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"B3 Research" 〜24-25 B3 第12節 しながわシティvsアースフレンズ東京Z マッチレポート〜
第14節プレビュー
前節、ホームでさいたま相手に連敗を喫した山口。勝率5割まであと一勝というところから痛い三連敗となってしまった。
それからバイウィークを挟んで迎える2024年の最終戦。アウェイに乗り込んでアースフレンズ東京Zとの連戦となる。
東京Zはここまで13勝9敗で6位につけており、プレーオフ進出に向けて堅調な闘いを披露している。
前節はしながわとのアウェイゲームとなったが、白熱のディフェンスゲームの末、1勝1敗とその強さを十二分に発揮していた。
ここまで東京Zの試合を4試合ほど視聴し、12月の山口の戦いぶりを踏まえ、この試合では東京Zの攻vs山口の守という構図に注目したい。
まずは東京Zの攻について言及していきたい。
東京Zはメンバー編成を踏まえてか、特徴的なオフェンスを仕掛けてくる印象がある。
東京Zのメンバー構成の特徴として、インサイドのプレーに強みを持つ絶対的なビッグマンを抱えているわけではなく、ガード陣も含めて平均的に身長の高い選手を揃えている点にある。
もちろん、東京Zの中の絶対的なインサイドの存在としてランプキンがいるが、彼も強さを全面に押し出してくるというよりは、外も見せながら柔らかなシュートタッチで次々にシュートを決めてくるなど全体的な能力の高さが光る選手である。
彼を中心として、身体能力の高さを生かした突破力やアウトサイドからのシュート精度の高い選手を多く抱えていることが東京Zの強みであり、そのことが彼らの取る戦略に強く結びついていると感じている。
そして、その戦略の一つがとにかくペイント内のスペースを広く使えるように3Pシュートラインの外側にスタートポジションを取ることである。
ランプキン一人を中に立たせて、その他の四選手は大きく広がってポジションを取る。場合によってはランプキンも外に立つことがあるため、五人の選手が大きく外にポジションを取り、そこからオフェンスを繰り出してくる。
その意図として、一人一人の突破力が高いため、できるだけ内側のスペースを多く確保した中で、攻撃を行いたいのではないかと考えている。
東京Zが狙いとする攻撃の中で、警戒すべき選手を一人挙げるとすれば、ヒルズマンとなる。
スピード、力強さを生かしたドライブでペイント内を切り裂いて得点を挙げることはもちろん、理不尽な3Pシュートも決めてくる選手だ。
一度火がついたら止まらないタイプでもあり、まずは彼をどう止めるかというところから守備を考えていくことになるのではないだろうか。
また、東京Zの強みはトランジションのオフェンスにもあると考えている。
ただ、どうやら攻撃回数自体は非常に少ないようである。それでも、私の脳裏に強烈なインパクトとして残っているのは、ここぞのタイミングで繰り出す際の破壊力が抜群なのだと思う。
前述した突破力の部分にもつながってくるのだが、機動力のある選手が多いため、スピードに乗ってしまうと止めることは難しくなってくる。
岡山との試合では、岡山の一瞬の隙をついたトランジションからの得点を繰り出しており、中でもベンレヴィのスピードを生かしたドライブは驚異的だった。
このように、セットオフェンス・トランジションともに、よくある言葉を使うとダイナミックなバスケットを展開するという点が東京Zの特徴であり、強みであると考えている。
そして、ここからが山口視点の話となるが、東京Zと対戦する上では山口の守備の整理が必須となる。
山口の直近の3連敗の内容を振り返ると、相手のピックを使ったプレーに対してボールマンへの制限がかけられず、自由にオフェンスを展開され、3Pシュートも簡単に打たれるし、ペイントアタックへの対応も後手になるというシーンが多かった。
中でも、スイッチのタイミング、ヘルプポジションの取り方、ローテーションといった組織の部分でうまくいかなかった点が大いにあったのではないかと考えている。
繰り返しとなるが、東京Zと対戦するにあたってはその点の修正は必須だ。
東京Zが広くポジションを取ってくるということは、まず自分たちがどう守備のポジションを取るのか、そして高い位置でのピックに対してスイッチするのかしないのか、一人が抜かれた後のヘルプの考え方やポジション、そこからのローテーションの速さといったディフェンスの一つ一つが非常にシビアに要求されると考えられるからである。
その部分の練度が上がってこないと内も外も止められず、やられたい放題になってしまうことが想像できる。
以上のことから、この2試合は山口にとって守備の部分でとても試されるのではないかと考えている。
