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【熱気渦巻く会場で繰り広げられた好ゲーム】〜24-25 B3 第21節 岐阜スゥープスvs山口パッツファイブ マッチレポート〜
GAME1
岐阜86-73山口
(29-15,19-21,16-19,22-18)
スターティング5
岐阜:古賀・エドソムワン・高橋・ローガン・卜部
山口:コラム・山口・プレストン・吉川・川上
-1Q-
立ち上がり、タイマーの不具合で複数回試合が止まるというアクシデントがある中、山口がアウトサイドからのシュートを積極的に狙っていく。
ただ、シュート確率が上がってこず、4本目のトライでようやく4.コラムが成功させる入りとなった。
対する岐阜は7.高橋、2.古賀のペイント内への進入が冴え渡る。
4.エドソムワン、11.ローガンのオフェンスリバウンドの強さも光るが、彼らのタイミングの良い進入が山口としては非常に脅威となっていた。
2.古賀と7.高橋で得点を積み重ねた後は、24.卜部のドライブから11.ローガンのコーナースリーも決まり、岐阜が先手を取る形となった。
山口は立ち上がりの3Pシュートが決まらなかったことで、中からの突破を試みるが、外側決まらなかったという少し後ろ向きな理由でペイント内に攻めかかっていることで、岐阜に対応され、強引なアタックとなっている印象だった。
それでも、15.プレストンの力強さでゴール下の得点をもぎ取ると、9.重冨のミドルジャンパーでオフェンスの改善の兆しを見せた。
ただ、岐阜のリズムは崩れず、見事なセットオフェンスからクリーンなシュートを作り続ける。
シュートの確率は決して高くないものの、山口のディフェンスを後手に回らせることで、オフェンスリバウンドの確保がしやすくなっており、セカンドチャンスから得点を生み出していた。
また、ディフェンスリバウンドからの速攻も強力で、10.コートが一直線にリングへ傾れ込み得点を挙げるシーンもあった。
終盤はシュート精度も向上し、8.田中、42.フォトゥが連続でスリーを成功させた。
岐阜が速攻、遅攻ともに洗練されたプレーを披露し、山口を寄せ付けず、15-29と大きなリードを奪った。
-2Q-
2Qに入っても岐阜のオフェンスは止まらない。
山口のディフェンスを完全に崩した状態でシュートを放つことで、23.サンブがリバウンダーとして力強さを発揮して2Q最初の得点を挙げる。
その後も、スクリーンをうまく使った42.フォトゥのドライブやゴール下でポジションを取った23.サンブのバスケットカウントでリードを広げた。
山口はローポストの15.プレストンに入れてから逆サイドで待つ31.富田の3Pシュートという良い形も作るが、全体的にはタフショットを強いられている印象だった。
それでも、8.末廣の力強いドライブや岐阜のギャンブルディフェンスを交わしての31.富田の3Pシュートなどで得点を重ねることはできており、さらなるリードは広げられずオフィシャルタイムアウトまでを乗り切った。
タイムアウト明けは山口がディフェンスで岐阜のスピードを吸収できるようになり、少しずつ試合内容が変わっていく兆しが見られた。
細かい点は正直分からなかったものの、32.吉川、31.富田、6.松田、21.マックスウェインJr.、15.プレストンのユニットのローテーションがうまくいった証であると感じた。
タイムアウト明けに得点を伸ばせず山口に0-9のランを許した岐阜は、オフェンスリバウンドによって状況を打開。
ロングリバウンドを拾い、セカンドチャンスから10.コートのドライブで山口陣を攻略し、2.古賀のスリーで久しぶりの得点を挙げる。
最後は両者得点を取り合い、前半終わって48-36で岐阜の12点リードとなった。
-3Q-
後半の頭は岐阜の2.古賀と7.高橋が相手のガードを押し込んでからのプレーで得点が生まれる。
いわゆるロゴピックアンドロールと呼ばれるプレー、そして彼らの1on1からシュートを作り出していた。
