【マッチレビュー】山口パッツファイブ 〜新たな航海〜 #15
GAME1
山口69-111徳島
(19-32,15-38,15-27,20-14)
前節連敗を喫した山口はホームに徳島を迎える。徳島は今シーズンよりB3に参入。ここまで18勝10敗と昇格を狙える位置につけている。
前節は三重に対して連勝を飾っている。
山口は32.吉川、31.富田をスターターとして起用。31.富田は徳島のピックラインナップへの対策としての起用であろう。
立ち上がりは両チームともにゴール下で2点ずつを重ねる展開。山口は32.吉川がスピードで切り裂いてシュートチャンスを作るシーンが多く、徳島に対するオフェンスプランが感じられた。
徳島は2.塚本を起点にインサイドの高さを生かし、アーリーオフェンスも使いながらシュートチャンスを作っていた。
一進一退の攻防で試合が進んでいたが、中盤を過ぎた辺りで徳島が少し抜け出す。ベンチから出てきた15.若狭が3Pシュートを連続で決めて、14-14から0-9のランを作った。
山口視点で気になるのは、仕掛けがことごとく裏目に出ていることである。自分たちのフリースローの後のゾーンプレスは簡単に剥がされイージーレイアップを許し、2-3のゾーンディフェンスも、ボールを回されるだけでアウトサイドの15.若狭をフリーにしてしまい3Pシュートを許した。
徳島のスカウティングが素晴らしいのか、山口の遂行力に問題があるのか分からないが、自分たちの仕掛けによって隙を作ってしまい、点差を大きく広げられた。
1Qは19-32で徳島のリードとなった。
2Qも依然ペースは徳島。トランジション局面で山口を圧倒し、アーリーオフェンスからフリーな状態でシュートを放ち、得点を重ねていった。ディフェンスでも、スイッチ、ダブルチームなどの仕掛けが余裕を持ってできるようになり、山口に攻撃の形を全く作らせなかった。
山口は攻守において、やりたいプレーを何もさせてもらえなかった。ベンチ視点では、前半最後のタイムアウトを取るタイミングも掴めず、オフィシャルタイムアウトまでで4-16と圧倒された。
オフィシャルタイムアウト明けは14.ジャクソンのインサイドや1.エイブラムの個人技で得点を挙げられるようになった山口だが、とにかく失点が止まらない。
攻→守の切り替えが徳島と比べて圧倒的に遅く、自分たちがディフェンスの形に入る前に仕掛けられてシュートの形を作られる展開が20分間続いていた。
徳島がトランジションからのアーリーオフェンスを徹底しているのだが、山口はそれに対する対抗策を前半のうちには見出せず、前半だけで70失点を記録。
34-70のスコアで前半を終えた。
3Qになると、点差があることもあって、前半ほどの勢いは無くなった徳島だったが、ペースは掴んだまま離さなかった。
オフェンスでは2.塚本とビックマンのピックアンドロールから、2.塚本のスピードを生かしたシュートや、4.ドーソンのドライブなど、セットしたところからも得点を量産。
ディフェンスもダブルチームでターンオーバーを誘発し、所々でファストブレイクにつなげており、更に点差を広げていった。
山口は8.下山の3Pシュートなど、形を作るシーンもあったが、徳島のディフェンスの仕掛けと、オフェンスの多彩さにリズムを掴むことはできなかった。
終盤には7.ケンドリック、14.ジャクソンの両選手がファウルアウトとなった。
49-97で徳島が依然、リードを広げたクウォーターとなった。
4Qはセカンドユニットで進める両チームだったが、山口が上回った。その中でも15.濱田が初得点からリバウンドに自分のプレーを見せられるようになり、チームの大きなエンジンになった。
彼以外にも1.エイブラムや25.田中、8.下山と多くの選手が得点を挙げた。
ディフェンスもゾーンディフェンスを使いながらも、徳島のスピードを吸収し、難しいショットを打たせられるようになり、失点を14に抑えた。
最終スコアは69-111、徳島が力を見せつけ快勝となった。
振り返れば1Q中盤の15.若狭の連続3Pシュートから徳島がペースを掴んだまま離さず、試合を決めた形になった。
ポイントは1Q,2Qの感想部分に記載したので省略するが、ここから明日どうやって反撃をするのか、チームの底力が試される試合になるであろう。
GAME2
山口88-83徳島
(22-15,20-18,29-22,17-28)
前日のリベンジを果たしたい山口は、14.ジャクソンと23.石橋をスターターとして起用し、ディフェンス面での改善を目指し勝機を伺う形を取った。
1Qから山口の狙いが随所に表現されていた。
まずはオフェンス。ケンドリックがボールを持ち、11.山口と14.ジャクソンが衝立の役割を担って相手を外し、11.山口は3Pシュート、14.ジャクソンはダンクシュートを決める良い入りを見せる。