では、どのように対抗するのが良いのであろうか。
一つのイメージとしては香川戦で見せたディフェンスの改良が挙げられる。
あの試合は香川の3Pシュートを最優先に警戒し、戦った中で、それを香川に見破られ、ドライブを好き放題やられたと個人的には考えている。
東京Zも隙があればどんどん3Pシュートを放ってくるチームであるため、前述したような香川戦と同じ考え方を適用することは間違っていないように思う。
重要となるのは、その中でペイント内のスペースをどうぼかして守るのかであり、その意味で香川戦の反省を生かしてプランニングしてもおもしろいのではないだろうか。
私としては、香川戦と12月の4試合を糧にしたディフェンスのレベルアップに期待をしたい。
東京Zはここまでで名前を挙げた3人以外にも注意すべき選手が多く、またディフェンスレベルも高いチームであるが、バイウィークの1週間でチームに施した修正と東京Zに対して練られたプランをどうコートで表現してくれるのかが非常に楽しみだ。
※岡山戦のマッチレポートはこちら
GAME1
しながわ62-65東京Z
(20-12,13-11,11-25,18-17)
スターティング5
しながわ:尾形・伊藤・コヴァル・フェイゾン・東
東京Z:武本・ヒルズマン・ランプキン・下田平・金本
-1Q-
先にリードを奪ったのはしながわ。
25.コヴァルと40.フェイゾンの強力なインサイド陣で東京Zのディフェンスを押し込み、ハイロープレーから5得点。さらには77.東の3Pシュートで点数を重ねリードを奪った。
対する東京Zはスペースを広く取るポジショニングからオフェンスを展開。序盤は外角からのシュートタッチに苦しむも、次第にドライブから得点チャンスを作り出し、0.武本や1.ヒルズマンなどのアタックで得点を挙げた。
終盤にかけてもペースはしながわ。
16.伊藤と40.フェイゾンのツーメンゲームと23.クレイグからのパスでシュートチャンスを作り出し、得点を挙げていく。
ディフェンスでは、高い位置からの仕掛けが有効にはたらき、東京Zにドライブによるアタックの隙を与えないことに成功。スイッチやブリッツを見せながら、ローテーションも素早く練度の高いところを披露した。
その中で、7.小宮のユーロステップからのフィニッシュと23.クレイグのディープスリーで連続得点を挙げ20-12とリードを奪って1Qを終えた。
-2Q-
2Qの立ち上がりは東京Zが厳しいマークを続け、しながわのオフェンスを連続でストップすることに成功。1.ヒルズマンのドライブによるバスケットカウントで3点プレーを作り、幸先の良いスタートを切る。
しかし、しながわの方もタイムアウトで流れを切るとペイント内に殺到し、25.コヴァルや91.落合で相手を押し込んで立て続けに得点を挙げ、逆にリードを広げる。
その後、東京Zは4.ランプキンの個人技と1.ヒルズマンの合わせによる得点。しながわは91.落合の3Pシュートで得点を取り合って、31-19でオフィシャルタイムアウトに突入。
タイムアウト明けは東京Zが14.下田平と7.ベンレヴィのドライブによって、立て続けに得点を挙げるが、その後は互いのディフェンスが勝る展開となる。
しながわはボールマンへの囲み込みの速さが印象的で、一度囲まれてしまうとそこからの脱出が難しく、東京Zの攻撃陣をうまく止めていた。
一方の東京Zは一人一人がボールマンへの距離感を狭めて守る中で、粘り強い対応が印象的だった。しながわにアウトサイドからの試投を多くすることに成功し、リバウンドを拾うことで失点を防いでいた。
結局、オフィシャルタイムアウト明けは前述した東京Zの4得点としながわ16.伊藤のドライブによる2得点にとどまった。
前半終わって33-23としながわの10点リードとなった。
-3Q-
後半立ち上がりも互いのディフェンスが成功する展開となる。
東京Zはしながわの高い位置からのプレスに押し込まれ、連続でスティールを奪われてしまいオフェンスに失敗。
対するしながわはペイント内でなかなか優位に立てず、4.ランプキンに押し返され、仕方なく放つ3Pシュートが決まらず、オフェンスに失敗していた。
その中で先にリズム掴んだのは東京Z。トランジションの中から1.ヒルズマンがチームとしてこの試合最初のスリーを沈めると、4.ランプキンのインサイドで連続得点を挙げ、0-7のランを作り点差を縮めた。
畳み掛けたい東京Zは、しながわの1.尾形にスリーを許すが、その後のしながわのオフェンスをストップすると、1.ヒルズマンのオフェンスリバウンドからの得点と34.池田のペイントタッチから作ったチャンスで8.モーアが見事に3Pシュートを決め切って同点に追いつく得点を挙げた。