対する山口はアウトサイドのシュート確率が上がってこない中、15.プレストンの強さで何とか得点を奪う。
前半苦戦していた山口のディフェンスはアジャストができており、岐阜にスリーを打たせてリバウンドを確保する形で、オフェンスにつなげていった。
ただ、2.古賀のドライブ、10.コートのドライブとやられてはいけない形で失点を喫するシーンが出てしまい、外角のシュートが入らないことも相まって、点差を縮めるには至らなかった。
急場を凌いだ岐阜は42.フォトゥのスリーが決まり、リードを広げる。
しかし、速攻に移る場面でターンオーバーが出ると、77.川上のレイアップを許し、直後にスリーも献上し、山口に反撃を許すことに。
結局このクウォーターも山口が点差を詰める結果となり、55-64で岐阜の9点リードとなった。
-4Q-
最終クウォーターの入りも、7.高橋が9.重冨を押し込む狙いのプレーで最初の得点を挙げ、さらに3Pシュートまで成功させ、一気に5得点を作り出す活躍を見せる。
7.高橋に暴れられた後、対面を31.富田に変更して狙いのプレーをさせない選択をした山口は、岐阜のオフェンスをストップすることに成功する。
ただ、クリーンなシュートをなかなか作ることができず、ペイント内からの厳しいシュートを決め切れないことで、流れを掴むには至らなかった。
どちらの流れとも言えない中、岐阜が2.古賀と10.コートのペイント内の得点を作り、12点のリードでオフィシャルタイムアウトに突入となった。
タイムアウト明けもじりじりとした展開が続く。
山口がディフェンスを頑張っても岐阜のオフェンス力が高く、続けてオフェンスを止めるということが難しい状況となっていた。
止めた後のオフェンスを山口が成功させられていないこともあるが、岐阜が一度止められた後のオフェンスをうまく作り、2.古賀のドライブ、11.ローガンの3Pシュートと山口の心を折る得点を積み重ねていたのが印象的だった。
点差が縮まらず、時間だけが減っていく中で、急ぐ山口は、15.プレストンのゴール下や31.富田の速攻からの難しいシュートを決め切れず、大勢が決した。
最後はフリースローや速攻で岐阜がスコアを伸ばし、86-73で先勝を飾った。
-試合後の感想-
山口が岐阜のオフェンスにアジャストするまでの15分間が全ての試合だった。
山口がディフェンスの形を見出すまでに42-25と岐阜が大きく優位に立ったわけだが、この17点リードが最後まであまりにも重くのしかかった試合となった。
岐阜のオフェンスはスカウティングできていたと思うが、実際に対峙してみると、想像以上のスピードや破壊力を感じたのではないかと思う。
何とかローテーションを試みる山口だったが、岐阜の仕掛けに対して、後手に回るシーンが多く、自分たちのポジションが崩れており、ディフェンスリバウンドも確保できないという展開になっていたと感じた。
ようやくローテーションがうまくいくようになり、岐阜のスピードを吸収できるようになってからは互角の攻防が続いていただけに、それまでに畳み掛けられたことが痛かった。
それでも何とか粘りを見せる中で、一気に流れを掴んでもおかしくないシーンはあったと思う。
ただ、そのためには岐阜のオフェンスを止めた後に、シュートを決め切る必要があった。
その点は厳しいチェックでタフショットに追い込んでいた岐阜が見事だったとも言える。
また、苦しい展開の中で、後半に見せていた32.吉川と9.重冨を狙ったオフェンスも秀逸だった。
7.高橋と2.古賀の強さ、スピードを生かして、彼らにポストアップさせて、32.吉川や9.重冨を押し込んで、得点を作り出すプレーは分かっていても止めるのが難しいように感じた。
岐阜にとっては、このような大事なところで計算できる得点パターンがあったことも逃げ切りを果たした要因の一つだったと言える。
山口としては前半15分を反省、そして後半の25分をうまく活かして明日のゲームプランに繋げたい。
明日は立ち上がりから岐阜を圧倒するディフェンスのエナジーが必要となる。
GAME2