ディフェンスでは、23.石橋を頂点におく、1-2-2のゾーンディフェンスで徳島のスピードを吸収する狙いが見事に的中。一瞬の隙や1.コームズ、15.若狭の個人技で得点を挙げられるものの、チームとしての形は作らせなかった。
中盤以降、ベンチプレーヤーがコートに立っても山口の強度と遂行力は落ちず、8.下山の2本の3Pシュートでさらにリードを広げた。
ラストポゼッションでターンオーバーをしてしまい、無駄な2点を与えてしまったが、内容としてはパーフェクトだった山口が、22-15でリードを奪った。
2Qは1.エイブラム、7.ケンドリックが立て続けにシュートを放つが成功数が1本にとどまる山口に対して、3Pシュート攻勢を仕掛ける徳島という構図でスタートした。
徳島もそのシュートがなかなか決まらないが、山口がオフェンスの流れを失ったことにより、4分が経過した辺りで3点差に迫ることに成功する。
嫌な流れとなった山口だったが、タイムアウトでオフェンスをデザインすると、14.ジャクソンのポストアタックがバスケットカウントになり、流れを断ち切る。そこから、32.吉川のスピードと1.エイブラムの決定力で10-0のランを見せ、徳島を突き放した。
しかし、徳島も食い下がる。山口77.川上の2本の3Pシュートが外れる間に10.駒水の5得点などで0-8のランをやり返し再び点差を詰める。
白熱の攻防が見られた2Qは、25.田中の3Pシュート1本を含む4得点1アシストの活躍で、最終盤に再び山口がリードを広げ、42-33のスコアとなった。
3Qも山口が7.ケンドリック、14ジャクソンのバスケットカウントによる3点プレーで流れを掴み、点差を広げるクウォーターとなった。
スターターと同じ5人を送り出し、1Qと同様のゾーンディフェンスを見せる。その5人が規律と強度を継続して、徳島にオフェンスの形を作らせなかった。
オフェンス面では9.重冨と8.下山が1本ずつ3Pシュートを沈め、14.ジャクソンに続く得点源として機能した。
徳島は3Pシュートで反撃の流れを作りたいところだが、確率が思うように上がってこないこともあり、苦しい展開。中盤は審判の笛にも合わせることができず、ファウルが重なり崩れてしまった。
1.コームズ、4.ドーソンのインサイドアタックで要所で得点を挙げていたが、1.エイブラムにブザービーターの3Pシュートを決められ、71-55とリードを許す展開となった。
4Qは執念の粘りを見せる徳島に対し、山口が何とか凌ぐ展開が続いた。
徳島は速いタイミングのショートによってオフェンスの回数を増やし、その中で8.ジョゼフと33.コールマンの3Pシュートで流れを掴んだ。
中盤以降は山口のゾーンを完全に攻略し、一気に追い上げを見せる。2.塚本、15.若狭が素早く敵陣に運び、1.コームズと4.ドーソンがペイント内でポジションを確保し、2Pシュートを量産していった。
山口は3Qの徳島と対照的に審判の笛にアジャストできなかった。2.塚本と15.若狭の激しいディフェンスに対して、7.ケンドリックや14.ジャクソンが立て続けにオフェンスファウルを犯し、得点のチャンスを作ることに失敗した。
それでも、9.重冨を中心に時間を消化することには成功する。その中で、1.エイブラムの3Pシュートや9.重冨のジャンプショットで何とかリードをキープした。
最終盤はファウルゲームになる中、徳島のシュートが決まらずに山口が逃げ切りを果たした。
最終スコアは88-83。山口が前日から見事なカムバックを見せて、連敗を免れた。
トランジションで上回られたGAME1から23.石橋を起用し、ゾーンディフェンスで対抗を図った山口だった。シュートが良く決まっていたこともあったが、素早い戻りと規律によって徳島のスピードを吸収することに成功したと言える。ゲームプランと選手の遂行力が勝因となった。
15.濱田の加入でロスター入りの機会が減ってしまった23.石橋だったが、ファウルドローンもあり、チームの基準を示す活躍を見せ、自身の存在価値を証明した。
ただ、流石の徳島もプランAだけで勝てるような簡単な相手ではなく、嫌な流れになる時間帯もあった。それでも2Qに取ったタイムアウトは見事で、きっちり14.ジャクソンのポストアタックをデザインし、10-0のランを作った。ここは前半の大きなポイントだったと思う。
また、選手個人に焦点を当てても、数多くの選手が活躍し、チームのスタイルを体現した。厳しい流れで託されたショットを次々と沈めた14.ジャクソン。少ないプレータイムでスタッツを残した25.田中など、挙げればキリがないように、それぞれの時間帯で各選手が良いプレーを表現できたことが、徳島の執念の粘りを振り切った要因と言えよう。
上位相手とも戦えることを改めて示した素晴らしい試合だった。