タイムアウトを使って流れを変えたいしながわだが、ペイント内で押し込むことがどうしても難しく、頼みの綱の3Pシュートも決めることができない厳しいオフェンスが続いてしまった。
勢いに乗る東京Zは高い位置からのスティールを奪い、8.モーアが簡単に得点を挙げると、1.ヒルズマンの個人技による3Pシュート、7.ベンレヴィのドライブからのキックアウトパスを受けた34.池田の3Pシュートでさらにリードを広げた。
最後に91.落合の3Pシュートと40.フェイゾンのドライブでしながわも得点を返したものの、10分間通して攻守に噛み合った東京Zが44-48と逆転に成功したクウォーターとなった。
-4Q-
4Qもディフェンスの仕掛け合いとなり、ロースコアの展開で進んでいく。
その中で、7.ベンレヴィのトランジション局面での素早い持ち運びからゴール下のシュートチャンスを作り、東京Zが先に4得点を挙げる。
すると、しながわも40.フェイゾンのゴール下のシュート、25.コヴァルの3Pシュートが決まり、ようやく良い形での得点に成功する。
直後にはスローインを7.小宮がスティールし、そのままペイント内に飛び込んでフリースローから得点を挙げ、1ポゼッション差の戦いに持ち込むが、東京Zも34.池田と4.ランプキンの完璧なピックアンドロールから得点を挙げ、4点リードを保ってオフィシャルタイムアウトに突入する。
タイムアウト明けは、しながわがスティールからの速攻で先に得点を挙げるが、東京Zも4.ランプキンの3Pシュートが決まり、互いに一歩も引かない展開が続いた。
ディフェンスの強度が落ちない中で、互いに難しいオフェンスが続き、東京Zが1.ヒルズマンの3Pシュートの後、得点を挙げられない時間が続く。
するとしながわが25.コヴァルの得点と9.山根の3Pシュート、77.東のフローターで試合を振り出しに戻す。
同点で迎えた残り1分の攻防。先に攻めるしながわは9.山根のドライブと40.フェイゾンのオフェンスリバウンドで、ゴール下から立て続けにシュートを放つも決め切れず、東京Zのポゼッションに。
東京Zはなかなかクリーンなスペースを作り出すことができない中で、4.ランプキンがタフなミドルジャンパーを成功させ、前へ出る。
その後、同点を狙ったしながわのオフェンスは9.山根のドライブからのパスがターンオーバーとなり、やむを得ずファウルゲームに持ち込む。
3点のビハインドと代わったラストオフェンスも9.山根の3Pシュートはリングに嫌われて万事休す。
白熱のディフェンスゲームをものにしたのはアウェイの東京Z。62-65と接戦を制して先勝を飾った。
-ひとこと-
互いのディフェンスが光るおもしろい試合だった。
前半やられたペイント内の勢力争いを見事にひっくり返し、オフェンスにつなげた後半の東京Zの戦いぶりが素晴らしかった。
紙一重の戦いだったため、GAME2も非常に楽しみである。
GAME2
しながわ69-64東京Z
(14-16,21-14,15-18,19-16)
スターティング5
しながわ:尾形・伊藤・コヴァル・フェイゾン・東
東京Z:武本・ヒルズマン・ランプキン・下田平・井手
-1Q-
GAME2も立ち上がりから堅い展開となる。
最初に得点を奪ったのは東京Z。サイドでのトラップディフェンスをうまく交わした14.下田平からのパスを受けた1.ヒルズマンが3Pシュートを成功させた。
ただ、その後はしながわがペースを掴む。ディフェンスでは速いタイミングでのトラップで東京Zのボールマンに制限を与え、シュートタッチを狂わせることができていた。
オフェンスでは40.フェイゾンのポストアップを軸としながら、71.東のバンクショットなどで得点を加算。GAME1の前半と同じようなイメージでシュートチャンスを作っていた。
リードを許した東京Zであったが、しながわのペイントアタックに対して、人数をかけて対応することで次第にペースを取り戻していく。ドライブに対しても粘り強くマークについていくことでタフショットを強いてしながわの得点をストップさせた。
すると、終盤に3.スペンサーの力強いドライブでバスケットカウントを獲得し、3点プレーを成立。
さらに連続スティールから8.モーアの3Pシュート、7.ベンレヴィのゴール下の得点で畳み掛け、逆転を果たした。
3Pシュートの精度に苦しんでいた東京Zがディフェンスから一瞬の流れを掴み14-16とリードを奪った。
-2Q-
2Qの序盤も互いのディフェンスが上回る展開となる。
7.ベンレヴィのドライブからファウルを誘発し、フリースローで2Q最初の得点を挙げた東京Zだったが、その後はしながわの速い仕掛けからのダブルチームが効力を発揮し、連続スティールから立て続けに得点。6-0のランで再びリードを奪った。