岐阜70-77山口
(19-25,21-12,10-23,20-17)
スターティング5
岐阜:古賀・エドソムワン・高橋・ローガン・卜部
山口:栗原・コラム・山口・プレストン・吉川
-1Q-
3.栗原をスターターとして起用した山口は、その3.栗原のドライブでチームとして最初の得点を作り出す。
その後も11.山口、15.プレストンとゴール下からのフィニッシュで立て続けに得点を挙げ、積極的なリングアタックが目立つ立ち上がりとなった。
対する岐阜は、いつも通り、ペイントタッチを行いそのままシュートを狙いながら、外が空いていればキックアウトするというオフェンスを展開。
2.古賀、4.エドソムワンの得点の後、24.卜部のスリーも成功し、岐阜も良い滑り出しを見せた。
立ち上がりの後も、積極的なリングアタックを続ける山口は32.吉川のスリーを挟み、32.吉川や77.川上のドライブで得点を重ねる。
守っては15.プレストンがゴール下の門番として君臨し、4.エドソムワンのダンクをブロック。
岐阜のオフェンスを止めて自分たちの得点に結びつけ、2-14のランを作って一気にリードを奪った。
しかし、自分たちの良いリズムができている実感があるのか、それとも岐阜の見事なオフェンスで得点を繋がれたからなのかは分からないが、終盤のオフェンスではシュートを打てるところでボールを回し、逆に厳しいシュートにしてしまう。
自分たちの良い流れを止めて岐阜の反撃を許し、10.コートの速攻を止められず、5失点。
25-19と点差を広げきれず1Qを終えた。
-2Q-
1Q終わりの良い流れを継続する岐阜は23.サンブが21.マックスウェインJr.を寄せ付けず、リバウンドで圧倒。
一度のポゼッションで六度のシュートチャンスを作り出すと、10コートのゴール下で先に得点を奪う。
岐阜のゾーンとマンツーマンのチェンジングディフェンスを前に1Qに比べて足を止められている印象のある山口のオフェンス。
4.コラム、31.富田がタフショットをねじ込むものの、クリーンなシュートチャンスを作る数は少なく、またフリースローを決め切れないことで、思うように得点を伸ばすことができないでいた。
22.増本のフリースローで迎えたオフィシャルタイムアウト明けは、そのフリースローによる得点と速攻から7.高橋のコーナースリーで岐阜が点差を詰め、さらに4.エドソムワンのオフェンスリバウンドと7.高橋のドライブによって逆転まで持っていく。
山口はフローターの難しいショットを打たされるオフェンスが続き、リバウンドから岐阜に走られる展開を自分たちで作ってしまっていた。
ディフェンスリバウンドから速攻を繰り出して、山口を追い抜いた岐阜だが、それ以上に大きかったのはオフェンスリバウンドからの得点だった。
昨日と同じように山口ディフェンスを動かしてシュートを放っているため、自分たちが有利な状況で、リバウンドに入れているようだった。
あくまでスタッツを目視した範囲であるが、2Qだけでセカンドチャンスから11得点を挙げており、山口の0得点と比較すると、2Qの得点差以上のプラスを生み出していた。
1Q前半の劣勢を跳ね返した岐阜が37-40と3点リードで前半を終えた。
-3Q-
昨日と同様、32.吉川に対する7.高橋のポストアップで先に得点を挙げた岐阜。
同じ流れとなるかと思われたが、その後このプレーは現れず、両チームのハードなディフェンスゲームが展開されていく。
山口は2Qと異なり、ディフェンスリバウンドの確保に成功。岐阜のセカンドチャンスポイントを防ぐことで一気にチームとしての失点が減った。
ただ、岐阜の方も、山口のペイントアタックに対する警戒は強く、中に入れさせないことで外側からのシュートを強制できており、ディフェンスは成功していた。
じりじりとした展開が続く中、先に流れを掴んだのは山口。
クロックダウンの状況での11.山口、そしてトランジションから21.マックスウェインJr.の連続スリーが飛び出し、逆転を果たし、6点のリードを奪った。
