快勝を飾った。
岐阜とすれば横浜が良すぎた感がありどうしようもなかった印象。
横浜は、ボイドはもちろん、シューター陣が豊富。また、オフェンスリバウンドが圧倒的で、このオフェンスを止めるのはなかなか難しいのではないだろうか。
GAME2
横浜87-74岐阜
(17-21,33-22,24-17,13-14)
スターティング5
横浜:大橋・増子・ウィリアムス・ロート・杉山
岐阜:古賀・エドソムワン・高橋・ローガン・卜部
-1Q-
立ち上がりは互角の攻防。
横浜は13.大橋や33.杉山のドライブからチャンスを作り、21.増子や31.ロートが得点を挙げる。
対する岐阜は11.ローガンの内外からの得点や2.古賀のアタックからのシュートとフリースローで加点をしていく。
中盤を過ぎても点差が離れず互いに点を取り合う展開が続いていったが、先に流れを掴んだのは岐阜だった。
GAME1よりも、速いボール運び、そして速いタイミングでのシュート選択が増えているような印象で、3Pシュートの成功率の向上とその勢いを生かした高い位置からのプレスでペースを掴んだ。
終盤はターンオーバーも出てしまい、大きなリードを広げるまでには至らなかったものの、17-21と4点リードを奪った。
-2Q-
2Qに入ると、横浜が反撃に転じる。
オフェンスでは1.ボイドが軸になり、47.平良の3Pシュートをアシスト、そして自身の二本の3Pシュートで9得点をメイク。
ディフェンスでは、47.平良と15.谷口がダブルチームで7.高橋を捕まえるシーンを作り、チームに勢いをもたらした。
その後も1.ボイドの5得点1アシストや21.増子の3Pシュートで得点を重ねる横浜だったが、岐阜も23.サンブの二本の3Pシュートや11.ローガンの得点で何とか粘りを見せ、38-33でオフィシャルタイムアウトに突入。
タイムアウト明けも流れは横浜。ここも1.ボイドだった。
中に切れ込んでフローター気味のシュートを決めると、33.杉山のパスを受け、このクウォーター四本目の3Pシュートを沈めてみせる。
ただ、終盤に横浜のターンオーバーとオフェンスリバウンドをきっかけに33.荒川、2.古賀が3Pシュートを決め、岐阜も流れを変え得るプレーを作る。
それでも、そんなことは関係なく得点を挙げるのが1.ボイドという男。ペイントへのアタックから左手でのフィニッシュ、そして再び3Pシュートを決め、このクウォーターだけで21得点2アシストの大活躍。
逆転に成功した横浜が50-43とリードを奪って前半終了となった。
-3Q-
反撃に転じたい岐阜は、最初のプレーで7.高橋が13.大橋に強烈なプレスをかけ、ミスを誘発することに成功。
ただ、3Pシュートが思うようには決められず、次第にGAME1のようなペイント内へのオフェンスに偏りが見られ始める。
対する横浜はペイント内の厳しいディフェンスとスティールからオフェンスにつなげ、13.大橋の3Pシュートや1.ボイドのドライブなどで得点を重ねていく。
点差が17まで開き、岐阜はタイムアウトを請求。
このタイムアウトで立て直すことに成功した岐阜は、トランジションオフェンスから42.フォトゥが3Pシュートを決めると、22.ウィリアムスのパスミスから13.岩松の得点、そして4.エドソムワンのインサイドの強さを生かした得点で7-0のランを作り、10点差まで追い上げる。
しかし、ここでも流れを断ち切ったのは1.ボイドの得点だった。
中に入ってよし、外から打ってよしと多彩な得点パターンから5得点。さらに速い攻撃から22.ウィリアムスのダンクが決まり、74-60と再びリードを広げていった。
-4Q-
連敗を避けたい岐阜は、7.高橋のドライブ、11.ローガンの内外からの5得点で反撃の予感を漂わせる。
しかし、ここで横浜に本日得点の無かった15.谷口、3得点の8.西山に大きな3Pシュートが生まれ、その反撃を許さない。
さらに、ペイント内を攻めてファウルをもらいフリースローで加点をしていく。
岐阜はオフィシャルタイムアウト前の怒涛のオフェンスを決め切れず、14点差のままタイムアウトへ突入した。
オフィシャルタイムアウト明けの横浜は、時間をギリギリまで使うオフェンスで、24秒バイオレーションとなるシーンが何度かあるものの、岐阜に攻撃回数を与えないことには成功。
時間を消費し逃げ切り体勢に入っていく。
岐阜はペイント内でシュートを打つために時間を使ってしまい、思ったように点差を詰めることができなかった。
オフェンスリバウンドに飛び込むも、リバウンドを取ることができず、ファストブレイクから横浜に4得点を許し、勝負あり。
87-74で横浜が勝利。ホームBUNTAIで連勝を飾った。
-ひとこと-
岐阜はディフェンスから流れを変えようという姿勢が何度も見られる良いチームの印象を受けたが、この2試合は横浜のパフォーマンスがそれ以上だった。
岐阜のインサイドをシャットアウトするディフェンスはお見事。
ボイドを気持ち良くプレーさせているソウシェリフ、谷口の貢献は見逃せないと感じた。