しながわ1点リードで迎えたオフィシャルタイムアウト明けもしながわのリズムで試合が進む。
16.伊藤の個人技での3Pシュートと40.フェイゾンと25.コヴァルのインサイドでのコンビネーションで得点を重ねた。ディフェンスもよく足が動いており、東京Zのシュートフェイクに対してもついていくことができていた。
東京Zは1Qでのシュート精度のことが頭にあったのか、アウトサイドからのシュートを決断できないシーンが多く、ペイント内の攻略に若干比重が高まってしまったところで、得点がストップしていた印象だった。
しかし、少し点差がついた終盤に3Pシュートの決断力が改善。4.ランプキン、34.池田、8.モーアで3本の固め打ちに成功し、一気に点差を詰めていった。
それでも、このクウォーター大活躍の16.伊藤がラストプレーで、見事なドライブからのシュートを決めて得点を挙げ、しながわが35-30と前半を終えて5点のリードを奪った。
-3Q-
後半立ち上がりもじりしりとした展開が続く。
両チームとも悪くない形でシュートを放っているが、リングに嫌われているシーンが多い印象だった。
その中で、1.ヒルズマンが2本の3Pシュートを沈め、徐々にギアを上げ東京Zが点差を詰めていった。
中盤以降は一進一退の攻防。しながわはトランジションから1.尾形のスリー、16.伊藤のドライブからのフローター、40.フェイゾンのオフェンスリバウンドからのシュートで得点を挙げる。
対する東京Zは、14.下田平のドライブでファウルを獲得しフリースロー、8.モーアのジャンプショット、4.ランプキンのフリースローで得点を挙げた。
両チームともに3Pシュートの精度が上がってこない中で、ペイント内を巡る白熱した攻防が繰り広げられた3Q。最後は1.ヒルズマンと40.フェイゾンが難しいシュートを決め合って50-48としながわ2点のリードとなった。
-4Q-
4Qは立ち上がりは1.ヒルズマンのドライブによってシュートチャンスを作り出した東京Zが先に得点を挙げる。
14.下田平のゴール下で合わせたシュートと、1.ヒルズマンがそのままファウルをもらってフリースローで4得点を挙げた。
対するしながわは16.伊藤の緩急をうまく使ったドライブから得点を挙げる。見事なフローターを立て続けに成功させ4得点を挙げた。
序盤の得点の取り合いの後、4.ランプキンが競り合いの中で少しダメージを受けてベンチに下がったところからしながわが流れを掴む。
40.フェイゾンがミスマッチを生かしたインサイドアタックで4得点。その直後にはコートに戻ってきた4.ランプキンの上から3Pシュートを沈める。さらに25.コヴァルが16.伊藤とのピックアンドロールからシュートを決めて9-0のランを作り、一気にリードを奪った。
この時間帯、シュート精度が上がらずしながわに走られてしまった東京Zだが、3.スペンサーのドライブから4.ランプキンが3Pシュートを決めて、何とか6点差でオフィシャルタイムアウトに持ち込んだ。
オフィシャルタイムアウト明けはこの二日間を集約したかのようなディフェンスゲームが展開された。
東京Zは7.ベンレヴィの立て続けのブロックショットなど再びペイント内での粘り強いディフェンスを発揮し、しながわのオフェンスをストップすることに成功。
ただ、しながわの方も25.コヴァルのゴール下の圧を生かしながらリバウンドを確保し東京Zにチャンスを与えていなかった。
東京Zは少しもったいないターンオーバーが続き、同点に追いつくチャンスを逃してしまうと、40.フェイゾンとのツーメンゲームから16.伊藤のドライブを許し失点。5点のビハインドで残り1分を切る展開になってしまった。
その後、16.伊藤のドライブをストップし、速攻から8.モーアのレイアップで3点差に詰めるも、残り13秒と時間が残っておらず、試合は決着。
最終盤のタイムマネジメントも含めて16.伊藤のチームを引っ張る活躍が見事だったしながわ。ロースコアのゲームを69-64で制して前日のリベンジを果たした。
-ひとこと-
23.クレイグが欠場する中、25.コヴァルのフル出場と40.フェイゾンの26得点が勝因であることは間違いないが、この試合は16.伊藤。
狡猾なプレーといった感じで東京Zのディフェンスを切り裂いていたのが印象的だった。
東京Zは3Pシュートの精度が上がらない時間でもディフェンスで踏ん張れることが強みだと思うが、もう少し精度は高めたいところなのではないだろうか。GAME2のスタッツを見ると30%の成功率はあるが、印象としてはそこまで決まっている感じを受けなかった。
ただ、このゲームは8.モーアの活躍と14.下田平の良いタイミングでのドライブやゴール下への飛び込みが印象的だった。