ディフェンスが完全にハマっている山口は、岐阜のドライブコースをうまく寸断し、外角からのシュートに仕向けてリバウンドを拾う形を作る。
ラストプレーで13.岩松にスリーを許したものの、21.マックスウェインJr.のフローターや32.吉川のドライブと3Pシュートで得点を積み重ね、60-50と一気に10点差をつけるクウォーターとなった。
-4Q-
4Qもハードなディフェンスゲームが繰り広げられるGAME2。
守り合いの展開から、先に山口の方にローテーションエラーが出てしまい、10.コートのゴール下の得点が生まれると、7.高橋がスティールを奪って、そのままシュートを成功させた。
その後、ルーズボールダイブから77.川上にスリーを許した岐阜だったが、最大の強みである速い仕掛けによってシュートチャンスを作り出し、7.高橋のドライブと8.田中のスリーで点差を詰めた。
3Qと対照的にシュート精度が上がらず苦しい山口は、リングに嫌われる岐阜のショットのリバウンドを確保し、何とかリードをキープ。
速攻から15.プレストンのシュートで5点のリードを持ってオフィシャルタイムアウトに突入となった。
タイムアウト明け早々、32.吉川がファウルアウトになるアクシデントが発生。
そのファウルによるフリースローで点差を詰められる山口だったが、21.マックスウェインJr.のポストアタックから11.山口の3Pシュートが成功。リードを6点に広げる。
タイムアウトを取った岐阜はファウル4つの21.マックスウェインJr.を11.ローガンで狙い撃ちし、得点を奪うと、9.重冨のスリップから速攻を繰り出し、点差を一気に2へと詰める。
1ポゼッションを争う好ゲームはクラッチタイムの攻防へ。
その中で最後に数字に残る活躍を見せ、試合を決めたのが山口のキャプテン77.川上だった。
3Pシュートファウルを受けて、獲得したフリースローを2本成功。そして、ショットクロックが少なくなった難しい状況の中で、鋭いドライブから得点を挙げ、大きな4点を作り出した。
さらに、42.フォトゥのボール保持に対してヘルプポジションから手を出し、フロアダイブの末、マイボールを確保。
値千金のスティールで勝利を大きく引き寄せた。
最後もチーム全員で足を動かしタフショットを強いてディフェンスを成功させた山口。
激闘のGAME2は山口が競り勝ち、アウェイで1勝をもぎ取った。
-試合後の感想-
前日の試合の入りで岐阜にやられた分をやり返すようにフルスロットルのエナジーで試合に入ったGAME2の山口。
それは非常にうまくいった。シュート確率も高く大きなリードに繋がってもおかしくない展開だった。
しかし、もったいない攻撃の終わり方が1Qの終わりで続いてしまい、岐阜を蘇らせてしまったように見えた。
後半は3Qのon fire状態でリードを奪うも、一転して4Qは耐える展開となった。
耐えられた要因はやはりディフェンス、そしてリバウンドだと思う。
目視の結果だが、後半の山口が岐阜に与えたセカンドチャンスポイントはたったの3得点だけだった。
11点も与えた2Qから考えればかなり大きな改善である。
これは意識だけの問題ではなく、きっちりとしたローテーションから後手に回らずにシュートを打たせていたのが大きかったのではないかと感じた。
また、山口から見れば、最終盤に11.ローガンが行っていた21.マックスウェインJr.との1on1をもっと早い時間から強調されていると、どうなっていたか分からない展開だった。
おそらくそこを強調すると、岐阜が積み上げてきたオフェンスが崩れかねないとの判断だったのかもしれないが、3Qの残り3分の時点でファウル4つになっていたことを考えると、彼が1秒もベンチに下がらず最後までプレーできたことは山口の勝因の一つだった。
とこんな感じで振り返りはしたものの、そんなものはどうでもいいと思えるGAME2だった。
ものすごい熱気が渦巻く会場の雰囲気の中で、両チームの素晴らしいプレーで、最後まで分からない試合が見られたこと、そしてその試合を現地で体感できたことが何よりも幸せであった。